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初まりの始まり

第五話



昨日はほとんど寝れていなかった。

「今日は昼から仕事にいきやり残しを

 片付て夕方から、会社の人たちと

釣りに行ってくる」と

妻には言っていた。


実際、友人たちと釣りに行くことも

あるし、今の季節は週末は夜釣りと決まっていた。


それでも、今日は半分嘘だった。


子供たちの面倒もみずに仕事一辺倒で

家庭を顧みなくなったのは20代の後半からだった。


「それじゃ仕事いってくるよ」

「行ってらっしゃい」

 といい家を出た。


(職場は自宅から車で50分ぐらいの

 もっと北側にあった)

六甲山トンネルの北側に位置していた。


職場での仕事はあまり手がつかなかった

しっかり片付けておかなければ月曜日が

大変なのはわかっていたが、やはり手がつかない。

それでもなんとか集中して

ノルマはクリアした。


そろそろ、出ようと車に乗り出発。

そして六甲山トンネルを抜けて神戸にいく。


料金所を抜け、車は下っていく。

(当時、料金所は神戸市灘区側にあり、

 その奥には小さな展望室内のような

 建物があって、そこから神戸の景色

 が一望できた。)



景色は運転しながらも目に入ってくる。


左カーブして右に橋上を通る

すると眼下に神戸の街並みがみえてくる。


私の大好きな景色だ 

(後の大震災でこの景色が無惨な姿となる)


(私の住んでいるところも神戸だが

 北区住民は六甲山の南側だけが

 神戸と思っていたのか?

 北区以外の山向こうにいく事を

 神戸に行くと言っていた。

 同じ神戸なのに••)


景色をチラチラみながら六甲山を下り

鶴甲(つるかぶと)を抜け神大の横を通りながら

交差点を越え阪急電鉄の高架をくぐり

2号線の手前を右にいく。


(そうそう、神戸の人は地図を書いてと言われると

 必ず右から左に線路を書く、実際

 阪急、JRも阪神も東西に走っている

 上に六甲山脈を、下に海を書く。

 なので、神戸のひとは右が東で、左が西

 上が北で、下が南

山は北で海が南とかならず表現する)



車はそのまま、西に走り新神戸駅の

南をとおり、三宮駅前、神戸の一番

の中心部をとおり、すぐ左折した

そこが、美佳の指定の場所


土曜日の夜なので、駐車が多く

少し離れたとこにしか留めれなかった。


「探してくれるかな?」

「気づいてくれればいいが」


美佳からは

『ヨテイドオリ』とメッセージが入っていた。


時計をみると、30分も早くついてしまっていた。


30分は長くも短くも感じた。


(こんな格好で恥ずかしくないかな?

 仕事行くって出てきたから

 そんな、オシャレはしてないから)


もっとも普段から着飾るタイプではない。

どちらかというと、少し個性的だか

今日は無難にしたつもりだった。


(美佳はたぶん、いや、きっと!)

 素敵な感じなんだとおもう。


そんな思いを馳せていた。


そんな時、左側の窓を『コンコン』

とノックする女性が立っていた。


私は窓をあけ、私は


「美佳さんですか?」


「そうですよ」と笑顔で答えくれた。


私はあわてて車を降り、左側に立っていた、

美佳さんに近寄り(雰囲気が美佳()()だった)


「真です」

「こんばんは」

「電車混んでいましたか?」って

どうでもいいような事を聞いていた。


案外背は高くなかったが

すらりとした女性だった。


顔はこの時は正直ほとんど見れていなかった。


けど、美佳は冷静にそしていつもの様に


「パパ?パパだね、うんやっぱ、パパだ

 いい感じだね、カッコいいよ」


「思った通りだね」


パパ、パパってこんな沢山、人のいるところで、

 言われるとなんか勘違いされないか?

(なんか変な汗がでていた)


カッコいいは、言い過ぎだと思ったが


美佳のこういう無邪気なところも大好きだった。


「とにかく、車に入ろう」


と言って助手席のドアをあけて

「どうぞ」って言った。


「ありがとう、パパ」


そして、私も車に乗り


「さてと、お腹すいてるんじゃない」


「う〜ん、そうだね、すいてるけど

 緊張してあまり、食べれないかも」


(え?美佳も緊張?ウソでしょう)

そんな感じには全然、余裕ってかんじなんだけど


「とにかくここからは離れよう」

(沢山の人で誰に見られてたら心配だった)


美佳のリクエストで自宅から

 それほど離れていない『ベーカリーレストラン』

 に入った。


近くで誰かに見られないか?

まして、お店のお客さまとかに会わないか

心配だったので


「大丈夫?知り合いに会わない?」

って聞いた。


「友達って言えばいいじゃん」

と大胆なお応え


たしかに、友達だとも言える


そっか美佳は本当に友達だと見てるのだろうと…

見てるのかな?


(寂しいような、気が楽なような複雑だった)


とにかく初めて会うので緊張はしたが

案外すぐに楽にになった。

やはり、二か月もしゃべっていると

たくさんの事を知っているから

ずっと前から会ってたような錯覚にとらわれていた。



この、食事のあとのデートともいえる

場所での出来事が二人を翻弄していく

こととなる。

けっして友達だとは言い訳できない

出来事のはじまり




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