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季節…春 時間…午後 天気…雪 曜日…水曜日 キーワード①…包帯 キーワード②…刹那

午後3時すぎ。

教室の時計が、規則正しく秒を刻んでいる。

水曜日。廊下は静かで、まるで学校全体が眠っているようだった。


窓の外では、雪が降っていた。

季節はもう春なのに。

数日前には桜が咲きかけていたはずなのに。

目の前で、白い粒が空から舞っている。


窓辺に立つその子の右手には、真新しい包帯が巻かれていた。

手首から指の付け根まで、丁寧に、まるで誰かの手によって大事に包まれたように。


「……あのとき、全部止まったんだよ」


誰にも聞こえない声でつぶやく。

雪が降り始めた、その瞬間。

包帯が巻かれた、その瞬間。

世界の音が消えた、その瞬間――


全部が、刹那に閉じ込められていた。


ただの春の午後だったはずの時間が、

白くて静かで、凍りついたみたいに動かなくなっている。


窓の外では、相変わらず雪が降っていた。

その子の中だけに、時が止まったまま。

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