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裏切り

第八話



帰り道

私は今日の1日を回想しながら運転していた。

初めて会った美佳の姿は全てがとても眩しかった。

ヘアースタイルもナチュラルなメークも素敵だった。

聞かされていたピンクのカーディガンも

バランスのいいスカートと合っていてとても

似合っていた。


美佳もカーディガンのことは説明してくれた。


「ピンクなので春ぽく見えるけど

 ハイゲージのニットで編み込みが

 秋のデザインになっていて今年の秋の

 新作だよ」ってさらっと教えてくれたのも

 美佳らしかった。


洋服の話をする時は一層輝いていた

やっぱり今の仕事が大好きなんだなって思った。



想像の世界で理想となっていた

実際の彼女は、はるかに素敵で魅力的な彼女だった。

大袈裟に聞こえるかもしれないが

本当にそう感じていた。


思いもよらなかった出来事は••

会うまでに2か月も掛かっていた。


たしかに、会えたらいいなと何度も

思っていたが、焦らず自然に任せてた。


だからこその導きが今日だったんだと

今日の出来事も自然な

流れだったんだと言い聞かせていた。


人は『会った日に』って言うだろうが

しらずしらずに思いが募り、

想い焦がれていた人が前にいたら

身を任せてしまうのは当然の事

口づけは当たり前の事だったんだと••

(そう思わなければ前に進めない気がしていた)



それでも、私は

明日は美佳の家に行くのか?

そんな事が許されることではない事は

重々わかっている。


ただ、もう私たちは周りの人たちの事が

見えなくなり始めているのかもしれない

冷静にならなければと思うが

それ以上に美佳に対する想いが大きくなっていた。


次第に二人の心が

ひとつになっている事を感じた。


ただ、まだ今なら戻れるかもとも・・・


(車を留め、色んな事を考えていた)


(みんなが寝静まった頃を見計らい帰宅した)


翌朝、早く

『今日はまた早朝から釣りに行く

昼には帰るよ』と身勝手な書き置きをして家をでる。


(もう、家には気遣いが出来なくなっていたのかも

 しれない)



早朝に出たので約束まで時間があった。

トンネルを越えたところの駐車場で

朝陽をみていた。

ぼっーと何も考えずに眺めていた。

何かを考えてしまうと

何もかもが、いけない事に思えて

しまうのが 辛かったからかもしれない。



美佳の家近く、昨日の場所に車を留めて

美佳を待った。

右を見ると旦那様の車はなかった。


ほどなくして美佳が迎えに来てくれた

家までは少し離れて歩いていた。


確かに、狭く入り組んだ道だった。

来た道をもどるのは容易ではないぐらい

細い道だった。


昨日言ってた通り

マンションの入り口から

すぐのところが美佳の自宅のドアだった。


なぜか、友達を装いながら家に入った。


(これは裏切りで、うしろめたく

 常識ではありえない行動だった

 旦那様の居ない時に家に行くなんて

 許されざる行為だった)

美佳が招いたとしても断られなければいけなかった。


そんな事を思ってもいても、

身体と心はバラバラだった。


美佳は普段どおり、いや

ノーメイクでまだパジャマのままだった

それもまた、可愛いと思ってしまっていた。

(ひとは馬鹿な男だと言うだろ)


(美佳は平気な様子で…

 昨日の事はぜんぜん引きずっていない

 感じだった)


「ケンちゃんは工場勤務で朝が早いの

 7時には出勤だから、もう夕方まで

 帰ってこないよ」


「だから、ゆっくりしてね」

「紅茶いれるからね、待ってて」


(美佳は友達を招待したかのようだった)


「パパはお腹空いてない?」


「大丈夫だよ」

(内心こんな状況で食べれるわけないよ)


「美佳は10時から仕事だったよね?」


「そうお店は10時半に開けないといけないから」


「遅くてもそれまでにはいかないとね」


「バスの時間もあるしね」


(美佳はとなりの部屋からメークしながら

 喋っていた)


「昨日は寝れましたか?」


「うん、ぐっすり寝たよ」

「パパはどうだった?」


(ほとんど寝れなかったけど)

「寝れたよ」


(後を引いてたのはこっちだけか?)


(またダイニングに来て)

「紅茶が入りましたよ、どうぞ」


「これ、社長が海外に生地の仕入れに

 行った時のお土産」


「香りがとてもいいよ」


「ありがとう、いただくね」

「どうぞ~」


「うん、美味しい」

(コーヒー党の私でも違いはわかった)


「でしょう♪」


(私は、ダイニングから隣の部屋で

 準備している美佳のところへいった)


部屋の外から、そーと美佳の様子を見ていたら


「ここは私の部屋だから入ってもいいよ、

ちらかってるのは許してね」


(布団がたたんであったので)


別々に寝てるの?(立ち入った事を聞いてしまった)


「うん、寝る時間も、起きる時間も違うからね

 別々に寝てるよ」 (何故だか嬉しかった)

 「ケンちゃんはベッドだよ」


「そうか、CDも沢山あるね・・」

(置いてあるCDを見ながら)ZARD ばっかだね」


「うん、泉水ちゃんのファンなんだ

 コンサートもいくよ、詩が素敵でしょ」


「持っていっていいよ、新しいOH MY LOVEも

 よかったよ」


「うん、そしたら借りよかな」


「尾崎豊は旦那様?」


「そう、ケンちゃんは尾崎豊1本だね

 あこがれてるみたいだね」



当時はCDの時代、現在のMP3プレーヤーなんて

なかった時代です 。


「ねえ、パパ腕時計を見して」

(急に話がかわるのも美佳の得意技)


「いいよ、普通のダイバーウオッチ」だけど、

 どうしたの?


「ねえ、時計交換しない」


「男の人の時計てごつくてカッコいい

 でしょ」


「だから美佳がパパの時計をして、

 パパは美佳の時計をするの」


「いいけど・・美佳のはどれ?」


「そうね、男の人がしても大丈夫そう

 なのはこれかな」


(いや、全然女性ものじゃないか

 ピンクゴールドだし)


「うっうっん(焦り)いいよ 

 けど高価なんじゃないの?」


「せんぜん、それよりずっとしててよ」


「それをしてたらいつもそばに一緒に

 いられるでしょ…」


(そういう事は美佳らしい発想だった)


準備はできたから、あとはお洋服を着るだけだね


「早起きしたし、時間まだあるし」


「パパ、えっちしない?」


「え?何を?」と聞き返すした


「何度も言えないよ、S()E()X()だよわかんないの?」


「わかったけど…」 と言う前に

また、美佳に引き寄せられて口づけをされていた。


一瞬で色々な事を考えていた

昨日初めて会った、そして口づけをした

今日は美佳の家に来ている・・・


複雑な状況を整理出来ずにいた。


しかし、旦那様がいる事を忘れて 美佳を引き寄せ

ていた、口づけをしながら、たったまま美佳の

服を脱がしていた…


もう引き返せない…



美佳はあざとい女性と思われると思うが、

そうではなく

今まで愛を求めることができなくて

愛されたい症候群だったのかもしれない…




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