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魔法使いのくりもとちゃん  作者: おにぎり1999
メインシナリオ
2/7

反撃の狼煙

くりもととドリルは錆びた道を2CVで走っていた。どこまでも続く荒れた大地、その先に見えるのは、かろうじて生き延びた人々が暮らすという、小さな国だった。


「この先にある国、面白そうですね!」


くりもとは少しぎこちなく目を輝かせながら、地図を指差した。その指先には、かつて栄華を誇ったが、今ではすっかり廃れてしまったという都市の名前が記されている。


「ふん、どうせつまらないところでしょうよ」


隣に座るドリルは、鼻で笑った。彼女の金髪のツインテールは、まるでドリルのようにくるくると巻かれ、風に揺れている。


「それにしても、こんな何もない場所を延々と走るのは退屈ですわね。もっと華やかな場所に行けないの?」


「でも、こういう場所だからこそ、きっと何か面白いことが待ってるんですよ! 冒険って、そういうものでしょう?」


くりもとはぎこちなく笑いながら言った。その瞳には期待と好奇心が満ちている。ドリルはため息をつき、腕を組んだ。


「まったく、あなたという人は……。まあいいですわ。どうせ退屈するくらいなら、少しでも楽しんでやりましょう」


こうして二人は、その国へと向かうことにした。


到着した国は、思った以上に荒廃していた。かつては立派だったであろう建物の残骸があちらこちらに転がり、道端には朽ち果てた機械のパーツが散乱している。


「これは……本当に人が住んでいるんですか?」


くりもとは眉をひそめた。街には人影がほとんどなく、静まり返っている。時折、風が吹いて、瓦礫を転がす音だけが響いていた。


「なんだか不気味な場所ですわね」


ドリルはそう言って、周囲を見渡した。すると、遠くからかすかな声が聞こえてきた。


くりもととドリルが2CVで走っていると、突然、道の先に人影が飛び出してきた。


「うわっ! 止まれ、止まれ!」


くりもとは慌ててブレーキペダルを思い切り踏み込む。同時にサイドブレーキを引き、2CVは急激にスリップしながらもなんとかギリギリのところで止まった。その衝撃で車内の荷物は散乱し、めちゃくちゃな状態になっていた。


目の前には、今にも飛び込み自殺をしようとしていた少女の姿があった。


「大丈夫ですか!」


くりもとは急いで車から降り、少女に駆け寄った。ドリルも、ため息をつきながら車から降りてきた。髪がほつれて乱れ、ご不満な様子である。


「まったく、命知らずなことを……」


少女はぼんやりとした目でくりもとを見上げ、しばらく沈黙していたが、ようやく口を開いた。


「……逃げて……早く……ここは……」


その言葉は途切れ途切れで、少女の声には深い恐怖がにじんでいた。


「逃げる? どういうことですか?」


くりもとは問いかけたが、少女は震えながら頭を横に振った。


「ここは……もう終わりなんです……奴らが……全て……」


「奴らって、誰のことですか?」


ドリルが苛立ったように尋ねると、少女は瓦礫の方を指差した。その先には、巨大な機械兵が立っていた。その無機質な瞳がこちらを見下ろしている。


「くそっ! なんですの、あれは!」


ドリルは即座に杖を取り出し、魔法を放とうとした。しかし、機械兵は動かず、ただこちらを監視するように立ち尽くしているだけだった。


「待ってください、ドリル。まだ何かあるかもしれません」


くりもとは少女に向き直り、優しく問いかけた。


「あなたは、この国で何が起きているのか知っているんですよね? 教えてください。私たちが何とかします」


少女は目を伏せたまま、しばらく沈黙していたが、やがて小さな声で話し始めた。


「この国は……かつては魔法技術で栄えていました。でも、その技術が暴走して……ロボットたちが人々を支配し始めたんです。私たちは……ただの奴隷として働かされて……」


くりもとは息を飲んだ。彼女が指差した瓦礫の向こうには、数人の人々が機械兵に監視されながら、黙々と作業をしている姿が見えた。その顔には、生きることへの希望がまるで感じられなかった。


「これが、この国の現実なんですね……」


くりもとはぎこちなく呟いた。人々の顔には、希望の欠片もない。それでも、くりもとは諦めるわけにはいかなかった。


「皆さん! 私たちが、何とかします!」




突然の宣言に、人々は驚いたようにくりもとを見つめた。そして、ドリルが肩をすくめる。




「まったく、大風呂敷を広げるのが好きな人ですわね。でも……やるからには、全力でいきますわよ」突然の宣言に、人々は驚いたようにくりもとを見つめた。そして、ドリルが肩をすくめる。


