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魔法使いのくりもとちゃん  作者: おにぎり1999
サブシナリオ
6/7

ドリルちゃん



第一章 掲示板の宣戦布告


宿場町の夜。

ギルドの掲示板には、真紅の大文字が躍っていた。

『盗賊団拠点の解体依頼 推奨十五名以上 危険度:特級』


小柄な影が一歩進み出る。ドリルだ。

腰まで届く金髪を揺らし、腕を組んだまま不敵に笑う。


> 「この前の薄汚い悪党……許さない。

お仕置きしてやる。」




推奨人数十五名以上。

常識的に考えれば自分たち二人(実質一人)で挑むものではない。

しかしドリルは、参加表明の紙に迷わず名前を書き込んだ。



---


第二章 宿屋の夜


その夜、宿屋のレストラン。

ドリルの報告を聞いたくりもとは、湯気の立つおにぎりを口に運びながら吹き出した。


> 「できるわけないじゃん。早くキャンセルしてきなよ。

面倒事に巻き込まれるだけでしょ」




> 「あたしがやるって決めたの!」

ドリルは机を叩いて言い返す。

「あんな連中、分からせてやる!」




くりもとは肩をすくめ、


> 「もう好きにして…」

とだけ言い、客室へ引き上げた。

その横顔には、心底「見たくないものを見ない」ような淡い影があった。


---


第三章 真夜中の舞台装置


深夜。

盗賊アジトの前は凍りつくような静けさ。

ドリルはそこで周到な準備を終えていた。


入口前に大きなテーブルを静かに運び、

スタジオ用の照明を角度まで計算して設置。

足元にはフォグマシンとサーキュレーター。

霧と光が一体となり、自分を包む完璧な舞台だ。


> 「これであいつらもひれ伏すわね」




時計の針が零時を回ったとき、ドリルは両手で扉を――

バァン! と開け放つ。


照明が一斉に点り、白い霧が渦を巻く。

テーブルの上に跳び乗ったドリルは、両腕を組み仁王立ちした。


> 「さあ、あの時の弱虫はどこのどいつかしら?

早く前に出てきなさい!」





---


第四章 笑いと蹂躙


一瞬の沈黙。

盗賊たちは顔を見合わせ、

そして一斉に大爆笑した。


> 「ぷっ……はははは! これがかよ?」

「子どもじゃねえか!」




霧も光も、ドリルの小柄な体を際立たせるだけ。

頬がみるみる赤く染まる。


> 「笑っていられるのも今のうちよ!」




しかし笑いは止まず、やがて罵声に変わる。

椅子が倒れ、複数の男が一斉に取り囲んだ。

ドリルは必死に蹴り返すが、押し倒され、腕を縛られ、床に叩きつけられる。


> 「――っ!」




視界が揺れ、鼻に鉄の味が広がった。



---


第五章 上から見下ろすくりもと


そのころ二階の監視室。

くりもとは缶ビールを片手に、ゆったりとモニターを眺めていた。


入口で銃口を向けられた時も、

冷えた缶を鼻先に押し当て


> 「まぁまぁ、そんな物騒なもの下げて」

と笑って通されたのだ。




> 「あー、やってるやってる。ほんと学ばない子ねぇ」




淡々と酒をあおりながら、

必要があれば最小限の魔法で守るつもりではいた。

しかし今はただ、下で繰り広げられる“舞台”を観客のように見守るだけだった。



---


第六章 偶然の救援


その時、町外れの石畳をカランと草履の音が駆けた。

銭湯帰りの大物ギルド《白嵐隊》。

浴衣の袖を翻し、異変を感じて足を止める。


> 「今の悲鳴、聞こえたか?」

「こっちだ!」




白嵐隊は状況も理解しきれぬまま、即座に戦闘態勢に入った。

刀が閃き、魔法陣が走る。

盗賊団のボスがドリルに銃口を向けた瞬間、

白嵐隊の剣が横から叩き込み、ボスは床を転がった。


数分で盗賊たちは鎮圧された。



---


第七章 縄を解かれて


縄で縛られたままのドリルは、涙と悔しさに濡れた顔で叫ぶ。


> 「なによ! あたしが倒す予定だったんだから!

運命がそう決めてたんだから!」




白嵐隊の一人が苦笑しながら縄を切る。

背後では、さっきまでガンをつけていたボスが

浴衣姿の剣士にボコボコにされていた。


> 「あたしのがだぎがぁ……

あたしのが先にやるはずだったのに!」




隊長は肩をすくめて言う。


> 「今夜は俺たちがもらった。次はお前の番だ」





---


第八章 保護者への引き渡し


白嵐隊はドリルを抱え、首をかしげながら宿屋へ向かった。


> 「なんでこんなところに小娘が……」

「とりあえず泣いてる子がいたんで、保護者さんへお返しに」




客室の扉をノックし、

布団から顔を出したくりもとへ、

傷だらけでアイパッチと包帯だらけのドリルを引き渡す。


> 「お大事に」




白嵐隊は簡潔にそう告げて去っていった。


くりもとは小さく笑みを浮かべ、


> 「きーすんだ?」

とだけ声をかける。

ドリルは顔を背け、

「……うるさい」

とつぶやいた。





---


第九章 翌日


昼下がり。

ギルドの前は大混雑。

昨夜の討伐報酬はすべて白嵐隊が獲得し、

歓声とともに彼らは次の街道へ消えていった。


くりもとは車のハンドルを軽く叩き、

助手席で包帯にくるまったドリルを横目に見ながら言う。


> 「次はもう少し計画的にね」




ドリルは唇を噛み、


> 「……次こそは、あたしが」

とだけつぶやいた。




エンジン音が朝靄を震わせ、

二人を次の町へと運んでいった。


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