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第8話 スキルの価値は?

初めての投稿小説です。

応援していただければ幸いです。

よろしくお願いいたします。

 前代未聞の「お手伝い」スキルの出現に、クレア王女と鑑定魔術士はあっけに取られていた。

 

 しばらくの沈黙の後、クレア王女は鑑定魔術士に尋ねた。

「本当に過去に「お手伝い」スキルが出現したことはないのか?」


 鑑定魔術士は、

「はい。このスキル辞書には過去の勇者召喚時の記録や、この世界の住民が元来保有しているスキルが全て記載されていますが、「お手伝い」スキルというものは記載にありません。

 恐らく王国史上初と思われます。」

 

 と、相変わらず冷や汗をかきつつ回答した。

 そりゃ、過去の記録がなかったら焦るよね。


 クレア王女は、

「ふむ、それではどのようなスキルかも全くもって不明ということじゃな。

 それでは魔術士よ、この者を直接鑑定してみるのじゃ。」


 と鑑定魔術士に指示し、僕には

「お主を直接鑑定してみるから力を抜いて楽にするのじゃ。

 なに、取って食ったりはせんから安心するがよい。」


 と言って直接鑑定なるものを受け入れるよう指示?命令?した。


 まあ、断る理由もないから仕方ないよね。

 僕もどんなスキルか知りたいし。


 鑑定魔術士は僕から1mほどの距離を置いて正面に立つと、「鑑定」と呟いた。


 これがかの有名な詠唱であろうか?


 なにやら手元付近の空中をみてフムフムと言っている。


 これはもしかして彼だけに見える文字盤のようなものがあるのだろうか?


 ゲームで言うところのステータスボード的な何かかな?


 鑑定魔術士はクレア王女に、

「鑑定できました。「お手伝い」スキルの効果は、

 「他人の仕事を見よう見まねで手伝うことができる。スキルの無い人よりちょっと早く仕事のコツを掴める。」

 であります。」


 と回答した。


 心なしか、表情がなくなっているように感じるのは気のせいか?


 クレア王女はこめかみをピクピクさせながら、

「要は、スキル無しの者よりちょっとだけ器用で便利なお手伝いということか・・。

 しかも主体的に何かができるわけではないということじゃな・・。

 1人では何もできんということか・・(怒)。

 いったいあの派手な演出はなんだったのか・・?(怒)」


 と呟いている。


 あ、これはもしかしてキレてます??

 もう演出というワードを隠す気すらないですよね?


 クレア王女は僕のほうを向きながら、

「念のためそちも自分で確認するのじゃ。

 「ステータス」と詠唱すればそちの手元にそちにしか見えない文字盤が現れる。

 そこに記載されているスキルの解説が、いましがた鑑定魔術士が言った内容と一致しているかどうか見てみるのじゃ。」


 と冷淡に指示してきた。


 あ、これはあれですね。

 断ったらえらいことになるパターンですね。


 この場を穏便にやり過ごすためには黙って言うことを聞くのがベストってやつですね。


 現在の職業は気楽な大学生とはいえ、いろんなバイトを掛け持ちしている僕はそれなりに大人の社会と接点があるので、これくらいの空気は読めるのだ。


 空気を読めるってある意味社会人に必須の能力だよね・・。


 僕はクレア王女の指示(という建前の命令)に一切逆らうことなく、「ステータス」と呟いた。


 すると本当に僕の手元に半透明のタブレットサイズの文字盤が浮かんできたぞ。


 文字盤には次のとおり記載されていた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

・名前(年齢):七条 拓(21歳)

・種族:人属

・レベル:1

・スキル(メイン):お手伝い

・スキル(メイン)の効果:

 他人の仕事を見よう見まねで手伝うことができる。

 スキルの無い人よりちょっと早く仕事のコツを掴める。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 うむ、確かに鑑定魔術士の言ったとおりだね。


 ステータスボード?を確認した僕はクレア王女に、

「ご安心ください。スキルの効果は鑑定魔術士さんの言ったとおりでした。」

 

 とにこやかに回答した。


 それを聞いたクレア王女は、こめかみを更に高速でピクピクさせながら、

「わかった・・・。

 どうやら本当に王国史上初のようじゃな・・。

 いろんな意味で・・(怒)。」


 と諦めたように呟くと、

「これにてスキル確認の儀を終了する・・・。

 今日はいろいろあって疲れたであろう・・。

 妾もいろいろと疲れた・・・。

 今後のことは明朝に説明することとする。

 それぞれの居室に案内させるから今日はゆっくりと休むがよい・・。

 余裕があればそこのお手伝い勇者以外の者達も自分のステータスを確認しておくがよい・・。

 セバスチャンよ、あとは頼んだぞよ・・。」


 と言い残してこめかみを押さえながらフラフラと歩いてホールから退出して行った。


 お付きのメイドが慌てて後を追いかける。


 後に取り残された僕と高校生達は突然の儀式終了宣言にあっけに取られたが、どうすることもできないので、執事のセバスチャンさんに案内されるままホールを後にした。


 この歯切れの悪い結末が僕のスキルのせいでないことを信じたい・・。


 気のせいか周りの高校生の視線が冷たいような気がするが。

 

 若者たちよ! 人の価値はスキルじゃないぞ! 


 たぶん・・。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

感想などいただけると励みになります。


引き続きご覧いただけると幸いです。


よろしくお願いいたします。

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