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第33話 魔道具の弓を作ろう(続き)

いつもご覧頂きありがとうございます。

 チャロンと一緒にそれぞれ自分の弓を持って出かける。


 亜季ちゃんと中庭で合流して再び魔道具工房に向かう。

 工房長に挨拶してからレン君に取りついでもらう。


 レン君は工房の中で相変わらず魔道具作成の訓練のようだ。


「おはようレン君。今日も訓練に精が出るね。

 調子はどうだい?」


「ああ、タク先輩ですか。おはようございます。

 昨夜はお静かで・・って、痛い!」


「朝からバカな事言ってんじゃないのよ!」


 と、何か言おうとしていたようだが亜季ちゃんに頭を叩かれていた。

 亜季ちゃん容赦ないな。


 絶対に怒らせてはいけないキャラだということがわかった(汗)


「いいから黙ってタク先輩の話を聞きなさい!」

 

 と、ゴキブリを見るような目でレン君を見下ろしながら亜季ちゃんが指示?命令?する。


「わかったよ。で、タク先輩のお話とは?」


「うん。朝から仕事をお願いして大変恐縮なんだが、この部品を「物体作成」で作ってもらえないかと思ってね。」


 と、昨夜紙に書いた簡易照準器のパーツの図面を見せる。


 もちろん出かける前にレン君にもわかりやすいようにと、組み立てのイメージや各パーツのサイズなどを追記しておいた。


「これは照準の道具か何かですか?」


「そうなんだ。僕たちが持っている標準的な弓に取り付ける照準の補助具なんだよ。

 その十字に狙いを合わせて射る感じだね。」


「なるほど。まあ単純な構造なのですぐにできると思います。」


「5セット分お願いできるかな?

 ここにいる3人分と予備の分だね。」


「わかりました。でも僕ができるのは道具の作成だけですよ。

 弓のことはよくわからないので取り付けはお願いしますね。」


「ああ、そっちの方は大丈夫。

 自分で取り付ける予定さ。製作だけよろしくお願いします。」


 まあ本当は全部自分でできるんだけど、アリバイ工作が必要だからね。

 申し訳ないけど協力してもらおう。


 レン君はブツブツ言いつつも「物体作成」で簡易照準器を5セット作ってくれた。

 錬金術の腕は上がっているようである。


「ありがとう。イメージどおりだよ。

 自分達の弓に取り付けたいので作業場所を借りてもいいかな?」


「ええもちろん。そちらの作業台をお使いください。

 というか断ったら風早をまた怒らせてしまいますからね。

 なんと言っても風早はタク先輩のファ・・、痛い!」


「あんたは余計なこと言わなくていいのよ!

 さっさと自分の仕事に戻りなさいよ!」


 と、レン君は何か言おうとしたが、また亜季ちゃんに叩かれていた。

 あまり怒らせない方いいぞ。


 そのうち本当に矢で射抜かれてしまうぞ(汗)


 気を取り直して作業台で簡易照準器を自分の弓に取り付ける。

 マイナスドライバーもアリバイ工作のためにレン君についでに作ってもらった物を使用する。


 昨夜と同じように直角に気をつけながら弓の側面に簡易照準器を設置して、チャロン以外にはわからないようにビス穴を木材の切れ端で「物体作成」で補強して完成である。


「亜季ちゃん、こんな感じで照準器をつけるんだけど、ちょっと持ってみるかい?

 良さそうなら亜季ちゃんの弓にも付けてあげるよ?」


「ちょっと持たせてください。

 うん、なんか一気に近代化した気がしますね。

 狙いやすくなると思うので、私の弓にも取り付けをお願いします。」


「了解。ちょっと待ってね。」


 僕はパパっと亜季ちゃんの弓に取り付ける。

 もう慣れた感じだね。


「チャロンの弓にも取り付けてしまおう。


「はい、お願いします。」


 チャロンの弓にもパパっと取り付ける。


「じゃあ試し打ちに行こうか?

 レン君、朝からありがとう。

 訓練頑張ってね。」


 と言い残して工房をお暇する。

 女の子を2人も連れて長居をすると男性スタッフに恨みを買うかもしれないしね。


◆◇


 ということで、弓術場にやってきました。

 僕とチャロンの弓にはまだスキルを付与していません。目立つといけないので。


 あとでこっそりスキル付与をする予定です。

 「魔力誘導」スイッチの取り付けも含めてね。


 亜季ちゃんには先にある程度説明しておきましょう。

 「多分、〜だけど・・・」と予想を含めてごまかす感じでね。


「亜季ちゃん、この簡易照準器なんだけど、単なる照準の補助具として使用できる他に、多分だけど弓術のスキルの発動を補助できると思う。」


「どうしてですか?」


「うん、この弓の素材なんだけど、黒樫の木といってとても魔力との相性がよい材質で、魔術士の杖なんかにも使用されているらしいんだ。

 照準器の材質である真鍮も魔力をよく通すらしいからね。

 なので、「測距」や「照準補正」のスキルを簡易照準器の窓上に表示するイメージで発動するとできるんじゃないかと思う。

 弓本体と簡易照準器が魔力的に繋がっているので、いつもみたいに空気中に数字とかを表示させるより魔力消費が少ないから、簡易照準器への魔力の流れが優先されると思うんだ。」


