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第128話 新たな同行者?

いつもご覧いただきありがとうございます。

ユニークアクセスが50,000を越えました。

たくさんの方に拙作をご覧いただき、感謝の気持ちで一杯です。

引き続き応援よろしくお願いいたします。

 白昼のカフェで突如始まった女性2人によるお願いのセレモニーはカフェのお客さん達だけではなく、道を行き交う人達からも注目を浴びている。


 このままでは僕が若い女性2人に頭を下げさせている悪い奴だと思われてしまうぞ(汗)


「す、すみません、とりあえず頭を上げて席についていただけませんか?

 お話は伺いますので(汗)」

 

 と、冒険者風の女性2人に声をかける。


女性達は僕が話を聞く態度を示したことに安心したのか、ほっとしたようなため息をつくと、


「お願いします!、ぜひとも話だけでも聞いてください!」


 と縋るような目つきで食い気味に話しかけてくる。


「わ、わかりましたから落ち着いてください(汗)」


 と答えると、


「それでは、お話させていただきます!」


 と、おもむろに自分たちの席の椅子を僕たちの席に寄せて座ると、ショートカットヘアーのお姉さんが事情を説明し始めた。


「私達はこの国の中ほどにあるイニエスタ領からやって来た侯爵家の・・ではなくEランク冒険者パーティー『戦乙女の双剣』です。

 私はミリアと申します。そちらのお嬢さ・・ではなく相方がクラリスさ・・ではなくクラリスです(汗)。」


 と、初っ端からカミカミである。


 既にやんごとなき立場であることを隠しきれていないぞ(汗)


 侯爵家のお嬢様とか、面倒なことこの上なさそうなのだが(汗)


「それでお2人はどういった事情で辺境に行かれたいのですか?」


「実はやむを得ない事情がありまして、辺境の更に奥にある「東の森林地帯」に生える薬草の1つである月見茸というキノコを採取しないといけないのです。

 そのために辺境に向かう乗り合い馬車の乗車券を求めてかれこれ3日も並び続けているのですが、あのような状況ですので未だに入手できていないのです。

 今日も朝から行列に並んでいたのですが、お嬢様・・ではなくクラリスが気分が悪くなってしまったので、行列を離れてここで休んでいたのですよ。」


 と乗車券売り場に続く行列を見てミリアさんはため息をつく・・。


 僕は素早く念話でヤトノに


『ねえ、ヤトノ。そんなキノコが「東の森林地帯」にあるのかい?』


 と質問すると、


『ええ、ありますね。

確か病気の治療に必要なポーションの原料になるようですよ。

 ただ、森の奥のほうにあるのでこの2人では採取は厳しいと思いますよ。』


と答えが帰ってくる。

まあ、そうだよね(汗)


僕は意識と視線を2人に戻すと、


「それはたいへんでしたね。

 女性にはあの行列に並ぶのは確かに厳しいでしょう。

誰かに代わりに並んでもらう事はできないのですか?」


「いえ、販売時の規則でそれはできないのです。

 冒険者ギルドのカードを見せて予約する必要があるので、他人には任せられないのです。」


「なるほど。ただこんな事を言ってはなんですが、乗車券を購入する行列に並ぶだけで気分が悪くなるようでは、あの人達と一緒にすし詰めで乗り合い馬車に乗って辺境に行くのは難しくないですか?

あんな大きな汗ダクの男性冒険者が隣に座って挟まれたりしたら大変なことになっちゃうと思いますよ(汗)」


「くっ、そ、それは・・。」


「それに「東の森林地帯」にはとても強い魔物が棲むと聞きます。

いくら腕が立つ冒険者でも2人では大変なのではないですか?

ご自分達で行かれるのではなく、冒険者ギルドに依頼すればよろしいのではないですか?」


「そ、それはそうなのですが・・、やむを得ない事情があって、どうしても自分達で採取しないといけないのです・・。」


とミリアさんが額に大きな汗を浮かべて、答えに窮してしまったタイミングで、それまで黙って聞いていたもう1人の少女、クラリスさんが口を開く。


「私のために頑張って交渉してくれてありがとう、ミリア。

男性恐怖症のあなたにとっては見ず知らずの男性と話をすることはとても心理的負担が多かったことでしょう。

でも、もうよいのです。その殿方の仰るとおりですわ。

 私には乗り合い馬車の旅は到底無理だったのです。

ここに来るまでの乗り合い馬車でもかなり疲れ切ってしまいましたしね。

かくなる上は徒歩で辺境を目指しましょう・・。」


「い、いけません、お嬢・・ではなくクラリス。

私達だけの徒歩の旅では道中の安全が確保できません!

