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7話 夢のキャンプ生活

「レベルが上がってまたMPが全快した!」


「「そんなことあるのか!?」」

 と、2人。


 そこで私たちは材料を集めて井戸や釜の整備をし、釣り竿を作って海で魚を釣った。


 そして火種と焚き火を作ると、釣った魚を突き刺して焼き魚にした。

 朝食の出来上がりである。


「わぁぁ美味しそう……!」


 私はその脂の滴る魚へがぶっと噛み付く。すると、病院やお城の中でなど到底味わうことのできない自然の美味しさが口いっぱいに広がった。


「美味しい……!」


「な、苦労して獲っただけあってすげぇ美味いな!」

 ノエルも豪快にかぶりついている。


「エマ……そんな美味そうに食うんだな……」


 何やらオスカーの視線を感じたので彼の方を見るとバチッと目が合い、彼はハッとしてすぐに視線を反らした。


 そんな彼へノエルが突っ込む。

「なぁお前さ、もしかして……照れてんのか?」


「そ、そんな訳がないだろう!」

 オスカーは顔を真っ赤にして咳き込んでいた。


 確かに今は照れてるように見えるけど……、私が近付くと怖がっていたのも多分本当だ。

 一体彼の中でどういう事態が起こっているのか……。私の脳内にはハテナがいっぱい飛び交っていた。



 その後も仮眠を取りながら生活に必要なものを次々にクラフトしていき、小屋ももっと大きくしてそれそれの寝室やお風呂にトイレなども揃えることができた。

 そして私は動きにくいドレスなんか捨てて、元気な冒険者に見えそうな服をクラフトした。



⸺⸺日の暮れる頃。


 私たちは焚き火の幻想的な灯りの下で、BBQを行っていた。


「これで肉と酒がありゃ最高なんだけどな。ま、これも美味いけど」

 ノエルはそう言いながら“焼き野草”を頬張る。


「あ、そう言えば……」

 ここで私にある疑問が生まれる。


「「ん?」」


「ここって魔物は出ないの? ほら、王家の隠し通路ではたくさん魔物がいたから……」


 その私の問いに対し、オスカーが答える。

「ここは昔から聖獣様のご加護があって、魔物が湧かない島なんだ」


「聖獣様のご加護……! そんなのがあるんだぁ……」


「あぁ、だから安全面で言えばここ以上の島はない。まぁ、エマが居てくれなかったら今頃大変だっただろうが……」


「あはは、それは結果オーライ。でも、それなら安心だね。聖獣様に感謝しなくちゃ」

「あぁ」

「だな」


 それから私は安全だと言うことが分かると、前世の夢だったことを語る。


「私ね、ずっとこうやって、自然に囲まれてキャンプみたいなことをするのが夢だったの」


「この野営が夢!?」

 と、ノエル。


「うん……前世の私は病弱で、ずっと病院で生活してきたから……こんなふうにキャンプなんか絶対出来なかった。あ、私の前にいた世界の人たちはね、わざわざ道具持ってキャンプっていう野営をしにいくんだよ」


「そう、だったのか……」

 驚いた表情で相槌を打ってくれるオスカー。


 それと、恋愛小説のような恋をすることも夢だった。でもそれはさすがに恥ずかしくて言えない。


「お城の生活も、最初は綺麗なドレスとか着れて楽しかったけど、すぐに息が詰まってきちゃって半日が限界だった。それに……改造とかされなかったとしてもあんな王子はちょっと……」


「だな」

 と、ノエル。


「それが聞けて良かったよ。俺が巻き込んだせいであんなお城の贅沢な暮らしからは一変してしまったからな……」

 オスカーはホッとしたような表情を浮かべていた。


「そう言えば、ここ着いたら話してくれるって……」


「あぁ、別荘があんなことになっていてまた先延ばしになっていたな。エマは巻き込んだ以上知る権利がある。この世界にもまだ慣れてないだろうが、聞いてもらえるか?」


「もちろん! 聞かせてください」


 私は興味津々でオスカーの話に耳を傾けた。


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