第135話 白昼の銃撃戦
いつもご覧いただきありがとうございます。
(少し残酷な表現があります。)
僕たちは素早く馬車を降りて盗賊達と対峙する。
マイティと感覚共有している亜季ちゃんから、
「タク先輩、どうやら後ろにいる盗賊の仲間が馬車が壊れたふりをして後続の商隊の行く手を阻んでいるようです。
この場所は他の商隊の視界に入っていません!」
と報告が入る。
それを聞いた盗賊のリーダー?頭?が、
「ほう? よく気が付いたな。
その通りさ。俺たちの仲間が地形を利用してお前たちを孤立させたって訳さ。
こうすれば誰にも見られずに馬車ごと強奪できるって寸法さ。
邪魔者は殺して崖の下に放り込んでおけば魔物がキレイに片付けてくれるからな。」
と、ご丁寧に説明してくれる。
「なるほど、初めから僕たちに狙いを定めていたと言うわけか?」
「ははは!その通りさ!
間抜けなガキめ!
どこの下級貴族の三男坊か商家のボンボンか知らねえが、何人も女を連れて物見遊山で旅をしているから俺たちに目を付けられたってわけだ!
恨むなら俺等じゃなくて自分の間抜けっぷりを恨むんだな。
ギャハハ〜!」
と下品な笑い声と共に馬車の後方から現れたのはどこかで会ったことのあるような見覚えのある男だった。
「うん?
お前は昨日の夕方に冒険者ギルドでウロウロしてた奴じゃないか?」
「はん! 気が付きやがったか。
流石に昨日会った男の顔を忘れるほど馬鹿じゃなかったようだな。」
「なんか胡散臭い奴だとは思っていたけど、まさか盗賊だったとはね。
いい歳してケチな盗賊なんかやってて恥ずかしくないのか?
悪事を働く暇があったらまっとうに働いてみたらどうだ?」
「やかましい! 全く癇に触るガキだぜ!
今すぐぶち殺してやろうか!」
と胡散臭い男が腰の片手剣を抜きながら激昂して叫びだした。
ちょっと煽られたくらいでそんなに怒るなんて短気な奴だな。
「待て待て、そう焦るんじゃねえ。
女連れの男をいたぶるにはいつものアレが一番じゃないのか?」
「流石は兄貴!
女の数が多い分だけアレが楽しみでさぁ。」
と胡散臭い男は自身が兄貴と呼ぶリーダー格の男にゴマをする。
「アレって何なんだ?」
と僕は盗賊に尋ねる。
まあ、よからぬ話には間違いはないだろうけど、一応確認しておかないとね。
「ふん!男に説明する時間はもったいないが、一応お前は当事者だからな。
教えておいてやろう。
俺達が女共を攫うときはモグリの奴隷商人に売り飛ばす前に、兄貴と俺達でしっかりと味見してやるのさ!
ヒイヒイ泣き叫びながら嫌がる女共を力付くで味わうのは最高に興奮するぜ!」
と胡散臭い男が得意げに語る。
うん、やはり碌な話じゃなかったね。
おおかた想像はついていたけど。
「まったく虫唾が走る話だな。」
と感想を述べておいてやる。
「それだけじゃねえぞ。
連れの男には女共を味見している様子をじっくりと見せたあとにあの世に送ってやるのさ。
手足を根元から切り落として動けなくして、男の粗末なイチモツを切り取って口の中に突っ込んで喋れない状態にしてからな!
今までの男どもはどいつもこいつも涙を流して喜んで見てたぜ。
自分の女が俺達のおもちゃにされるのをな!」
と言うと、胡散臭い男は兄貴と呼ばれた男とその他の仲間達と一緒にゲラゲラと笑っている。
「そういうわけでもう説明は終わりだ。
こっちもさっさと仕事を片付けないと目立っちまうからな。
お前たちを馬車ごと攫ったあとは山の中の隠れ家でゆっくり楽しませてもらうぜ。
覚悟しな!」
と言うと、盗賊達は武器を構えて戦闘態勢に入る。
そんな盗賊達に僕は冷淡な声で話しかける。
「僕の故郷ではな、他人を攻撃できるのは自分もやられる覚悟がある者だけだ、と言う言葉があるんだよ。
お前たちも僕達に危害を加えるというのなら、当然ながら自分たちも同じことをされる覚悟があるんだろうな?」
「はっはっは! こいつは傑作だぜ!
お前みたいなナヨナヨしたボンボンが俺たちに勝てるとでも思ってやがるのか?
