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空気酒の星

作者: はやまなつお


我々は地球から飛び立った惑星調査隊。


久々に地球型惑星を発見した。


「大気は呼吸可能です」


さっそく着陸。


「おや、香水のような良い香りがする。これは?」


「人工的に大気を作り出しているようです」


町があった。西暦1970年ぐらいの文明。

原住民は地球人そっくり。

肌の色や髪の色はカラフル。


翻訳機で話す。

「やあ、こんにちは」


「こんにちは。よその星の方のようですね」


「ええ・・・。驚いていないようですね」


「年に3、4組ぐらいは来ますから。

ゆっくりしていってください」


「あの、この星の代表の方は?」


「ああ、町の中央の大きい建物へ行ってください」


行くと町長が出迎えてくれた。

「ようこそ。異星の方。ゆっくりしていってください」


「これは妙だ。親切すぎる。

 悪意ある侵略者だったらどうするつもりだろう?」



3日後。私は飛行艇で、星のあちこちを調査してから最初の町に戻った。


船長達10名はホテル(と言っても広い1戸建て)で、のんびりしていた。


「調査終わりました。どの町もここと同じように無防備で住民は親切です。

これはどうなってるんでしょう?」


「ここはすばらしい。我々も仕事を辞めてここでのんびりしよう」


「どうしたんですか?あなた方まで」


船長達は町の人間と同じく、善良な無気力状態に変わっていた。


「いったい何をしたんです?」私は町長に尋ねた。


「隠す必要はありません。お話しましょう。

この星も100年前まではずっと戦争状態でした。


いつ最終戦争で、この星の人間が全滅するかわからない危険な状態だった。

ある科学者が空気中に酩酊ガス、良い気分になるアルコール、ドラッグを

噴霧しました。もちろん人体には無害です。


人々は無気力になり、1日3時間しか働かなくなった。でも戦闘意欲、征服欲は消えて

善良な性格の者ばかりになったので、文明は後退しながらも続いています」


「でもそれは洗脳ですよね?」


「そうです。良い方向への洗脳なら構わないのでは?」


「うーむ」


「あなたには効果が無いようですね?なぜです?」


「私は人間の脳データをコピーした100%機械のロボット人間です。

ガスの影響は受けません。ちなみに人権は認められています」


「そうでしたか。この星の人間は異星の来訪者もガスでここに留まる人が多い。

それでこんなに他種族なのです。


ヒューマノイドタイプでないとガスは効果が無くて立ち去ります」


「もしヒューマノイドタイプではない侵略者が来たら?」


「異星の科学を取り込み続けて武器は完備しています。そして私も」


胸を開いてみせる。電子部品。

「ロボットです。軍警察と言った役割です。悪意ある来訪者は撃滅しています」



「さて、あなたはこれからどうしますか?」


「船長達を回収して去るつもりですが・・・妨害しますか?」


「あなた方は我々・・・この星、ミドガル星人と同じ精神パターンです。

すなわち戦争を好む未開種族。あなた方の文明もガスで従順にしないと争いをやめない」


「宗教もそうですが押しつけはよくありませんよ」


「我々の、いや、宇宙の平和のためです。確保!」


私は動けなくなった。何かの力場に捕まったらしい。

私は行動開始のテレパシーを送った。


ドオオオン!遠くで爆発音。巨大な煙が昇っていく。


「む?何をした!これは・・・」


サイコ生命体たちが大気調整のガス工場を破壊した。この惑星全部の。


「これでこの星の住民は目を覚ますでしょう」


「何ということを、平和の破壊者め!」


「ガスで無力化するのはロボトミー(脳切除)と同じく異常ですよ。

全住民の人格チェックと悪人削除法をおすすめしますよ」


「それも勝手なことでは?」


「とにかく船長達を回収して脱出します。邪魔をすれば」


「得体の知れない、こちらの知らない手を使えるようだな、さっさと出て行ってくれ」


船長達を回収、船に戻って発進した。

大気圏でこの星のさまざまな兵器の攻撃を受けたが防御シールドは持ちこたえた。


サイコ生命体たちが軍事基地を破壊、攻撃は収まった。

正気に戻った住民たちが暴れ始め、ミドガル星は混乱状態になった。


もし我々を黙って離脱させるならこんなことはせずに済んだのだが。

最初の普通の人間の調査員たちは囮。本当の調査員は別にいる。


ミドガル星を危険度Aとして本部に通信、我々は別の宙域に向かった。



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