第46話 異世界ギョーザ
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とりあえずチャロンと亜季ちゃんの3人で内勤者用の食堂に来ました。
野外訓練に出かける際の食料を分けてもらおうという算段です。
昼食も終わって、内勤者用食堂のスタッフさんも一息ついている頃なので問題ないでしょう。
「こんにちは。料理長はいらっしゃいますか?」
と、近くにいたスタッフさんに声をかける。
「あら、賄い勇者様じゃないですか?
また何か作られるんですか?」
とキラキラした目で応答される。
「いや、今日は料理長にちょっとお願いがありまして。」
「あら残念。また機会があったらお願いしますね。
料理長を呼んできますので少々お待ちください。」
と、スタッフさんが料理長を呼びに行ってくれた。
ハンバーガーにカレーにと、日本風の食べ方を紹介したのが良かったのか、好意的な対応だね。
有り難い話である。
「あらチャロンと勇者様じゃないか?
今日はどうしたんだい?」
「こんにちは、料理長さん。
実は近日中に野営訓練に行くことになったので、調味料やお米とかの乾き物の食料を分けて頂けないかと思いまして。
お願いできますでしょうか?」
「ああ、もちろんいいよ。
食べる量は変わらないから、訓練日数に合わせて持てる分だけ持っていけばいいさ。
それより今日は材料が余っちゃっててね。
ひき肉と小麦粉の生地が結構あるんだけど何か作れないかい?」
「そうですね〜。
いくつか野菜を使わせて頂ければ一品できるかもしれません。
ちょっと野菜のストックを見せていただいてもいいですか?」
「ああ、もちろんだとも。
調理場にいろいろ置いてあるから遠慮なく見ておくれ。」
僕達は調理場に入らせてもらって野菜のストックを確認する。
さすがに王城の中の食堂だけあって、いろんな野菜が置いてあるね。
欲しい野菜は、キャベツ、ニラ、ニンニク、ショウガあたりなんだけど・・、あ、あったね。
それっぽい野菜たち。
これらを使わせてもらおう。
調味料は塩、こしょう、酢としょうゆっぽい何か、ごま油があるね。
ちょうどいい。
「この辺りの野菜と調味料を使わせてください。
あと、みなさんも一緒につくりませんか?
皆でたくさん作ると美味しい一品なんですよ。」
「ああ、もちろんだとも。ちなみに何を作るんだい?」
「私の故郷ではギョーザと言われている料理なんですよ。
ひき肉と野菜のみじん切りを混ぜ合わせて小麦の皮で包むんです。
これをたくさん作ってフライパンで焼くと美味しいんですよ。
早速作りましょう!」
僕はチャロンと厨房の人に野菜のみじん切りを頼む。
ギョーザを知っている亜季ちゃんにはギョーザの皮作りをお願いする。
小麦粉の生地で直径10cmくらいの薄い円形生地を大量生産してもらおう。
僕達3人と厨房にいた10人くらいで野菜を細かく切って、ひき肉と混ぜて、皮に包んで・・・をひたすら繰り返す。
気がつけばギョーザが500個以上できてしまった。
「ちょっと試しに焼いてみましょうね。」
と、僕と亜季ちゃんでギョウザを10個1セットにして、片栗粉代わりに小麦粉をふって、フライパンに油を引いて試しに焼いてみる。。
焼き色がついたら水を加えて弱火で10分くらい蒸し焼きに・・・、で美味しそうな羽付きギョーザの出来上がりです。
こんなもんかな?
あとはタレだね。
僕と亜季ちゃんで酢としょうゆっぽいもの、さすがにラー油は無かったのでごま油をちょっと混ぜてタレを作る。
「できましたよ!さあ皆さん試食をどうぞ。
ギョーザをタレにつけて召し上がってください。」
と、タレを小皿に分けて厨房の皆さんに勧める。
香ばしいギョーザの匂いにつられて食堂のスタッフさんが厨房にワラワラ集まってきてギョーザをつつきはじめた。
「うん、美味しいね」
「肉汁が食欲を・・」
「お酒が飲みたくなる・・。」
とか言いながら皆でワイワイ食べている。
チャロンもパクパク食べている。
肉食系獣人の口にも合うようだ。
機会があったら沢山焼いてあげよう。
皆さんの試食が止まらずに僕と亜季ちゃんは次々とギョーザを焼いている。
まるで僕達が料理スタッフになったようだぞ(汗)。
料理長も、
「うん、これは美味いね!一杯やりたくなる味だよ。
これも食堂で出していいかい?」
「どうぞどうぞ。沢山作って皆さんで食べてください。
なんだったらこのまま今日の夕食にどうぞ。」
「そうだね。
今日は肉料理の予定だったから、このままギョーザを作ってしまおう。」
「僕達も手伝いますよ。
一緒に沢山作ってしまいましょう!」
それから小一時間、皆でギョーザを作りまくって、まさに山のようにできた。
もはやギョーザの○○と言っていいレベルだ。
「たくさんできましたね。
焼き方とタレの作り方はさっきのとおりなので、皆さんで頂いてください。」
「ああ、ありがとう。あと、手伝ってもらって悪かったね。
好きな食材は持って行っておくれ。
チャロンが裏の食材庫の場所を知ってるから案内してもらえばいいよ。」
「ありがとうございます。あと、ギョーザも少し分けてもらっていいですか?