やれるもんならやってみやがれ!」
「ああ、遠慮なくそうさせてもらうよ。
お前たちの許可をもらったことだしね。」
と言うと、僕は念話で皆に攻撃を指示する。
『みんな聞いての通りだよ。
遠慮なくやってやろうじゃないか?
まずは奴らの流儀に沿って手足を根元から動けなくしてやるぞ。
アサルトライフルで遠慮なくぶち抜いてやろう。
まずはあの2人以外の雑魚どもを無力化しようかな。
多少狙いがずれても構わないからぶっ放してやろう!
連射モードで射撃用意だ!』
と念話で号令をかける。
「炎狼小隊」と「新緑の精霊」のメンバーはアサルトライフルを構えてドットサイトで照準を合わせる。
ちなみにアサルトライフルの存在を知らなかったクラリスさんとミリアさんは、新しい武器に興味を示しつつも不安気に様子を見つめている。
うん、まあ貴族のお嬢様にはちょっと刺激的な光景が広がるかもしれないですが。
すみません(汗)。
僕のパーティーメンバーからは、
『タクさん、射撃準備完了です!』
『こいつらは女の敵ですね。
生まれて来たことを後悔するレベルで煉獄してやりますね。』
『いつでも攻撃できますよ!』
と返事が返ってくる。
さあ、お仕置きの時間だ。
「ひゃっひゃっひゃ、そんなにへんてこな杖で何をしようってんだ?
命がかかってるんだからもっとしっかり足掻いてみやがれ!
野郎共、やっちまえ!」
と兄貴と呼ばれた男が手下の雑魚達に声をかけたと同時に、
『撃ち方始め!』
と念話で号令をかける!
号令と同時に皆の構えるアサルトライフルから放たれた「石礫」の弾丸は、無慈悲な雨あられとなって盗賊共に襲いかかる!
そして皆の狙いどおりに盗賊どもの四肢の付け根を無慈悲に打ち抜いていく。
中には胸や腹部を撃ち抜かれた者もいるようだが、まあそれは誤差の範疇だから問題ない。
どのみちあの世に行くことには変わりないしね。
早いか多少遅いかの違いなのさ。
盗賊達は体から血飛沫を上げながらバタバタと地面に倒れていく。
そしてものの2、3分後には立っている盗賊は兄貴と呼ばれる男と胡散臭い男の2人だけとなった。
2人とも信じられない!と言った表情で倒された手下達を呆然と眺めている。
「て、てめえ! いったい何をしやがった!」
と胡散臭い男が叫んでくるが、
「何をって、お前たちがやろうとしていた事をそっくりそのままやってみただけだが?
何か問題あったのか?」
「も、問題がないかだと! 問題だらけだこの野郎!
ふざけやがって! な、なんだその黒い杖は!?
魔道具なんか使いやがって!
このボンボンが!」
「あ、そうだったね。
粗末なイチモツを切り取って口の中に突っ込むんだったな。
悪い悪い、忘れてたよ。
すぐに済ませるから待っててくれるかな?」
と、男たちのクレームを華麗に無視して次の作業工程を述べると、アサルトライフルをアイテムボックスに戻してから、魔道具作りの材料用にアイテムボックスの中に保管していたボロボロの片手剣を取り出す。
「じゃあ、早速やっていこう!」
と努めて明るい声で開始の掛け声を出す。
女子チームには念話を使って、
『手持ちのサラミウインナーを使ってイチモツを切り取ったふりをするからびっくりしないでね!』
とあらかじめネタをバラしておく。
僕だって本当にイチモツを切り取ったりしたくないからね(汗)
僕は近くに転がっていたダメージの大きそうな男の側に近寄ると、片手剣で男のズボンをザクザクと切り裂く。
男がイチモツを切られるまいと腰をグネグネするので、いい感じで下腹部や脚の付け根に剣先が当たって血が飛び散る。
男は息も絶え絶えに「止めてくれ〜!」と叫んでいるが当然無視する。
「お前はそうやって命乞いをしてきた被害者を容赦なく殺してきたんだろう?
