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季節…秋 時間…夕方 天気…曇り 曜日…水曜日 キーワード①…包帯 キーワード②…幸福

夕方5時。

街はもうオレンジじゃなくて、グレーの空に包まれていた。

秋の風が、シャツの隙間から肌に入り込んでくる。

水曜日、学校帰りの公園。

誰もいないベンチに、彼はひとり座っていた。


左手には、白い包帯。

きつく巻かれていて、少しだけ滲んだ赤が見えている。


でも、表情は穏やかだった。

少し、笑っていた。


ポケットの中には、折りたたんだ手紙。

「今日もよく頑張ったね」って、たったそれだけの短い言葉。


たったそれだけで、今日という日が報われた気がした。


風が吹くたび、木の葉がさらさらと揺れる。

雲のすき間から、ほんの少しだけ光がこぼれた。


傷ついた手を見下ろしながら、彼はぽつりとつぶやいた。


「……これが、幸福ってやつかな」


空はまだ曇っていたけれど、

その心には、ほんの少しだけ、晴れ間が見えていた。

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