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6話

 何時もの場所に戻ると、アドベンチャーラーの奴らが人混みに紛れていた。

 さっき残したレンがスペルカードの転移を使って、消すタイミングで皆の場所に戻したのだ。

 どうせ消える時に人がどうなるかなんて誰も詳しくは知らないし、後は何とか成るだろ。

 ま、俺の場合は別の方法で人混みに戻ったけど。


 これで、あいつらが口を滑らせなければ問題なし。

 レンが言う事ちゃんと聞いて貰う為に傘下にも入れたしね。

 さーて、こっからが長いぞー。


 本来の下校時間から2時間遅れての帰宅となった。

 警察とかが来て、調べていたのだ。

 今日から数日の警察の監視が入る。

 管理者を見つけ出す為らしい。

 多分、国が抱えているレベルの高い管理者を連れて来る可能性がある。

 管理者を見つけるには管理者か管理者を見つける事の可能な能力者が必要だしな。


「ねぇ、天音」


「なに?」


 千秋と帰っていると、話しかけられる。


「あれは、なんだったの?」


「あれって?」


「天音が男の子達の所に行った後、数分後に戻って来たじゃん?」


「そうだな」


「でも、あれって天音じゃないよね?」


「何言ってんだよ。俺だよ?」


「嘘! 私分かるもん! 根拠は無いけどさ、幼馴染の事は絶対に間違えたりしない!」


「いやいや。普通に戻って来たよ?」


「じゃあなんでダンジョンは消えたの?」


「男の子達が攻略したからじゃない?」


「嘘! 私アドベンチャーラー好きだから沢山調べてるもん! 攻略した人は遅れて出て来る! 一緒に出て来るなんて有り得ない! それに、分かるもん。お願い。なんで、あそこで偽物を送ったのか。理由を教えて。私達の仲じゃん。理由、教えてよ。教えてくれるまで帰さない!」


 なんだろうか?

 うん〜理由か。

 確かに千秋の言っている事は正しい。

 管理室の心臓部で俺達は脱出した扱いになると、遅れて出て来てしまう。

 だが、転移によって皆と同じ場所に居た。

 戻る時は巻き込まれた時と同じ場所に出る。

 しかし、今回は千秋は誰も攻略してないと睨んでいるみたいだな。


 それが一緒に出て来たから。

 管理者だと疑われ難いように一緒に逃がした。


「理由、か。千秋はこの事を誰にも言わない?」


「うん!」


「実は、俺があのダンジョンを攻略したんだ」


「え」


「俺のアビリティを見ただろ? それで攻略した。だけど、俺はアドベンチャーラーじゃない。だから、俺が攻略したとバレたくなくて、ドッペルゲンガーと言うモンスターを送ったんだ」


「そっか。え? あの人達は何してたの?」


「違う道を攻略してたんじゃないか?」


「そっか。良かった」


 さて、なんか俺の頭も混乱して来たし、帰ったら寝よ。


 家に帰ったら俺は風呂に入って寝た。


 翌日、俺は「コンビニ行ってくる」と言って、家を出た。

 父は仕事、母はママ友と遊びに、亜久も遊びに行った。

 別にコンビニの理由要らなかったかもと思い始めてる。


 だって今俺コンビニ行かずに部屋にいるもん。

 スペルカードを取り出す。

 スペルカードで1番愛用しているスペルカード。


「入室!」


 俺はダンジョンに入った。

 そして、管理室の自身の部屋に入った。

 そこには大きな机があり、様々な『俺』が座っている。


「さて、ドッペルゲンガー達、今から夏休みの課題を始める! 1人1つをやって来れ。スペルカード、共有、発動!」


 俺が管理者として1番ありがたいと思う瞬間、それがコレである。

 さっさと課題を終わらせ、きちんとやった感を出す為に感覚等を共有する。

 ドッペルゲンガーは俺に変身し、俺の能力その他諸々のちょい劣化版になっている。

 知能や字の綺麗さなどなど、これで不正がバレる事も無い!