いまその報いを受けているのさ。
年貢の納め時だと思って諦めるんだな。」
と冷たく言い放ちながら剣先でイチモツをチクチクと刺激する。
男は「ギャ〜!助けてくれ〜!俺はあの2人にやれって言われただけなんだ〜!」とかなんとか喚いているが当然ながら聞く耳は持っていない(笑)
そして剣を何度か突き刺してイチモツを切り取るふりをすると、アイテムボックスから取り出したボロ布を手に被せて男のズボンの中に手を入れる。
ズボンの中で何かを掴むふりをしながらアイテムボックスからサラミソーセージを取り出して布で掴むと、布に血を擦りつけていい感じに偽装してからズボンの中から取り出す。
そしてそれをおもむろに男の口の中に押し込んで、そのまま血まみれの布で猿ぐつわをして黙らせる。
これで偽装がバレることはないだろう。
いい感じで血まみれのイチモツっぽい何かをチラ見せしておいたしね。
まあ、男の本物のイチモツは恐怖ですっかり縮み上がっていて、サラミどころか◯ークビッツのようだったけどね(笑)
それを見ていた兄貴と胡散臭い男は驚愕の表情を浮かべながら玉のような汗をかいている。
僕は「放水」の生活魔法で片手剣と手を洗いながら2人に向かって
「さあ、後はお前達だけだな。
どっちが先に断罪して欲しいんだ?
分かっていると思うが、お前達は主犯格のようだからもっと残酷に痛めつけてやるぞ。
魔物が食べやすいように体中の骨をバキバキにへし折ってやろうか?
それとも生きたまま手足の先からみじん切りにしてやろうか?
火にかけてミディアムに焼いてやるのも面白そうだな。」
と言いながら「風刃」や「火球」の攻撃魔法を2人の足元に向かって放つ。
アサルトライフルに加えて攻撃魔法まで見せつけられた2人は急に大人しくなって、
「ま、待ってくれ!
お前達が強いのはよく分かった!
俺達の負けだ!降参だ!
こ、ここは取引といかないか?
俺達が隠れ家に貯めこんだ金や高価な商品を全てやるから見逃してくれ!」
「そ、そうだ!
俺達を殺すとたんまりと貯めこんだ金や商品が手に入らないぞ!
それに隠れ家に閉じ込めている上玉の女もくれてやる!
こいつは変態貴族に高く売りつけるために俺達もまだ手を付けていねえ生娘だ!
ど、どうだ?
俺達を殺して雀の涙の謝礼金を街の警備隊から受け取るより、俺達が貯め込んだ金品を手に入れたほうがはるかに儲かるぞ!」
などと言い出した。
自分たちでは到底かなわないと見るや、急に手のひらを返して生き残るための交渉に切り替えることにしたらしい。
金品にはあまり興味はないが、隠れ家に閉じ込められているという女の子は気になるな。
こいつらをこの場で処理することは簡単だけど、そうすれば女の子が死んでしまうかもしれない。
ここは少しだけ話に乗っておこうかな。
「いいだろう。取引してやろうじゃないか。
隠れ家に案内するなら生きるチャンスをくれてやろう。
ただし、取引相手は1人で十分だ。
30秒以内にどちらが案内するか決めろ。」
「な、なんだと!
貴重な金品と女が手に入るんだぞ!
2人とも見逃せ!」
「そうだ、俺達がどれだけ苦労して金品を貯めこんできたと思ってるんだ!
何度も危ない橋を渡ったんだぞ!」
うーん、この期に及んで自分たちの所業を悪びれずに主張してくるとは全くもって何てやつらだ。
まだ自分たちの置かれている状況が分かっていないようだ。
「僕は取引はするが交渉はしない。
取引相手は1人だけだ。
隠れ家に詳しい方と取引する。
さあ、早く決めろ。
あと20秒しかないぞ。」
と冷たく言い放つ。
「な、なんだと! 交渉しやがれ!
「そ、そうだぞ! 俺達がいないと隠れ家には辿りつけないんだぞ!」
僕は再びアサルトライフルを取り出して構えると
「あと10秒しかないぞ。
早く決めないと2人ともさっきの奴と同じようにしてやるぞ。」
と最後の通告をする。
と同時に2人の足元にアサルトライフルの弾を何発か打ち込むと、男たちは「ひい〜!」と言いながら漫画のように飛び跳ねて泣きそうになっている。
びびり過ぎて汚い何かを撒き散らさないでくれよ。
後始末が大変だからね。
「わ、わかった!
俺のほうが隠れ家について詳しいぞ!
俺と取引しろ!」
と兄貴と呼ばれた男が主張してくる。
ふん、我が身大切さに仲間を見捨てるとはクズだな。
「な、なんだと!ひどいじゃないか兄貴!
今までのシノギは全部兄貴の計画じゃないか!
それに兄貴のほうが手にかけて殺した相手の数が多いだろう!