街道沿いには危険な魔物や盗賊がたくさんいるというのに!!」


「よいのですよ・・。それもまた私の運命だったのでしょう・・。

 ですが、乗り合い馬車に乗れなかったからと言って、私の歩みを止める訳には行きません。

たとえゴブリンやオークに捕らえられて死ぬまで繁殖の苗床にされる可能性があろうとも、例え盗賊に捕まって純潔を散らされ体中のあらゆる場所を蹂躙された挙げ句に奴隷商人に売り飛ばされ、奴隷オークションのステージに一糸まとわぬ姿で縄を打たれて引き回され、好色な貴族や商人になめ回すような視線で値踏みされる恐れがあろうとも、私は行かねばならないのです。

ミリアも知っているように私の家には『生きて虜囚の辱めを受けることなかれ。』という家訓があります。

私が魔物や盗賊に捕らえられそうになったならば、どうかそなたの剣で一思いに私の命を絶って欲しいのですよ、ミリア。」


「ああ、お嬢様・・ではなくクラリス、おいたわしや・・(涙)」


と、まるで学芸会の劇のように台詞を言い合いながら、こちらをチラチラと見てくる2人であった。


何ですか、この三文芝居は!?


チャロンをはじめ、女子チームもみなドン引きである。


おっと、亜季ちゃんだけが、『縄を打たれて引き回されて』のくだりでハアハア言い始めてしまったが大丈夫だろうか(汗)


君は『縄』のキーワードで何かのスイッチが入る傾向があるよね?

懐と袴の脇から服の中に手を入れているけど何をしているのかな?



 僕は念話でうちのパーティーの女子チームに相談する。


『この人達、どうしようか?』


『まあ、この人達のお願いを聞く必要はありませんが、私達が拾ってあげないと辺境どころか隣の街にも辿り着けないと思いますよ、タクさん。』


と、チャロンが答える。


『ですね。貴族のお嬢様に死なれても寝覚めが悪いですし、幸いにも馬車の荷台には余裕がありますから、護衛代わりに荷台に乗せておいてはどうですか?

 眼が多いにこしたことはないですしね。

 その分だけ私達が狩りに集中できますし。』


 と、元の状態に復帰した亜季ちゃんが答える。

 ちょっとスッキリした顔をしているのは気のせいかな?


『うーん、仕方ないね。

 とりあえず馬車の護衛を対価に辺境まで連れて行くかな?

 まあ、全く隠せていないけど名家のお嬢様とその護衛騎士のようだし、もしかしたら『8番格納庫ハンガーエイト』の売上アップにつながるかもしれないしね。』


『ですね。』


 と、『炎狼小隊』のメンバーとヤトノで顔を見合わせて頷きあうと、


「わかりましたから、小芝居は止めてください。

まあ幸いにも馬車の荷台に余裕はありますので、乗せて行ってあげますよ。

その代わり、行動予定は僕たちに合わせて頂きますし、護衛も手伝ってもらいますがよろしいですか?」


 と声をかける。


「ほ、本当ですか!」


 とミリアさんがパッと笑顔になって僕たちのほうを向く。


「ええ、嘘はつきませんよ。

 ただ辺境に向かう街道は魔物や盗賊が出てきて危険かもしれませんから、私達の言う事をちゃんと聞いて行動してくださいね。」


「わ、わかった! もちろんだとも!

何処に行けばそなた達と合流できるのですか?」


「明日の朝に出発するので、朝の8時半に荷捌き場の出発側で待ち合わせでどうですか?」


「荷捌き場か・・。

 いや、あそこだと広すぎてすれ違ってしまうかもしれない!

 そなた達は何処の宿に泊まっているのだ?

 私達も今日は同じ宿に泊まることにするぞ!

そうすれば間違いなく一緒に出発できるからな!」


「ええ〜、そこまでしなくてもちゃんとお2人を探して馬車に乗せますから。

 無理に同じ宿を取らなくてもいいですよ(汗)」


「いや、宿を変える手間を惜しんで一緒に行けなかった時には後悔してもしきれないのだ!