「まったく、大風呂敷を広げるのが好きな人ですわね。でも……やるからには、全力でいきますわよ」


くりもとは少女に向かって微笑んだ。


「大丈夫です。私たちは、まだ諦めませんよ」


その夜、くりもととドリルは少女の案内で、隠れて暮らす人々の集落へと向かった。そこには、わずかに生き残った人々が怯えながらも肩を寄せ合い、暮らしていた。


「これが……今のこの国の現実なんですね」


集落に入ったくりもとは、衝撃を受けた。人々は栄養失調に苦しみ、ボロボロの服をまとい、明日をどう生き延びるかという不安に苛まれていた。


「彼らは……毎日、機械兵に監視されて働かされ、反抗する者は容赦なく処罰されます。私の家族も……」


少女は涙をこぼしながら、くりもとに語った。その目には、恐怖と絶望しかなかった。


「……それでも、まだ諦めるわけにはいかないんです」


くりもとは強い決意を込めてそう言った。ドリルもその横で腕を組み、冷静に状況を見つめていた。


「くりもと、作戦はどうしますの? このまま突っ込んで行っても、ただの無謀ですわよ」


「ええ、分かっています。でも、まずは彼らの信頼を得ることが大事です。この集落の人々と一緒に立ち上がる方法を考えましょう」


くりもとは少女に微笑みかけ、他の集落の人々にも声をかけた。


「皆さん、私たちは決して諦めません。必ず皆さんを自由にして見せます!」


その言葉に、人々は戸惑いながらも、わずかな希望を見出していた。少女は涙を拭いながら、小さく頷いた。


「……ありがとうございます。どうか、どうか私たちを助けてください」


翌朝、くりもととドリルは集落を出て、再び機械兵たちの支配する街へと向かった。彼らの目的は、ロボットたちの司令部を突き止め、この国を支配する機械の中枢を破壊することだった。


「準備はいいですか、ドリル?」


「もちろんですわ。やるからには、全力で行きますわよ」


二人は決意を胸に秘め、廃墟となった街を進んでいった。瓦礫の向こうに見えるのは、無数の機械兵たち。その無機質な瞳が、まるでこの世界の絶望を象徴しているかのようだった。


「絶対に諦めません。この国を、もう一度自由にするために」


くりもとはハンドルを握り締め、前を見据えた。その瞳には、果てしない旅路への期待と、必ずやり遂げるという強い決意が映っている。


荒れ果てた世界の中で、二人の旅は続いていく。希望を求めて。そして、朽ちた国に再び光を取り戻すために。

くりもととドリルは集落のリーダーであるグレンと対話していた。グレンは中年の男性で、その顔には過酷な労働と試練の痕跡が刻み込まれており、彼の疲れた目には強靭な意志が宿っていた。グレンはこの国で唯一、機械兵の支配に抵抗するレジスタンスグループの指導者であり、その存在は人々にとって最後の希望だった。


「あなたたちが本気で我々を助けるつもりなら、こちらも全力で協力する。ただし、危険を伴うことは覚悟してほしい」


グレンは鋭い目で二人を見据え、その声には決意と覚悟が込められていた。ドリルは少し不満げに腕を組んでいたが、くりもとは真剣な表情で頷いた。


「もちろんです。この国を解放するために全力で戦います!」


ドリルはため息をつきながら、くりもとを見やった。


「ちょっと、くりもと。また大風呂敷を広げて……。まあ、ここまで来た以上、引き下がるつもりはないけどね」


グレンは頷き、地図を広げて説明を始めた。


「機械兵たちの司令部は、街の中心にある旧工場跡地にある。そこには多数の機械兵が配置されており、正面突破はほぼ不可能だ。しかし、レジスタンスの一部が地下にトンネルを掘り進めている。そのトンネルを使って内部に侵入し、司令部を攻撃するのが我々の作戦だ」


「地下トンネルですか……。でも、それで本当にうまくいくのでしょうか?」


くりもとは不安げに尋ねた。グレンは苦笑を浮かべた。


「成功の保証はない。しかし、ほかに選択肢がないのだ。君たちが協力してくれれば、成功の可能性は高まる」


「ふむ、仕方ないですわね。やってみましょう」


ドリルは杖を握りしめ、決意を固めた。


その夜、くりもと、ドリル、そしてレジスタンスのメンバーたちはトンネルの入り口に集結していた。トンネルは狭く、湿っぽい空気が充満している。レジスタンスのメンバーたちは緊張した面持ちで装備を確認し、戦いに備えていた。