女だって兄貴のほうがたくさん手籠めにしてきたじゃないか!」
と胡散臭い男が言い返す。
ふん、仲間を売るとはどうしようもないクズだな。
まあ、分かっていたけど。
どちらも許しがたいが、とりあえず1人に絞ろう。
2人もいらないしね。
「分かった。そこのお前。兄貴とか呼ばれているお前だ。
お前がもう片方の男の両手をキツく縛りあげて首に縄をかけろ。
こいつはここに繋いでおいて生きたまま魔物の餌にするとしよう。
そのほうが魔物も喜ぶだろう。」
と言いながら、アイテムボックスからロープを取り出して投げ渡す。
兄貴は縄を受け取ると、
「おお! やはりできる男は話が分かるな!
俺を選んだのは正解だぜ!」
と言いながらニヤついている。
「無駄口は必要ない。さっさとそいつを縛りあげろ!
言っておくが手抜きをしたら2人共撃ち殺すからしっかりやれ。
と言って再びアサルトライフルを構える。
「わ、分かった(汗) 任せておけ(汗)」
と言いながら兄貴は胡散臭い男を縛り始める。
兄貴は胡散臭い男に向かって
「悪く思うなよ。選んだのはあいつだ。
恨むんならあのガキを恨めよ。
だいたい、あいつ等を襲おうと言ったのはお前だからな。
お前が選択を間違ったんだから、お前が責任を取りやがれ!」
と得意げに話しかける。
「ふん、前からクズだとは思っていたが、やっぱりクズだったな。」
と胡散臭い男は切り返す。
「へっ! 何とでも言え。
生き残る奴が偉いんだ。
お前は生き残れなかった。ただそれだけだ。」
と言いながら、兄貴は胡散臭い男を縛りあげる。
うん、「目利き」スキルで調べてみたけど、緩み無く縛れているようだ。
流石に命は惜しかったのか、真面目にやったようだ。
兄貴は胡散臭い男の首にかけた縄を近くの木に括りつけると、
「これでどうだ?
なかなかいい仕事をしただろう?」
とドヤ顔で聞いてくる。
うん、イラッとする男だな。
さあ、こいつはもう用済みだ。
「流石は盗賊だな。こういう技術は一流のようだ。
ただ、それも今日までだ。
お前は罪の無い人たちを手にかけすぎた。
今までの罪を魔物に食われて死んで償え。」
と言うと、アサルトライフルの連射で兄貴の両腕、両脚の付け根を撃ち抜く!
衝撃で吹き飛ばされながら地面に転がった兄貴は
「ガハッ!何故だ!
俺を選んだんじゃなかったのか?」
と恨めしそうな眼で僕を睨みながら叫んでくる。
「僕はお前と取引するとは一言も言ってないぞ。
ただ、もう一人の男を縛れと言っただけだ。
お前らが勝手に勘違いしただけだろう?
それに、お前は盗賊のリーダーなんだろう?
じゃあ、お前が責任を取らなくてどうするんだ?
自分の犯してきた罪を振り返りながら生きたまま魔物に食われるがいいさ。」
と冷たく言い放つ。
僕は胡散臭い男に向き合うと、
「おい、そこのお前。正直に言え。
街道の後ろのほうで道を塞いでいるお前の仲間は何人いるんだ?
嘘をつくとお前の兄貴と同じ運命を辿ることになるぞ?」
とアサルトライフルを構えて銃口を指向する。
「わ、わかった(汗)
正直に言うからその杖で撃つのはやめてくれ(汗)
後ろで道を塞いでいるのは3人だ!
商人に変装して壊れた馬車を修理しているふりをしているんだ!」
「そうか。嘘だったらお前も魔物のエサになるから覚悟しておけ。」
と言い捨てる。
『亜季ちゃん、マイティとの「感覚共有」で後方を確認してくれるかい?
奴が嘘をついている可能性もあるからね。』
『わかりました、タク先輩。
すぐにわかりますよ。
既にマイティは上空で待機中ですので。
う〜ん、そうですね、3人の男達が馬車の周りで修理するような素振りを見せています。
まあ、商人らしからぬ人相の悪さですが。』
『了解だよ。さっさと制圧してしまおう。』
3人ならバイパー分隊で対応できるね。
僕はバイパー分隊を取り出すと、
『バイパー分隊は後方で道を塞いでいる馬車の周りにいる男達を制圧しろ。
移動はスノーの背中に乗って行け。
スノーは悪いけど頼んだよ。』
と念話でやりとりする。
スノーは「バウッ!」と元気よく吠えてから背中にバイパー分隊を乗せると風のように駆け出していく。
あとは任せておけば勝手に制圧してくれるだろう。
僕は皆のほうを振り向くと、
「チャロンと亜季ちゃんは僕と一緒についてきてくれるかな?