ここにいない仲間にも焼いてあげようと思いまして。」
「ああ、もちろんいいとも。
山のようにあるから必要な分だけもって行きな。」
「ありがとうございます。」
僕は野外訓練のことを考えて、10個セット✕5セットを頂いてから、裏の食料庫で野菜とか調味料とか、米とか小麦粉とか乾燥パスタなんかをを分けてもらってから内勤者用の食堂を失礼した。
なんだかんだと働いてしまったが、食料をゲットできたので良しとしよう・・。
◆◇
とりあえずギョーザを作りまくって疲れたので、またいつもの中庭で休憩することにした。
ギョーザを食べて油っぽくなった口の中をサッパリさせるため、チャロンが淹れてくれたハーブティーを3人で飲んでいる。
ちなみに分けてもらった食料は部屋に持って帰って保管する体でアイテムボックスに保管してある。
亜季ちゃんにはまだ内緒だが。
「ねえタク先輩。
あの食堂に行くといつも料理のお手伝いすることになっているような気がするんですが・・。」
「気のせいじゃないね・・。確実にお手伝いしてるよ。
まあ、僕の仕事は「お手伝い」だからね。おかしくはないんだけど・・・。
それにギョーザも喜んでもらえたみたいだから、この料理のお手伝いもこの世界への貢献にカウントしてくれるといいね。」
「ですね。でも昼にお肉を食べて、間食にギョーザってやばいですよね。いろいろと。
夜はあっさり系にします。」
「だよね。僕もそうするよ。」
「私は夜も肉で大丈夫ですけどね。何ならまたギョーザでもいいです。
あれは野菜も入ってるからヘルシーですし、肉食の獣人族には人気が出ますよ。
旅に出たらぜひギョーザの屋台を出しましょう!」
チャロンはノリノリである。よほど気に入ったに違いない。
うん、異世界ギョーザ旅も悪くないかもね。
「まあ、とりあえず今は野外訓練の準備をしよう。
食料は手に入ったから、あとは武器の消耗品とかかな?
狩猟をするなら矢が沢山ないとね。」
「そうですね。再利用するにしても一人30本は持って行ったほうがいいですね。
そう何度も使えませんから。」
「じゃあ武器工房に行ったら、注文品と一緒に矢も貰っておこう。
急にお願いしても分けてもらえるかな、チャロン?」
「問題ないと思いますよ。
矢なら騎士団がたくさん使用するので常にストックはありますから、その程度なら大丈夫です。
まあ、街の武器屋でも購入できるので、お金さえあれば街でも補充できますよ。」
「なるほど。でも今更なんだけど、こちらの世界のお金のシステムを知らないんだよね。
教えてもらってもいいかい、チャロン?」
「はい、もちろんです。そんなに難しくないですよ。
今は手元にお金の実物が無いので、調達部の事務所に行きましょう。
あそこならお金の実物を見ながら説明できるのですぐに理解できますよ。」
「調達部?」
「はい。お城で使用する物品や食料を買付けたり、お城の不用品を売り払ったりする部署ですね。
騎士団が訓練で狩ってきた肉なんかも商人に払い下げてるんですよ。」
「なるほど。確かにそういう部署も必要だよね。」」
「ええ、結構な種類と量を取り扱うので、なかなか大変な仕事なんですよ。
でもその分だけお給料も良いですし、出世も可能なので、文官系のスキル保有者には人気の就職先ですね。」
「そうなんだね。では早速案内をお願いしていいかな?
亜季ちゃんもそれでいいかい?」
「はい!私も勉強しなきゃと思っていたところなんですよ。
丁度良かったです!」
そう言うと、僕達はお茶の片付けをしてから、お城の裏にある調達部の事務所に移動を始めた。
ていうか、召喚されて約1週間、お金を使う必要が無かったので全く気にしていなかったが、城外に出かけるなら最優先はお金の勉強だったよね。
実にウッカリしていたよ。
外で買い物してチャロンに支払いを全て任せるわけにはいかないからね。
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