 頼むからそなた達の宿を教えてくれないか?」


「はあ、わかりましたから落ち着いてください。

 僕達はこの通りから2本向こう側の通りにある「キツツキの宿」に泊まっていますよ。

 ただ、冒険者に人気の宿らしいので、宿を取るなら早く行ったほうがよいですよ。

 もう少ししたら商隊とその護衛の冒険者がたくさんサゲオの街に到着するでしょうからね。」


「わ、わかった!

 今から早速手続きをしてくる!

 ではまた会おう!」


 と言い残すと、ミリアさんとクラリスさんはしっかりとした足取りでスタスタと歩いて去って行ってしまった・・。


「元気だよね、彼女たち・・。」


「元気ですね。何なら私達より元気かもしれません、タクさん。」


「ただ単に、乗り合い馬車の乗車券を買う行列に並ぶのが面倒だっただけじゃないですか?」


 とチャロンとヤトノが相槌を打つ・・。


「まあ、約束しちゃったものは仕方がないね。

 僕たちも用事を済ませて早く宿に戻ろうか?」


「「「「「はい。」」」」」「「ですね。」」


 と答える女子チームを連れて、カフェを出る。


 旅の途中でいろんなイベントが起きるのが異世界物の定番だけど、主人公が貴族のお嬢様を颯爽と助けるパターンはよくあっても、貴族のお嬢様に絡んで来られるパターンってあんまりないよね(汗)


 この世界はテンプレで溢れているのか、そうでないのか、よくわからないよね(汗)


◆◇


 カフェを出てから僕の声掛けで買い物の続きのために街に繰り出す。


 馬車の座席を改良するための材料探しだ。


 具体的には荷台の座席にシートというかクッションを貼り付けたいのだ。


 もちろん、今ある座席にただクッションを貼り付けるだけではない。


 イメージとしては元の世界の車中泊用のシートだ。


 使用しない時は折りたたんで収納しておき、使用する際は展開すればフラットな寝台になるように設計しよう。


 素材は無難に綿と厚手の帆布を使うことにした。

 材料の入手も簡単だしね。


 適当に雑貨屋をハシゴしながら、帆布に綿、厚手の板材、釘に蝶板など、工作に必要な材料をどんどん購入しては人目につかないところでアイテムボックスに放り込む。


 買い物が終われば、最後の用事である冒険者ギルドでの情報収集だ。


 冒険者ギルドの入口をくぐると、まだ夕方のラッシュアワーには早いのか、冒険者の姿もまばらである。


 うん、情報収集にはちょうどいいね。


 依頼ボードを皆で手分けして探すと、暴れ黒牛などの食肉の元になる動物は常時依頼として掲示されている。


 この点はどのギルドも同じようだね。


 魔物討伐としてはゴブリンに加えてオークやオーガの討伐が常時依頼に入っている。


 ということは辺境に向かう街道である外環街道にはそれだけ魔物が多いということだね。


 気を引き締めてかからないといけないね。


 素材採取に関しては、定番の薬草類に加えて、辺境エリアでの珍しい薬草類の採取の依頼が掲示されている。


 その中にさっきの2人が言っていた「月見茸」があるのだが、成功報酬がなんと1本あたり白金貨2枚であった!


 元の世界だと1本で200万円くらいのイメージだ! 


 マツタケよりもトリュフよりも高価なことは間違いない(汗)}


 成功報酬から推測するに、「月見茸」の採取は本当に難しいのだろう。


 あの2人がどうして月見茸を探しているのかは知らないけど、2人だけでは無理な気がするぞ(汗)


 それとも何か秘策でもあるのだろうか?



 ギルドに入って30分くらい経過したところで、


「タクさん、だいたい情報収集が終わりました。」


 とチャロンが声をかけてくる。



「ああ、ありがとう。僕もちょうど終わったところだよ。

 他のみんなも終わったかな?」


 とメンバーを見渡すと、みなウンウンと頷いている。


 どうやら問題はなさそうだ。


「じゃあ、宿に帰るとしようかな・・、とその前にヤトノの件で大事なことを忘れるところだったよ(汗)」


「私の大事なことですか?」


 とヤトノが首をかしげながら聞いてくる。


「ああ、もうこっちの国に来たので、ヤトノも冒険者登録しておけばいいかと思ってね。

 そうすれば今の姿で街を出入りしていてもおかしくないからね。」


「ですね! では早速登録してきます!」


 とヤトノがカウンターに駆けて行こうとするので、


「あ、ちょっと待って!