後方の連中を片付けに行こう。
アカネちゃんは残りの皆と一緒にこの場を見張っててくれるかな?
そこの胡散臭い男が変な真似をしたら容赦無く撃ち殺していいからね。」
「了解です、タク先輩!
この場は私たちにお任せください!」
とアカネちゃん達に後を任せると、僕とチャロンと亜季ちゃんの3人で後方に向かって走って行く。
さあ、さっさとこの場を片付けて囚われている女の子の救出に向かうかな?
◇◆
3人で後ろの馬車にたどり着く頃には、バイパー分隊が既に盗賊達を制圧していた。
商人っぽい服に身を包んだ人相の悪い男たちがピクピクしながら街道上に転がっている。
念のため「目利き」スキルで確認してみたら、
・盗賊(麻痺状態)
と表示されたので間違いなく盗賊の仲間のようだ。
それに荷馬車の中には商品らしきものは全く無くて、攫った女性を縛りあげるのか、縄や首輪のようなものが木箱に入っているだけだった。
もし善良な本物の商人だったらこんな荷物は積んでいないだろう。
スノーとバイパー分隊は「やってやったぜ!」的なドヤ顔で僕を見ている。
「よくやったぞ、スノーとバイパー達!
これで盗賊達の制圧は完了だ。
さあ、後は盗賊達を処理しよう。」
「どうやって処理しますか、タクさん?
結構な人数なので、森の中に放り込むのも骨が折れそうですが?」
とチャロンが聞いてくる。
「そうなんだよ。自分たちで片付けるのは大変だから、彼らに頼もうと思うんだ。」
と後方で「早く前に進めよ。」と言わんばかりにこちらを見ている乗り合い馬車の御者を指差す。
「盗賊達が乗っていた馬車を贈呈する代わりに、乗合馬車の乗客の冒険者に現場の後片付けを頼めば、引き受けてくれると思ってね。
あんなすし詰めの乗合馬車でイビルズゲートまで行くよりも、自分たちの馬車で行ったほうが快適だろうしね。」
「それはいい考えですね!私もついて行きますから交渉してみましょう!」
とノリノリのチャロンを連れて乗り合い馬車の乗客に盗賊を制圧したことと、後片付けをしてくれたら盗賊の馬車を報酬で差しあげます、と頼んだら冒険者達が我先にと応じてくれた。
盗賊の馬車は合計3台あったので、3つの冒険者パーティーにお願いすることができた。
なお、選考基準はパーティーメンバーの人数の多い順である。
そのほうが冒険者達も乗り合い馬車に残る乗客も助かるからね。
まあ、これもちょっとした人助けかな?
◆◇
後片付けをお願いした冒険者達を連れて襲撃現場に戻ったら、盗賊達のあまりの惨状に
「いったいどうやったらこんなに大量の盗賊を倒すことができるんだ?」
とドン引きされてしまったが、
「まあ、ちょっと張り切りすぎてしまいまして・・(汗)」
と適当にごまかしておく。
冒険者達は納得はしていないようであったが、盗賊という善良な市民の共通の敵を倒したことは好意的に受け止めてくれたようで、盗賊の片付けに取り掛かってくれた。
盗賊達は四肢を撃ち抜かれて動けないが、まだ意識ははっきりしているので、
「た、助けてくれ〜!」
「魔物に食われるのは嫌だ〜!」
と叫んでいたが、冒険者達に容赦無く森の奥に放り込まれている。
チャロンが以前に言っていたように、この世界ではこれが正しい対応らしい。
片付け作業が順調に開始されたのを見届けた僕達は、その場を冒険者達に任せて次の行動に取り掛かる。
「さあ、次は盗賊達に囚われている女性を助けに行こう。
盗賊達がいなくなったら隠れ家に放置されてしまうからね。
生命に関わるから早く救助しに行こう。」
「ですね。早く助けて日没までに野営場所にたどり着かないと今夜の安全が確保できませんしね。」
とチャロンが同意する。
僕は胡散臭い男に向かって、
「さあ、隠れ家に案内しろ。
分かっているとは思うが、嘘をついたり逃げ出したりするようなら容赦なく撃ち殺すからな。
おまえもあんな風に森の中に捨てられたくないだろう?」
とアサルトライフルを向けながら軽く脅す。
「わ、分かった(汗)
ちゃんと案内するから信じてくれ(汗)
頼むからその杖を俺に向けるのは止めてくれ!(汗)」
と応える。
うん、素直なことはいいことだ。
まあ、アサルトライフルはかなりトラウマになったみたいだけどね(笑)
最後までご覧いただきありがとうございました。
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