 俺がやるのは作文だ!


「読書感想文、か」


 これは今時の医療を書いた本の感想で良いか。

 まずはあらすじを丸写しして、序盤のながらと終盤の流れを入れて、自分の思った事を少し書く。

 今時の医療は回復系のアビリティが基本となって、ここまで積み上げて来た人間の化学を踏み潰した。

 痛くも痒くも副作用もない回復系アビリティがあるのに、副作用の危険がある薬に手術する奴なんて居ない。


 だが、俺は思うのだ。

 もしも今、急にアビリティが消えたら、俺達は大丈夫なのだろうかと。

 アビリティは世界に浸透し過ぎた。

 アビリティに頼った物だってある。


 ──ま、その心配は無用なんだけど。

 アビリティはこの世界の『普通』らしいから。


「終わったぁ」


「こちらも」「こっちも」「ここも」「これも」「後ちょっと」「なんだよ好きな先生に付いてなんて。気持ち悪い」「ダンジョンに付いて」「アビリティに付いて」「「なんて書いたら良いですか?」」


 などなどの返事が返って来る。

 そして、新たな指示を出していると、秋が隣にやって来た。


「マスター。管理者総括の神から手紙が届いております」


「ん?」


 その内容を見ると、「傘下にした迷宮管理者をSクラスまで上げてね? それが君の義務!」だった。


「まじかよ」


「それよりもマスター『傘下の迷宮管理者』とは、なんですか?」


「笑顔が怖いよ、秋」


「誤魔化さないでください!」


「すみません! 過去の俺が何考えてこんな考えにしたのかいまいち分かってません! 普通にあいつらがダンジョン攻略した風を装えば良かったです!」


「はぁ。で、何をしてあげるんですか?」


「そ、そうだなぁ」


 どうせここは1層も攻略出来る奴は居ないだろうし、1層に配備されない奴なら基本暇だし、誰か送ろうかな?


 と、言う訳で最深部のボス部屋、通称玉座の間に来ている。

 いやぁ、なんでこんな作りにしたんだろ?

 ここ担当の奴が気に入ったから壊してないけど、見た目がなんか雑魚の魔王の住処的でいやなんだよな。

 まじで何してんだよ中学2年生の俺。


「あぁ。来てくれてありがとうな。バハ」


「いえ。天音様のお呼びがかかれば神界、天界、魔界、地獄だろうがさせ参じます」


「あ、そうですか」


 バハムート、このダンジョンでは上の中くらいの実力を持つドラゴンだ。

 まぁ、あれだ。量産型ドラゴンの見た目をしている。

 だってカッコイイもん。

 まぁ、デカすぎて使える場所が限られているんだけど。

 こいつの担当場所は畑だ。

 広くてとても緑色の空間、第4階層にある。


 そこでこいつらの食料を作る農場エリアを担当させている⋯⋯筈。

 このダンジョンは1層以外は基本的に使う施設が多い。


「さて、秋から大体の話は聞いていると思う」


「はい」


「そこで、見た目に威圧感もあり、普通に強く、賢いバハに傘下の迷宮に行って貰いたい」


「⋯⋯」


「安心してくれ。俺にはお前が必要だ。だからすぐにこっちに戻って来て貰う。ただ、あっちの成長を見守るだけだ。俺達の代表だと思って行ってくれ」


「畏まりました」


「アイテムストレージに連絡用と移動用のスペルカードを入れて行け。健闘を祈る」


「はっ!」


 後はあっちの迷宮管理者と接触して、入口を繋げてバハを移動してらダンジョンエナジーもかなりやって、モンスターの強化と作成、迷宮の強化をやらせようかな?

 ほとぼりが冷めるまで国に報告はやめておこうかな?


 はぁ〜なんか俺って後先考えず行動するよなぁ。

 もうちょっと管理者としての自覚を持たないと。

 仲間が危険な目に会うぞ全く。

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