第131話 ポーション作りの実演
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◇◆
「ふう、いいお湯だね~。」
「ですね! ご主人様!」
「はい!タクさん!」
と言いながら、僕達は3人でお風呂に入っている。
ㇰラリスさん達が加わって入浴人数が増えたのと、ヤトノとお風呂でイロイロしていたのがバレてしまったので、開きなおってチャロンも一緒に入ることにしたのだ。
クラリスさん達は相変らず、
「ああ、私達もお風呂に召されるのでしょうか?」
「くっ、きっと体中を泡だらけにしてご奉仕させられるのですわ。
ああ、一宿一飯の義理があるとはいえ、乙女になんて事をさせるのでしょうか?」
と小芝居をしていたが、
「そんなことはさせませんから!
大人しく皆と一緒に先に入ってください!」
と言って、とっとと入浴させた。
お風呂に入ったら入ったで、
「ああ、自分のパーティーメンバーにあのような奴隷の紋章を刻むなんて、なんて独占欲の強いお方なのでしょうか?」
「ああ、私達も奴隷紋を刻まれて、純潔を散らされるのですね。
そしてその後は夜の奴隷として一生ご奉仕させられるのですわ!」
と胸に手を当てて小芝居を始めて、手が付けられない状況だった。
そんなにイロイロと興味が湧いてくるお年頃なのだろうか?
さすがの亜季ちゃんもドン引きしているのでそろそろ止めて欲しいぞ(汗)
「ところでご主人様、クラリスさん達が言っていた、体中を泡だらけにしてご奉仕って何ですか?」
「うーん、彼女たちが言うご奉仕が何かは知らないんだけど、僕の元の世界の娼館というか、その手の専門のお店のサービスの1つでね・・、」
と、いわゆる泡のお姫様が体中に泡をたっぷりとつけて体で体をこすりながら洗ってくれるプレイを教えてあげる。
お金を払えば2人のプロのお姉さんが対応してくれるお店もあって、正面と背中の両方からプロのお姉さんに挟まれて洗われると、この世のものとは思えない気持ち良さらしい、と説明してあげる。
「タクさん、それは面白そうですね。
専属メイドの嗜みとしてやらせていただくしかないですね。」
「ご主人様、私も頑張りますよ!
ご主人様の忠実な獣魔としては、体を張ってご奉仕させていただきます!」
「さあ、タクさん、こちらにどうぞ。」
と否応なくチャロンとヤトノに誘われて洗い場に座った僕は、身体中に泡をつけてやる気マンマンになった2人に物理的に挟まれて体中を磨きたおされてしまう(汗)
おかげで僕の僕もやる気マンマンになってしまい、あとはもういつものお決まりのパターンである・・。
3人で入った分だけいつもより長い入浴時間を過ごした僕達は、イロイロとスッキリとした表情で野営地に戻るのであった・・。
もちろん、亜季ちゃんには能面のような顔で冷ややかに見られ、楓ちゃんとアカネちゃんには「スッキリしましたか?」と冷やかされたのは言うまでもない・・。
現役の女子高生に夜の営みの件で怒られたり冷やかされたりするのは精神的なダメージが大きいので止めて欲しいぞ(汗)
そこの貴族のお嬢様と護衛騎士も
「次は私達の順番ですか?
支度しましょうか?」
とか言って亜季ちゃんを煽らないでくれますか(汗)
◇◆
(時は少し遡って、タクたちが「キツツキの宿」を出発する準備中・・)
宿野街を歩く1人の冒険者が、通りに並ぶ宿の1つの前で出発準備をする男女の一団に気付く。
「(いたぞ! こんなところにいやがったのか!)」
と男は心の中で叫ぶ。
「(どうやら乗合馬車は諦めて、他の冒険者集団に同行を頼んだようだ。)」
と、冒険者集団と一緒に出発準備をする追跡対象の女2人を見ながら独りごちる。
「(一緒にいる冒険者達はまだ若いぞ、というか、子供じゃないのか?
