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6話 スキル開眼

⸺⸺王家の別荘の孤島⸺⸺


 潜水艇が浮上して、私たちは目的の別荘のある孤島へと上陸した。


 外は既に朝になっていて、朝日がとても眩しかった。

 そこはとても静かな場所で、奥の方に屋敷の崩れたような跡と、更にその奥には森と山脈が広がっていた。


 秘密の隠れ家のような、そんな雰囲気のところであった。


「なっ……別荘が……!」

 オスカーは崩れた屋敷の方を見て唖然としている。


「あれが、王家の別荘だったの?」


「あぁ、そうだ……」


「ま、最後に使ったのいつだよってくらい前だから、しょうがねぇな」

 と、ノエル。


「エマ……俺たちはこの孤島でしばらく身を隠し、あの別荘で生活をする予定だったんだ……」

 オスカーはそう言って落胆する。


「えっと……屋根も崩れ落ちてるし……あそこに住むのは危なそうだね……」


「とりあえずあっち行ってみようぜ」


 ノエルにそう言われて私たちはトボトボとその別荘跡へ歩いていく。



 そして目の前まで来ると、より一層ボロさが際立ち、この中では住めないことを思い知らされた。


「ここならエマも不自由なく暮らせると思ったのだが……すまない……しばらくはこの別荘の使えそうな部分を剥ぎ取って掘っ立て小屋でも作るしかないか……」

 と、オスカー。


「掘っ立て小屋でも十分! それなら暗くなる前に作っちゃわなきゃ」


 私は前世でハマっていたサバイバルゲームを思い出す。

 今それが現実になろうとしている。そう思うと、こんな状況だと言うのに私はわくわくした。



 ⸺⸺その時だった。


 急に私の頭の中へ色んなアイテムのレシピが雪崩れこんで来た。


「うわぁ、何これ……」

 私は頭を抱えてうずくまる。


「「エマ!?」」


 その光景が終わり、ふらふらと立ち上がると、オスカーとノエルが心配そうに私を覗き込んでいた。

 そんな彼らへ私は口を開く。


「この状況、なんとかなるかもしれない」


「お?」

「それはどういう……それよりもエマ、身体は大丈夫なのか?」


「大丈夫。ちょっとやってみます」

 私は両手を地面にかざし、作業台を思い浮かべてみる。


 すると、ポンッという軽快な音を立てて何もない空間に作業台が飛び出てきた。


「うお、すげっ!」

「なっ……これはまさか……!」


「うん、クラフトのスキルだと思う」


 作業台を見ると、隅の方にMP200/200の表記があった。

 つまり、クラフトをするには魔力を使うということだ。


 試しに小屋の床を作ってみよう。

 私は“小屋の床”のレシピを思い出す。


「メタの木……かぁ。2人とも分かる?」


「メタの木ならこの島に嫌というほど生えてるぞ!」

 と、オスカー。


「よし、んじゃ俺そこの森で集めてくるわ! オスカーはエマの護衛よろしく」

 ノエルは別荘裏の森へと入っていった。


「あぁ、ノエル頼んだ。ところでエマ、メタの木があれば何ができる?」

「えっと、メタの木は……木製と紙製のアイテムの素になってるみたいだから、木や紙でできているものなら何でも作れそう」


「す、すごいじゃないか! しかもメタの木は成長がめちゃくちゃ早く、材料に困ることもないぞ!」

 オスカーは興奮気味にそう言うと、私へと詰め寄ってくる。


「そうなんだ! って、オスカー……こんなに近付いて大丈夫?」

「うわぁぁぁぁ! す、すまない調子に乗った……」

 オスカーは尻もちをついてズルズルと後退っていった。

 やっぱ、ダメなのか……。



 そして10分くらいでノエルが大量のメタの木を抱えて戻ってきたので、私は作業台で床をクラフトし、近くの地面に手をかざすと6畳くらいの床がボンッと地面に現れた。


「すげぇ!」

「これは……いけるぞ!」


「なぁエマ、壁は?」

 と、ノエル。


「やってみる」

 私は床の上に移動し、壁をクラフトして置きたい空間に手をかざすと、またもやボンッという音がして床に差し込まれるように1畳分くらいの壁が現れた。


「すげぇ! ちゃんと縦につくんだな!」

 ノエルは大興奮している。


「MPというのは持ちそうか?」

「えっと……今ので25消費したから……小屋1つ分くらいならなんとかなりそう」

 私は作業台の隅を見てそう答えた。



 そしてなんとか片開きの戸を1枚つけた屋根付きの小屋を作ると、私のMPはちょうど空になったが、作業台のMP欄の上部に“Lv2”と表示され、MPは202/202になった。



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