書いてみる
真里は文章を書いてみることにした。
全くの思いつきである。確固たる信念や、情熱を持って伝えたいことがある訳ではない。
ただ、自分の脳内を文章にして書いてみたくなったのだ。
何故か。
2年前に、乳がんを患ったことから始まる。やはり癌というと死は意識する。
死にたいか死にたくないか、真里はよくよく考えたが、個人としてはそれほど死にたくも死にたくなくもなかった。
どうでも良い訳ではないが、人間いつか死ぬものだから、仕方のないものとして考えている。
ただ、子供たちがまだ、未成年だ。
幼くはないから心配は要らないだろうが、母が母としてではなく、人としてどんな人間だったのか、知るのにはまだ時間がかかるだろう。
人間としての生の親をきちんと評価できるようになることが、自立には必要だろうと思うので、その評価材料をまだ残してやりたいなぁと思うのだ。
それと同時に、死ぬのもそれほど悪くはないが、この脳内で日々繰り広げられるめくるめく真里ワールドが、ぷつりと消えて後に何も残らないことが、すこーし勿体無いような気もしたのだ。
もしかしたら、真里の脳内から出る何某かの情報をもとに、世界を救ってくれる天才が居るかもしれない。
もしかしたら、真里の妄想から、世界の真理を解き明かしてくれる科学者が居るかもしれない。
もしかしたら、20年連れ添っても把握しきれなかった、真里の新しい一面を夫が知り、愛を深めてくれるかもしれないではないか。
そう言う訳で、真里は文章を書いてみたくなったのだ。
真里の脳内の垂れ流しを。
ああ、乳がんは標準治療を終えて、今は経過観察に入っている。
真里はまだしばらくはがんでは死なない予定である。
全くのど素人の初投稿です。
システムにもまだ慣れないため、優しくしていただけると助かります。
不定期更新予定です。3日坊主で終わったらごめんなさい。