第7話 僕のガチャの結果は?
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クレア王女が僕に鑑定を促す声を聞きながら、僕はいったい何になりたいと思っていたのだろう、と考えていた。
思い起こせば、近くに自衛隊の基地があったこともあり、将来は兵士になりたいと思っていた。
特にパラシュートで降下訓練中の隊員さんを見ては、ああ僕もいつかはああなりたいなーと考えていたものである。
空挺降下からの電撃強襲ってロマンがあるよね。
そういう背景もあり、小学生の頃から親に無理を言っていろんな習い事に通わせてもらっていた。
剣道、柔道、日本拳法、銃剣道、合気道、レスリング、ボーイスカウト、ラグビー等々、将来兵士になるのに必要と思われる武道やスポーツをいろいろと習った。
浅く広くだけどね。
近くの自衛隊の駐屯地の関係者の皆さんが町の道場などでボランティアで教えてくれていたので、習う機会に恵まれていたのも幸運であったが。
中学生になってからは町の道場の他に弓道部と料理部に入ってサバイバル能力の向上を図り、高校生になってからも弓道部と料理部を続けたんだよね。
なんとなく自分に合ってたのと、女子部員もたくさんいて部活に行くのが楽しかったからね。
残念ながら高校時代は彼女はできなかったが・・。
あとは、昔取った杵柄じゃないけれど、人数不足の部活のお手伝いもしていたね。
特にラグビー部は慢性的に部員不足だったので地方大会の助っ人としてよく呼ばれたな〜。
まあ、体の線が細目なのでバックスで走り回っていただけだったが。
一応、何度かトライはゲットしたんだよ。
トライの瞬間はラグビーワールドカップの日本代表選手になれたような気がしたのはいい思い出だ。
高校卒業と同時に自衛隊入隊も考えたけど、いろいろ学んでから社会に出たいというのもあって通信制大学で教養を学ぶことにしたんだった。
通信制の利点を活かして空いた時間でいろんなアルバイトをしたり、昔お世話になった町の道場で子供達の練習のお手伝いをしたり、ボーイスカウトの引率のお手伝いをしたり、あとは新たな趣味と将来に向けた訓練を兼ねて釣りをしたりサバゲーに行ったりしてたなー。
ちなみにサバゲーはアタッカーとスナイパーの両方を楽しんでました。
服と装備を揃えるのにお金がかかり、がんばってバイトしたな〜。
あとは、いつか自分のサバゲーチームのワッペンをデザインしようと思ってイラストの練習もしたっけ。
主にミリタリー系美少女のイラストとか。
いろんな装備が擬人化された系のやつね。
あ、プラモデル作りも好きだったね。
中に乗って操縦できる系のロボットとかね。
一つ目の緑色の量産タイプが一番好きだったな。
結局のところ、いろいろなことをして楽しみたいという思いが強かったのかな?
そんな思いを実現できるスキルが付与されればいいな〜と考えているうちに水晶の前に到着してしまった。
クレア王女と既に鑑定を終えた高校生達が何かを期待するようなワクワクした眼で僕を見ている。
クレア王女はあれだな、きっとさらなる当たりスキルを期待しているに違いない。
他の高校生はこの見知らぬ大学生がいったいどんなスキルを付与されるのか気になって仕方がないに違いない。
もしかしたら一緒に旅する仲間になるかも?しれないしね。
ここまで来たらジタバタしても仕方がない、とばかりに他の高校生達と同じように水晶玉に手をかざしてみる。
すると水晶玉から無数の光の筋が延び始め、それがまばゆく回転し始めた。
もうキラッキラでミラーボール状態である。
これはもう、モンクリのガチャで言うと、★6キャラで板神化済み(注:クリケットの漢字表記は板球)、各パラメータは最大まで成長済みの超レアキャラを引いたときの演出である。
クレア王女と鑑定魔術士は「おお!これは!こんな演出みたことないぞよ(ないです)!」と声を上げている。
召喚関係者にとっても珍しい状況のようだ。
てゆうか、いま演出って言ったよね?
当然ながら高校生達も大注目である。皆、左右の黒目が★と6になっているぞ。
ようやく光が収まると、水晶玉に文字が浮かんできた。
クレア王女は鑑定魔術士に確認を促す。
「魔術士よ、早くスキル名を確認するのじゃ!
こんなガチャの演出は記録に残っていない。
かなりのレアスキルと思われるのじゃ!」
と、大興奮である。
てゆうか、既にガチャであることを否定すらしていないぞ!
やはりガチャの概念も過去の勇者が持ち込んだに違いない。
クレア王女にせっつかれた魔術士が水晶玉に浮かんできた文字を確認しようと、眼をこらす。
文字を確認した魔術士がかなり驚いた表情を見せたあと、眼をパチクリしたり擦ったりしながら何度も何度も確認している。
ついには手元の辞書のような本をめくって見始めた。
どうやらスキル辞書のようなものを確認しているらしい。
もしかして今まで発見されたことのない新スキル??
しびれを切らしたクレア王女が我慢できなくなって、
「ええい!、いったい何と書いてあるのじゃ!
スキル名を早くいうのじゃ!」
と魔術士に詰め寄りはじめた。
魔術士は諦めた様子で、冷や汗をかきながら恐る恐る回答した・・。
「スキル名は・・『お手伝い』でございます・・。
なお、今までに見たことも聞いたこともありません・・・。」
「「「「お手伝い!?」」」」
と、クレア王女や高校生が叫ぶ声がホール中に響きわたった。
もちろん僕の声も入っていたけどね・・。
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