お揃いの変な服を着ているがあれは何だ?、見たことがないぞ。
しかも男は1人だけか・・。
自前の馬車を2台も保有しているあたり、どこかの金持ち商人のボンボン息子が女を侍らして冒険者ごっこでもしているってやつか。
男としては腹立たしいが、目的達成のためにはちょうどいい。
あんな弱そうな奴らと一緒なら、辺境にたどり着く前に襲撃して消してしまうこともできるな。
早く荷捌き場で見張っている仲間に伝えなければ!)」
と考えつつ、男は仲間と合流するために通りを後にする。
どうやらタク達の辺境に向かう旅は一筋縄ではいかないようである・・・。
◆◇
(場所は変わってここはセントラル王国の王都)
「高速乗り合い馬車が出発します!」
という御者さんの掛け声とともに馬車が出発する。
私は馬車の一番後ろの席に座って見張りを開始する。
昨日の夕方に急いで護衛の仕事を探したのだが、やはり高速乗り合い馬車の護衛は人気がないらしく、無事に?仕事にありつくことができたのだ。
これに乗ればワウラの街まで2日で到着できるからね。
サゲオの街はそこから1日だ。
しかも護衛だから無料で!
そもそも高速でぶっ飛ばしているので襲って来る魔物も盗賊もいないから、護衛の仕事もほとんど出番がない。
寝れないのとお尻が痛いのさえ我慢できれば、最も効率的な移動手段なのだ!
私は昨日のうちに買っておいた道中の食事用の硬いパンと干し肉に、野菜の酢漬けの瓶が入ったカバンを座席の下に収めると、見張りモードに移行する。
「リリーはエルフだから私等より先に魔物に気付くだろう?
頼りにしてるぞ!」
と一緒に護衛をしているD級冒険者パーティーの猫獣人のお姉さんに声をかけられる。
このお姉さん、美人だし、胸はプルルンとたわわに実っているし、とても素敵な人なのよね。
それに比べて私の胸ときたら・・。
「わ、わかりました(汗)
が、頑張ります(汗)」
とできるだけ元気よく答える。
まさか護衛の開始直後に、
「実は私は残念エルフで・・」
とは言えないからね(汗)
頑張るしかないけど、既にお尻が痛いよう!
ナンシーさんとモニカさんが言ってた商会の人が座り心地のよいクッションでも作ってくれないかしら!
◇◆
お風呂に入ってからは、ほぼいつも通りの順番で見張りを実施中だ。
10時から0時までが楓ちゃんとクラリスさん達、0時から2時が亜季ちゃんとアカネちゃん、その次の2時から4時が僕とヤトノ、4時から6時がチャロンとクク・ルルである。
クラリスさん達には見張りにつかなくてよいと言ったのだが、
「流石にこのままでは本当に何もしないただのお客さんになってしまいます!
お願いですから見張りを手伝わせてください。
あと、必要であれば夜伽もいたしますのでお召しになって頂いても・・」
と、また小芝居を始めそうになったので
「じゃあ、見張りをお願いします!」
と言ってそそくさと自分のテントに退散した(汗)
寝る前まで小芝居の相手をしてると疲れるからね(汗)
その後、亜季ちゃん達に起こされて今に至る。
ヤトノと一緒に明日の朝食のスープや昼食のナンとハンバーグのパテを仕込みながら見張りについていると、馬車の中から誰かが降りてくる気配がする。
馬車の方を見ると、なんと降りて来たのはクラリスさんであった。
「こんばんは、クラリスさん。
もしかして起こしちゃいましたか?
僕達の話し声がうるさかったのでしょうかね?
それとも馬車のベッドの寝心地が悪かったですか?」
と声をかける。
「いいえ、そうではありませんわ。
馬車の寝心地はとてもよかったのですが、お恥ずかしながら昼間に寝すぎて寝れなくなってしまいまして・・。」
と顔を赤らめながら答えてくる。
思わず「子供か!」とツッコミそうになったけど、相手は貴族のご令嬢なので流石に思いとどまる(汗)
「それではこちらで一緒に火にあたりながら温かいお茶でもどうぞ。」
と生活魔法で作った土の椅子にクラリスさんを座らせると、お湯を沸かして紅茶を淹れる。
マグカップに入れた紅茶を一口飲んだクラリスさんは、
「タクさんはいつもこのように食事の準備をされているのですか?」
と聞いてくる。
「ええ、料理が趣味でして。昔は食堂で働いていたこともあるんですよ。
それにうちのパーティーメンバーと獣魔達はたくさん食べますからね(汗)」
「ふふふ、そうですね。
タクさんの食べる料理は本当に美味しいので、私もついついたくさん食べてしまいましたわ。」
「そう言っていただけると励みになりますね。」
「私もタクさんのように得意なことがあればいいのですが・・。
残念ながら私にはあまりできることがないのですよ・・。」
と少し寂しそうな表情で歯切れの悪い言葉を発する。
むむ、何か触れてはいけない琴線に触れてしまったのだろうか?