 僕が一緒に行かないとパーティー登録できないよ。」


 と言って2人で一緒に登録カウンターに行く。


 登録担当の受付のお姉さんにマニュアル通りの対応をされながら、ヤトノを無事にGランク冒険者かつ『炎狼小隊』のメンバーとして登録することができた。


 ちなみにヤトノの種族は魔族で登録されている。


 登録には最低限の個人情報があればいいので、黒蛇族の件は申告していない。


 ギルドのお姉さんには気づかれなかったが、僕の従魔の蛇(白)とはたまたま名前が一緒だけど別人だということにしておこう。


 アリバイ用に白いヘビのゴーレムでも作っておくかな?


「みんなお待たせ!

 ヤトノの手続きも済んだから宿に戻ろうか?」


「「「「「はい!」」」」」「「了解です!」」「バウ」「ワウ」「ピイ」「ホウ」


 と元気よく答える女子チームと従魔達と一緒に宿に戻る。


 今日の夕食は何かな? 楽しみだね!


◇◆


「キツツキの宿」に着いた時にはまだ陽が明るく、夕食まで時間があったので一仕事することにした。


 作業はもちろん馬車の座席の改造だ。


 僕たちは馬車置き場に行くと、さっき購入してきた材料を取り出して座席のクッションを作る準備をする。


「どんな風に改造するのですか、ご主人様?」


 とヤトノが聞いてくる。


「うん、既存の座席をそのまま利用するんだ。

 まず左右の固定式の座席にクッションを作って張りつけていくんだ。

 座席の間には脚が折り曲げ可能な長いベンチを2つ作って、それにもクッションを張りつける。

 ベンチを固定式の座席の間にピッタリ収まるように製作すれば、見た目はフラットなベッドのできあがりだね。

 馬車の中でも横になって休めるよ。」


「なるほど!それはいい考えですね!

 でもベンチを置きっぱなしだと普段の使い勝手が悪くなりますよ。」


「そこで脚を折り曲げ式にするのさ。普段は脚を折り曲げて平らにしてから左右の座席の後ろに引っ掛けて立てておくのさ。

 そうすれば普段は座席の背もたれになるからね。」


「おお! それはすごい考えですよ、ご主人様!

 行動中と休憩中で座席の形状を変えれるなんてすごい発想ですね!」


「まあ、僕のアイデアじゃなくて元の世界にそういう乗り物があったんだよ。」


「それでも私達にとってはすごいことです!

 早速作っちゃいましょう!」


「ああ、さっさと片付けちゃおう! 明日は早いしね。」


 と言うと、皆で作業に取りかかる。


 女子チームには座席の幅に合わせたクッションを縫って綿をタップリ詰めてもらう。

 取り外しが楽なように長さ方向に4分割くらいにしておこう。

 たまには干したり洗濯したりが必要だろうしね。

 クッションは高さが合うように綿の量を均一にするようにお願いしておく。


 その間に僕はヤトノと一緒にベンチを作る。


 ヤトノはゴーレム作りが得意なだけあって手先が器用なのだ。


 僕が「物体作成」スキルで切り出した板材と角材を、ヤトノが釘と蝶板を使って繋ぎ合わせれば、折りたたみ式のベンチの完成だ。


 これに四隅に紐を付けたクッションを括りつければ、あっという間にクッション付ベンチの完成である。


 同じように荷台の座席にもクッションを括りつけて、その間にクッション付ベンチを並べて、仕上げに『快適空間の魔道具』を荷台の天井部分に4つ等間隔で取り付ければ完成だ!


「おお! イメージ通りにベッドができあがったぞ!

 これなら荷馬車の中でもゆっくり横になれるね!」


「すごいですね!タクさん!

 これは製品にして売り出してもいいと思いますよ!

 これだったら私達もお金を貯めて買いたくなりますよ!」


 とククとルルも目を輝かせている。


「もう1台の馬車も同じように改造するのですか、タクさん?」


 とククが聞いてくるので、


「いや、もう1台は座席にクッションを取り付けるだけにしておくよ。

 そっちは別のアイデアがあるので、また旅の道中にでも改造することにするよ。」


「わかりました!」


「どんなアイデアなんですか?」


 とアカネちゃんが聞いてくるので


「元の世界のキャンピングカーのイメージかな?