「そうなんですね。

 元の世界でいえば電流は抵抗の小さい方に多く流れるみたいな感じですかね。

 そう言えば物理で習いましたね。」


「そうそう、そんな感じじゃないかと思うんだよね。

 僕もやってみるから亜季ちゃんも試してみてくれる?」


 と、なんとか誤魔化しながら亜季ちゃんに説明する。

 まあ、できることは既に確認済みなんだけどね。


「はい、わかりました。とりあえず試射してみましょう。

 てゆうか、さっきから新しい道具を試してみたくて仕方ないんです!」


 うんうん、わかるよその気持ち。

 亜季ちゃんも結構なガジェットマニアのようだ。


「その気持ちわかるよ。どんどん試してみて。」


 僕とチャロンは既に結果を知っているので、簡易照準器の特性を確認しながら普通に試射している。

 50mくらいの距離ならちょうど簡易照準器の十字の中心と的のセンターが合う感じだね。

 距離が遠くなればスキルで照準補正してもらえば十分だろう。


「すごい!ちゃんと簡易照準器の上でスキルが発動できてます。

 距離も照準補正の矢印も照準器のガラス面に表示されてますよ!」


 どうやらちゃんと発動できたようだ。


「その状態で赤い「●」が出たら「魔力誘導」を発動してみてくれる?」


「はい、「魔力誘導」、わあ!すごい! 狙ってないのに魔力線が矢の先端から的に伸びました!」


「そのまま射ってみて。」


「はい。ちゃんと命中しました!すごいですね!」


「どうやら簡易照準器上に情報を集中させたことで「魔力誘導」も連動して発動できるみたいだね。

 これで、肉眼で射的対象を捉えれる限りは「測距」「照準補正」「魔力誘導」が一体で発動できるので、攻撃手段としてはかなり有効だよね。

 ただし、魔力消費量が未知数なので、弓が持つ自然の魔力量を使いきると自分の魔力を消費することになるから、長時間使用の可否はフィールドテストが必要かな。」


「そうですね。実際の狩猟等で使用してみる必要はありますね。

 タクさん達は実地で訓練とかは考えているのですか?」


「うん、考えてるよ。

 ただ、野外で活動するには装備に不安があるのでここ数日でなんとか揃えたいんだよね。」


「わかります。私も戦闘服一式と弓・短剣・ナイフの基本セットだけですから。」


「僕も同じなんだよね。

 だから元の世界の知識を使って最低限のキャンプ道具を準備してから実地訓練にでかけるつもりさ。」


「私も一緒に行ってよろしいですか?」


「もちろんさ。でもそう言えば亜季ちゃんはお世話係を指名しないのかい?」


「それなんですけど、前も言ったんですけど下心満載の男性しか声をかけてこなくて。

 それはちょっと勘弁なんですよね。

 かと言って、女性の弓術士の人っていないんですよ。

 メイドさんに声かけしようかと思ったんですが、メイドさんは逆に男子狙いなので私にはあまり興味がないんじゃないかと思って・・。

 なので、無理に探すよりタク先輩とチャロンさんについて行ったほうが時間に無駄がないかと思いまして。」


「確かにそうだね。時間は有限だからね。じゃあ、協力しあって準備しよう。」


「タク先輩は今日は何をされるんですか?」


「うん、さっき言ったキャンプ道具の設計とか製作とかかな。

 あと、魔法使いの訓練を見に行こうかと思ってる。

 キャンプ道具の設計に役立つ知識があるかもしれないしね。

 ああ、あと夕方には楓ちゃんも誘って一緒に服飾工房に行かないか?

 楓ちゃんの戦闘服を受領しに行こう。試着後に感想を述べないといけないしね。」


「わかりました。じゃあ、15時半に服飾工房で待ち合わせしましょう。

 楓は私が連れていきますね。」


「じゃあ、よろしく頼むよ。

 僕達は一旦部屋に戻って作業するね。またあとでね。」


「はい!ではまたあとで。」


 僕とチャロンは亜季ちゃんと別れて弓術場を後にして別館に戻ります。

 もちろん、チャロンと腕組みで。

 やわらかい何かの感触を楽しみながら。


最後までご覧頂きありがとうございました。


感想など頂けると励みになります。


引き続きよろしくお願いいたします。

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