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季節…冬 時間…夜 天気…台風 曜日…日曜日 キーワード①…薬瓶 キーワード②…現実
日曜日の夜、台風が街を叩きつけていた。
風がビルの隙間を唸りながらすり抜け、窓ガラスがわずかに震える。
カーテンの隙間から覗く街灯は、雨粒に滲んでぼやけていた。
机の上には、薬瓶がひとつ。
ラベルは擦れて、誰の薬だったのかさえもうわからない。
半分だけ残った白い錠剤が、現実と夢の境を曖昧にさせる。
「……これが、正しかったのかな」
その声は、誰にも届かない。
風の音に紛れて、自分自身にも聴こえなかった。
部屋の時計は23時を指していた。
けれど、その時間が"現実"かどうかも、今の自分にはもうよくわからなかった。