「クラリスさんは薬師さんだと伺いましたが?
傷薬を作ったりポーションを作ったりできるのですか?」
「ええ、ポーション作りは得意なのです。
まあそれしか取り柄はないんですけどね・・。」
と今度は斜に構え始めてしまった(汗)
ここはちょっと機嫌をとっておかねば(汗)
「ポーションが作れるなんてすごいじゃないですか!
すごい才能ですよ!
誰にでもできることじゃないですよ!
いや〜、羨ましいな〜。」
と、とりあえず褒めておく(汗)
さすがにちょっとわざとらしかったかな?と思ったが、
「そ、そんなに大した話ではないですよ・・。
でもタクさんがそう言うならそうなのかも・・。」
と顔を赤らめて満更でもなさそうだ。
もしかして騙されやすい性格ですか?
「もしできれば教えて欲しいのですが、そもそもポーションとは何なのでしょうか?
ただ薬草をすりつぶしたリ、成分を取り出したものとはどう違うのでしょうか?」
「はい、ただの薬草の成分とポーションには大きな違いがあるのです。薬草をただすりつぶして成分を取り出しただけではポーションになりません。
薬草の成分と水と魔力を均一に混ぜた状態を保持させることでポーションに加工することができるです。」
「何やら難しそうですね(汗)
均一に混ざった状態を保持させると言うのが難しそうですが(汗)」
「そこが薬師の腕の見せどころといいますか、スキルのなせる技ですね。
よかったら一度ポーションを作るところをお見せしましょうか?」
「え、いいのですか?
ぜひお願いします!」
「お任せください。では毎日イロイロと頑張っておられるタクさんにピッタリなポーションを作って見ましょう。
ニンニクとニラとショウガをお持ちでしたら分けていただきますか?」
「ええ、もちろんいいですよ。」
と言ってアイテムボックスから指定された野菜を渡す。
「ちょっと調理道具をお借りしますね。」
と言うと、クラリスさんは慣れた手つきで野菜を細かく刻んで、薬味をすりつぶす用のすり鉢と棒を使って器用に野菜をすりつぶす。
野菜がすべて均一に混ざってペースト状になったら、目の細かい布で包んで、布ごと鍋で軽く煮出す。
布を取り出すと澄んだ野菜スープのような状態になる。
これはこれでなんか美味しそうだぞ。
今後の料理の参考にしようかな?
「こうやって材料の成分だけ取り出したら、あとはスキルを使って魔力と均一に混ぜるのですよ。」
と言いながらクラリスさんが野菜スープ?に手をかざして目を瞑って集中しながら魔力を当てる。
しばらくすると野菜スープがキラキラと光って若干色が薄くなった。
「ふう、これで完成です。
元気の出る野菜を使った『精力回復ポーション』ですよ。
材料が普通のものなので、おそらく中級くらいの品質ですかね。」
「おお!これがポーションですか!
作るところを初めて見ましたよ!
ありがとうございます。
て言うか、『精力回復ポーション』なんてあるんですか?」
「うーん、私の創作ポーションですので、街では売ってないでしょうね。
でも効き目は抜群ですからご安心ください。
我が家のメイドが『夫が夜の元気がない・・』と愚痴をこぼしていたので試しにこのポーションを使わせたら効果を発揮したそうですよ。
今は無事に産休に入っています。」
「な、なんと!