 簡易なキッチンなんかを取り付けたやつね。

 コンロの魔道具なんかを作って馬車に設置すれば、わざわざ竈を作らなくてもお湯を沸かしたりできるしね。」


「おお!いいですね! 野営の時に便利そうです!

 早く作ってくださいね!」


「タクさん、どうせならこの馬車の改造のアイデアも商品として広めてはいかがですか?

 きっと需要はあると思いますよ。

 上位の冒険者パーティーは自前の馬車を持つことも珍しくないですからね。

 製造と販売は松戸屋のケンさんに任せてはいかがでしょうか?」


「うん、それはいいね。

 『8番格納庫ハンガーエイト』ブランドの商品にしてしまえば商品のラインナップも増えるしね。

 使い勝手を試して問題なければケン君に手紙で知らせよう。」


「ですね。」


「じゃあ、いい時間になったから片付けようか?

 そろそろ夕食の時間じゃないかな?」


「ですね!」「お腹が空きました!」「肉がいいです!」


 と口々に叫ぶ女子チームを宥めながら片付けをすませると、僕達は宿に戻る。


 さあ、今夜の夕食は何かな? 楽しみだね!


◆◇


 皆で食堂に到着すると、既に夕食タイムが始まっていたので、僕達は宿の娘さんに案内されるがままに席につく。


 今日のメインはポトフのような肉と野菜の煮込みである。

 

 肉と根野菜がゴロゴロと入っていて、とてもボリューミーだ!


 優しい味付けなのでいくらでも食べてしまいたくなるぞ!



「うーん、ポトフ美味しいですね!」「幸せの味です!」「肉が柔らかい!」


 と女子高生3人組も喜びの声を上げている。


「これは野営中に作ってみたくなるね。次の街で買い物する際は根野菜もたくさん買っておこう。」


「そうですね、タクさん!!」

「お任せください、ご主人様!」


 とチャロンもヤトノもやる気マンマンだ。


「それはそうと、夕食後に一度僕達の部屋に集まってくれるかい?」


 と女子チームに声をかける。


「え、もしかして私達を食後のデザートに食べるつもりですか、タク先輩?」


 とアカネちゃんがからかってくるが、


「いやいや、そうじゃないよ(汗)

 明日からの旅に備えて皆に渡したいものがあるのさ。」


「ふふふ、わかりました(笑)

 デザートは次の機会にとっておきますね!」


 とアカネちゃんが妖しく笑う。


 なんかアカネちゃんが最近チョイチョイとぶっ込んで来るよね。


 隣で亜季ちゃんが能面のような顔がをして冷気を放っているから止めて欲しい(汗)。



◇◆


 皆と一緒に部屋に戻って適当に腰を下ろすと、


「いくつかの魔道具を皆に配ろうと思うんだ。

 まずは皆が欲しがっていたタトゥーの魔道具さ。」


 と言って、ワウラの街を出る前に作ったタトゥーの魔道具を皆に渡す。


 僕たちとクク・ルルのパーティーのエンブレムを描いたものだ。


「おお!これは『炎狼小隊』のデザインですね!

 格好いいです!」


「私達、『新緑の精霊』のデザインも作っていただいたのですね!

 素敵です!」


 と女子チームはみな嬉しそうだ。

 キャーキャー言いながら大喜びしている。


 亜季ちゃんだけが


「これで私もタク先輩の奴隷の印を身体に刻み込まれるのね・・。」


 と恍惚の表情を浮かべてブツブツ言っているが、どうしたものか・・。


 まあ、いつものことだから放置しておこう。


「使い方は好きな場所に紙を押し当てて魔力を流すだけなので、部屋に戻った後にでも試してみてね。

 あと、クク・ルルにはこれも渡しておくよ。」


 と言って、『念話の魔道具』を2人に渡す。


「これは何ですか?