「さあ、行きましょう!」


くりもとは声を張り上げ、先頭に立ってトンネルに入った。しかし、その後ろでドリルが不満げに呟いた。


「まったく、なんで私たちがこんな汚い場所を歩かなきゃならないのかしら……。魔法使いなのに、もっと華やかな場所が似合うのに」


「ドリル、そんなこと言ってる場合じゃないですよ。ほら、行きますよ!」


くりもとはドリルの手を引き、先に進んだ。


トンネルの先には、旧工場の地下施設に通じる出口があった。くりもとたちが出口に到達したとき、レジスタンスのメンバーの一人が耳を澄ませて合図を送った。


「敵が巡回している。少し待ってから行動するぞ」


全員が息を潜め、巡回する機械兵が通り過ぎるのを待った。緊張が高まる中、くりもとはふと鞄に手を入れた。


「……あれ? おにぎり、作れたかな……」


くりもとは小さな声で呟き、手を翳すと、おにぎりがぽんっと手の中に現れた。ドリルがそれを見て、思わずため息をついた。


「今はそんな魔法を使ってる場合じゃないですわよ……!」


くりもとは苦笑しながらおにぎりをしまい、再び気を引き締めた。


「さあ、行きますよ!」


機械兵がいなくなったのを確認し、くりもとたちは旧工場の内部へと侵入した。


工場内部は薄暗く、ところどころに機械の残骸や廃材が散乱していた。その中を進むと、突然、前方から警戒音が鳴り響いた。


「見つかったわね!」


ドリルは素早く杖を掲げ、魔法の光弾を放った。光弾は巡回していた機械兵に命中し、爆発音とともに機械兵は倒れた。しかし、その音で他の機械兵たちが一斉に動き出した。


「これじゃあ全員が来ますよ!」


くりもとは焦りながら、護身用に持っていたC96のモーゼルを取り出した。そして、狙いを定めて機械兵に向かって発砲した。


「くりもと、撃てるのですの!? あなたのその腕で!」


「やってみるしかないんです!」


くりもとは必死に引き金を引き、次々と機械兵を撃ち倒していった。しかし、それでも数は減らない。ドリルも光弾を放ち続けたが、機械兵たちの数は圧倒的だった。


「これではキリがありませんわ……!」


ドリルがそう叫んだ瞬間、背後からレジスタンスのメンバーたちが駆けつけた。


「ここは我々に任せろ! お前たちは先に行け!」


グレンが叫び、仲間たちと共に機械兵の包囲を引き受けた。くりもとは頷き、ドリルと共に先へ進んだ。


「グレンさんたち、無事だといいですけど……」


「心配しても仕方ありませんわ。私たちの目的はあの中枢を破壊することです」


二人は旧工場の奥へと急いだ。そこには、巨大な機械の中枢があり、無数のケーブルと機械装置が絡み合っていた。


「ここが中枢……。どうやって破壊すればいいんでしょうか?」


くりもとは周囲を見渡したが、そこに答えは見当たらない。しかし、ドリルは冷静に杖を構えた。


「ここは私に任せなさい。全ての魔力を注ぎ込んで、奴らを消し去ってやりますわ!」


ドリルは目を閉じ、集中して呪文を唱え始めた。杖の先が輝き始め、徐々にその光は強くなっていった。


「くりもと、少し離れていなさい。これは……少し派手になりますわよ」


くりもとは頷き、ドリルから距離を取った。そして次の瞬間、ドリルは全ての魔力を解放し、巨大な魔法の光が中枢を包み込んだ。


爆発音とともに中枢は破壊され、無数の機械装置が火花を散らしながら崩れ落ちた。


「やった……やりましたわ……」


ドリルは息を切らしながらも微笑んだ。くりもとはその様子を見て、安心したように駆け寄った。


「ドリル、すごいです! 本当にやっちゃいましたね!」


「当然ですわ……私を誰だと思っていますの……」


ドリルは疲れ切った表情でそう言い、くりもとは彼女を支えながら外へと向かった。


外に出たとき、空には朝日が昇り始めていた。廃墟となった街に、新たな光が差し込んでいた。人々は歓喜の声を上げ、くりもととドリルに感謝の言葉を述べた。


「やりましたね、くりもと。この国に光が戻りますよ……」


軍事国家の宣言


しかし、彼らの戦いはまだ終わっていなかった。


くりもととドリルが車に乗り込み、エンジンをかけたとき、グレンが台に立ち、演説を始めるのが窓から見えた。


「これからは我々が統率する軍事国家として樹立する。我々は指導者だ。指導者のお導きを軽視する奴はどうなるかわかっているな?」


グレンの声は力強く、まるで新たな秩序を誓うような響きだった。くりもとはその言葉に一瞬反応したが、ドリルは彼女の腕を引き留めた。


「助けに行くべきかもしれませんが……」


「ダメですわ、くりもと。もう私たちにはどうすることもできません……」


窓ガラス越しには、グレンの意見に反発する者が銃殺され、その亡骸が無音で地面に転がる様子が見えた。その亡骸に駆け寄る一人の少女の姿があった。彼女は最初にくりもとたちと出会った平和を求める少女であり、亡骸は彼女の妹だった。少女は涙目でグレンに訴えたが、グレンの部下にビンタを食らい、何も言えなくなってうつむいた。別の部下がお前も仲間だと言わんばかりに、抱きかかえる亡骸を奪い取って投げ捨て、代わりにAK47のアサルトライフルを押し付け与えた。くりもととドリルは何も言わず、その国を去った。


終わりなき運命


「結局、力を持った者に統率されるのが運命だったのだ……。あの国はずっと、そういう暗い運命を引きずってきた国なんだ……」


くりもとは静かに呟きながら、アクセルを踏み込んだ。その言葉は、彼女自身に向けた諦めのようにも、次の地へ向かう決意のようにも聞こえた。

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