効果は実証済みなんですね(汗)
市販すれば飛ぶように売れるんじゃないですか?」
「そうですね・・。
そうしてみたい気持ちはあるのですが、まあイロイロとありまして・・。」
とクラリスさんは言葉を濁す。
まあ侯爵家令嬢ともなるとイロイロあるんだろうね。
詮索するのはやめておこう。
「もしかして辺境に向かうのもポーション作りに関係しているのですか?」
「ええ、そうなんですよ。
ちょっと事情があって特注のポーションを作る必要があるのですが、「東の森林地帯」じゃないと入手できない素材があるのです。」
「例の月見茸でしたっけ?」
「そうです。どうしてもそれが必要なのですよ・・。」
と、クラリスさんは悲しげな顔をする。
うーん、訳あり感が半端ないな(汗)
「そうですか。では早く辺境の街に辿りついて、素材探しをしないといけませんね。」
「ええ、なのでタクさん達に同行させて頂いて大変助かっているのですよ!
本当にありがとうございます!」
「いえいえ、お礼には及びませんよ。
馬車も余裕がありますからね。」
「そう言っていただけると助かります。
お礼と言ってはなんですが、先程作ったこのポーションを差し上げます。
よく効きますから夜の生活のお供にどうぞ。
あ、ちなみに即効性のポーションですので、今飲むと大変なことになるから気をつけてください。
お楽しみの直前に使ってくださいね!」
「わ、わかりました(汗)」
「ふふふ(笑)。
では私は馬車に戻りますわ。
ポーションを作って魔力を消費したらいい感じで眠たくなって来ました。
ではまた明日の朝にお会いしましょう。
おやすみなさい。」
「お、おやすみなさい(汗)
ゆっくり休んでくださいね(汗)」
と、馬車に戻って行くクラリスさんを見送った僕とヤトノは、さっき貰った「精力回復ポーション」を見ながら
「これどうしようかな?」
「うーん、そうですね〜。
せっかくなので朝風呂の時にでも使ってみますか?
チャロンお姉さんにも効果を確認してもらいましょう。」
「そ、そうだね(汗)
このままじゃ保管もできないから適当な容器を作ろうかな?
ポーションってどんな入れ物に入っているんだい?」
「そうですね〜。実はあんまり見たことがないのでわからないですね。」
「じゃあ、「物体作製」スキルで適当な容器を作っておくよ。」
と言うと、僕はアイテムボックスから焼き物の破片を取り出すと、スキルを使って適当に容器を作る。
イメージはよくある異世界物の漫画に出てくる細長い瓶だ。
「こんな感じかな?ポーションの瓶って?」
「あ、いいんじゃないですか?
なんかそれっぽいですよ。
いかにも飲み薬って感じですね。」
「ついでに何本か作っておこうかな。
もしかしたらクラリスさんが欲しがるかもしれないからね。」
「ですね!さっきの様子を見る限りは、かなり腕のよい薬師さんのようですし。
これからも何かのポーションを作られるかもしれません。」
「うーん、ちょっと困った貴族のお嬢さんかと思っていたら、薬師さんだったとは驚きだよね。ちょっと訳ありっぽかったけど(汗)」
「ですね。まあ、お供を1人しか連れていないところをみると、あまり危険な状況ではないと思いますけどね。
それに私達と一緒にいれば少なくとも辺境に到着するまでは安心でしょう。」
「まあ、そうだね。
優秀な従魔たちもいるし、バイパー達もいるから見張りは任せておいても大丈夫だしね。」
「はい!そろそろ見張りの交代時間なので片付けちゃいましょうか?」
「了解だよ!」
と言うと、僕たちは作ったばかりの小瓶にクラリスさんが作ったポーションを詰め替えると、ポーション作りに使った道具や朝食の仕込みに使った道具を片付ける。
程なくして交代のために起き出してきたチャロンとクク・ルル達に見張りと料理を引き継ぐと、ヤトノと一緒にテントに入って寝袋に横になる。
「今夜は何もない平和な夜だったね。」
とヤトノに話しかける。
「ですね!前回は盗賊?の襲撃があって大変でしたからね。
さあ、朝までゆっくり休んでくださいね、ご主人様。」
「ああ、ありがとう。ヤトノもゆっくり寝てね。
おやすみなさい・・。」
と言いながら、白ヘビ姿に戻ったヤトノを懐に入れて眠りにつく。
ああ、毎日こんな平和な日々楽なんだけどね・・。
おやすみなさい、異世界・・・。
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