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2話 幸せの基準

 私はその日たくさんの召使いの女性に囲まれながら落ち着かない1日を過ごした。


「そう言えば、そのナーサ村っていうのはどうなったのでしょうか?」

 私は召使いの一人に尋ねる。


「まぁ、召喚されてすぐ田舎の村のご心配をなさるとは……さすがです。ナーサ村ならご心配なく。ローレンツ騎士団長様が許可なしに騎士団を派遣して、無事魔物は殲滅されたとのことですよ」


「そ、そうでしたか……良かったです」

 私はホッとする。


「でも……」

 彼女はそう言ってうつむいた。


「何か、あったんですか?」


「ドム王子の許可なしに勝手に騎士団を派遣した罰で、ローレンツ騎士団長様は数日の謹慎処分となってしまいました」


「そ、そんな……!」


 来たばかりの私でも、彼が正しいことをしたのが分かるというのに。


 そもそも国王ではなく王子が取り仕切っているこの状況が私には理解が出来なかった。



 すると、別の召使いさんが話しかけてきた。

「エリザベス様は良いですね。生まれ変わったらいきなり王妃候補なんですから」

「そ、そうですね……」

 私は苦笑して誤魔化す。


「私もあんな王子でもいいから王族のお嫁さんになりたかったです」

 別の召使いがそう言うと、更に別の召使いが慌ててこう告げた。


「あんな王子なんて言い方したらどんな罰を受けるか分からないわよ!」

「あはは、エリザベス様、今のは聞かなかったことに……」

「はい、大丈夫です……」


「でもいいなぁ、王妃なんて幸せな人生しか待ってないですよね」

「ホントホント~」


 そんな彼女らの会話をよそに、私の頭はぐるぐると回る。


 おめかししてる時はそりゃ浮かれちゃったけど……。あのドムっていう王子様、かなり自分勝手そうなんだけど。

 それでも、彼女らの言うように、私には幸せな未来が待っているのかな?


 前世ではあまり人と関わって来なかったせいで、私は彼女らに対して自分の意見を述べることができず、ただただ愛想笑いをすることしか出来なかった。



⸺⸺その夜。


 私はドム王子の寝室に呼び出された。


「ドム王子、失礼致します」


 私が寝室の扉を開けると、既にパンツ一丁になったドム王子が息を荒くして扉の前まで私を出迎えに来た。

「遅かったではないかエリザベスよ! むふふ……寝間着姿もそそるなぁ……。焦らされた分、たっぷりとお仕置きせねばなぁ……」


 彼がそう言ってその場でパンツを脱ごうとするので、私はおぞましくなり、咄嗟に彼の股間を蹴飛ばしてしまった。

「きゃぁぁぁぁっ!」

「ぐほぁっ!?」


 ドム王子はその場に崩れ落ちると股間を抑えてピクピクと(もだえ)ていた。


「ひぃぃ、すみませんドム王子……!」


 謝っては見たものの、彼からの返事は全くない。どうしよう……私大変なことしちゃったかも……。


 そして私の悲鳴を聞きつけてか、ドム王子の寝室に城の兵士が集まってくる。


「エリザベス様! いかがなさいましたか!?」


「ち、違うんですこれは……!」


 私は怖くなり、兵士たちを押し退けてその場から逃げ出した。


「エリザベス様、どちらへ!?」

「見ろ、ドム王子が下着一枚で……」

「ど、どうしたらいいんだこの状況……」


 城内が騒然とする中、私はこの状況から逃れるために必死に走った。


 これが、こんなのが……幸せな訳がない!


 私は誰にもそう訴えることもできずに、一人涙を流した。


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