表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/30

核心

第三話


心配は無用だった、美佳からは定期的にベルがなり

こちらから電話をするという事を繰りかえしていた。

次第に慣れていったが、敬語はそれほど減らず、

美佳がそれに慣れてくれていた。


「ところで、真さんは結婚していたよね? 」


その話題は突然やってきた。


別に避けていたわけでは無く

最初の伝〇ダイヤルのメッセージで

「神戸在住 既婚32歳」って履歴書みたいな

メッセージを入れいた。

だから、隠していたわけではなく

正直に伝えていた。



既婚をアピールしているわけでは無い、

ましては出会い系を肯定しているわけでもない。

間違いなく浮気だと思っているが

この時は立場もわきまえず

舞い上がっていたので罪悪感がなかった。

いままでの電話だけでのおしゃべりだからと

友達ですとは言い訳出来ない。

完全なる浮気と言われるだろう。



なぜなら、明らかに女性として私は美佳に好意を

抱いていたからだ。



「そうですよ、しています」


「聞いていいのかな・・美佳さんは? 」



「真さんお子さんは?」


(ん?こっちも聞いてるのに、また質問 )



「いますよ3人」

「3人も?すごい32歳で3人もいるの?」



「結婚が早かったからね、二十歳で結婚したんです

 それで二十三歳の時に一人目が生まれたんです」


「すごい、二十歳で結婚なんて、ふつうは

 できちゃった婚じゃないの?」


「そうじゃなかったんです、たまたまの

 タイミングがそうだったんです」



「奥さんはいくつ?」


「上です5歳上です、正確には4歳半」 

「5こ?すごい」


(なんか、バカにされている?そうじゃないよな?)


「お子さんはいくつなの?」


「子供は9歳8歳4歳です、男女男ですね」


「わー!お父さん・・パパだね」 

「私もパパって呼ぼうかな」



(本気なのか?冗談だよな?)



「それで、美佳さんは? 」


「私もしているよ、高校の同級生、私たちは同じ年」


(同級生はだいたい同じ歳だとおもうのだが…)



(やっぱ間接的に姉さん女房をイジられている?)


そんな、お互いの夫婦感を話し

この日は終わった。



こんな話をしたので

これは、やっぱり浮気だよな、けど電話だけだし

友達、うんそうだな、ともだちだよなと

私は勝手な納得をしようとしていた。



色々と言っているが、間違いなくこれは今でいう

W不倫というもの

お互いに旦那様、奥様が居てるのに

こんな事をしている。

人を裏切りながら自分たちはこんな事をしている

許されるわけがない事を!

のちにいろんな事があったしても

この時、これからも許される事ではなかった。



しばらく、ベルが鳴らなかった。

(やはり3人の子持ちは嫌だよな)

何人であれ、妻子持ちには違いない


そう、思っていた時にベルが鳴った。



「もし、もし、こんにちは!」


いつも、この瞬間が緊張する

アルバイトの人が出たらどうしようとか

お客さんがいたらどうしようとか



「パパ元気してた?」


「本気でパパって呼ぶつもり?」


(ふざけているのか・・な )



「パパね私もポケベル買ったの、

ケンちゃん(旦那様をそう呼んでいる)と一緒に」



「そう、ならこっちからもメッセージ送れるね」



「そうだよ、ベルでいつでも会話ができるんだよ」



この時のポケットベルは数字変換で文字

(カナ・アルファベット・定型など)

が送れたけど、面倒だから数字でごろ合わせして

送る事が多かった 。

女子高生などは、ほぼ数字語呂合わせで

送っていたと思う。

たとえば『49106』至急TELとかね



「パパも送ってね、番号送っておくからね」


(あの、パパ、パパって既に違和感なく

 呼べるのはなんなんだろう)


美佳の性格が許せるのだろうか…

こういうところも可愛いと思える

電話だけで次第に惹かれていっている



旦那様と一緒にポケベルを持つことになったのは

なぜか 正直やきもちを焼いてしまったが

持つのは当たり前の事だった。

二人だけの世界なんて許される訳もなく

誰も許してくれる訳もなかった。

自惚れかもしれないが

ただ、間違いなく私の近くにいてくれている

気持になっていた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