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季節…秋 時間…朝 天気…快晴 曜日…日曜日 キーワード①…鏡 キーワード②…敗北
快晴だった。
空は高く、澄みきっていて、雲ひとつなかった。
乾いた風がベランダの洗濯物を揺らし、どこかの家からパンの香りが漂ってくる。
だけどその部屋の中、鏡の前に立つ誰かは、微動だにしなかった。
日曜日の朝。
学校も、部活もない日。
本当なら、息を吸い込むたびに胸が軽くなるはずだった。
けれど、鏡の中の自分は、まるで何かに「負けた人間」みたいな目をしていた。
いや、実際そうだったのかもしれない。
「……こんな顔、してたんだ」
呟いて、手で前髪を整えるふりをしながら、視線を逸らす。
鏡は誤魔化してくれない。
敗北をごまかすには、朝の光は明るすぎた。