 皆さん同じ物を身につけていらっしゃるので気になってはいたのですが。」


「これは『念話の魔道具』と言って、魔力を流すと頭の中で念じるだけで相手と会話ができる魔道具なんだよ。」


「ええ!そんな魔道具があるのですか?」


「うん、まあ無かったから僕が作ったんだけどね。ちょっと試してみよう。」



 と言って、皆と一緒に念話で話しながらクク・ルルに使い方を教える。


「これはすごい魔道具ですね!」


「時々皆さんが何も話さずに黙っていても意思疎通できていた理由がよくわかりました。

 この魔道具を使っていたのですね。」


 とクク・ルルが感想をもらす。


「実はそうなんだよ。

 あとこの念話の魔道具を使えば、うちの従魔達とある程度意思疎通ができるからね。」


「え!そうなのですか?

 じゃあ、スノーちゃん達ともお話できるのですか?」


 とククが質問すると、それを聞いていたスノーが「バウ!」と吠える。


 それを聞いたクク・ルルが


「おお!」「すごい!」


 と感動している。


「この魔道具を使えば皆で念話で意思疎通できるから、護衛や周囲の警戒が効率よく実施できるよ。

 それに、明日からは『戦乙女の双剣』と一緒に行動するから、念話で話ができると何かと便利だからね。」


「ですね! ところで皆さんが首にかけているお揃いのネックレスも魔道具なのですか?」


「ああそうだよ。これは『治癒魔法のネックレス』だね。

 治癒、治療、解毒、回復の4つの機能を付与した魔道具さ。

 12時間に1回自動で発動するので、常に健康を維持できるし、怪我した時は任意で発動できるので保険代わりに皆に着用してもらっているんだよ。」


「すごいですね!

 これもタクさんが作ったのですか?」


「そうだよ。たださっきの念話の魔道具もそうだけど、あまりにもスペックが高いので販売はしていないんだ。

 値段もつけられないし、何より変な貴族に目をつけられても困るからね。」


「ですね(汗)」


「『治癒魔法のネックレス』は手持ちが無いんだけど、ちょうどいい機会だから2人の分を今から作ってあげるよ。」


「え、いいんですか!?」


「もちろんだとも。ちょっと待ってね!」


 と言うと、アイテムボックスから材料を取り出して、『物体作成』でサクッとネックレスを作ると、各種魔法を付与する。


 いつものとおりキラキラエフェクトがかかったらOKだ。


『目利き』スキルで確認しても無事に完成しているぞ。


「さあ、できたよ。いつも身につけておいてね。

 ちなみにネックレスは君たちのパーティー名をイメージして葉っぱの形にしておいたよ。」


 と言ってクク・ルルにできたてのネックレスを渡す。


「すごい!こんなにあっさりと魔道具を作ってしまうなんて!

 タクさんはもしかしたら、いや、もしかしなくても国のお抱えの錬金術士を超える錬金術士かもしれません!」


「ははは、まあもっとすごい人はいるさ。

 それに国のお抱えにされていいようにこき使われるのも嫌だしね。

 目立たないようにしておかないと。」


「ですね(汗)。でもこんなすごい魔道具を2つもありがとうございました!」


 とクク・ルルが元気よくお礼を述べる。


「喜んでくれたなら良かったよ。じゃあこれで僕からの話は終わりだよ。

 皆から他に話が無ければこれでミーティングを終わろうと思うけどいいかな?」


「あ、タク先輩、1つだけいいですか?」


 と楓ちゃんが手を上げる。


「何だい?」


「ちょっとチャロンさんとヤトノさんの手をお借りしたいのですが?」


「いいけど、どうしたんだい?」


「はい、先ほどいただいたタトゥーの魔道具を使うのを手伝っていただこうかと思いまして。」


「僕は問題ないよ。チャロンとヤトノはどうかな?」


「はい、問題ありません。皆さんのお世話も私の仕事ですからね!」


「私も問題ないですよ!

 ちゃんとセクシーな感じになるように私がいい感じに貼り付けてあげますよ!」


「じゃあ、OKだね。

 明日はまた朝から旅の開始なのでゆっくり休んでね。」


「「「「「はい!」」」」」「「わかりました!」」


 と答える女子たちを見送る。



「さて、チャロン達が戻って来るまで販売用の魔道具の在庫でも量産しておくかな?」


 とつぶやくと、『8番格納庫ハンガーエイト』ブランドで販売中の魔道具の作成にとりかかる。


 前に準備した100セットはあっという間に完売したようだから、ケン君から催促の手紙がくる前に早く補充しないといけないね(汗)。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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