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サクラ

第一話

「あの震災からもう27年も経ってしまったんだね」

とベットに横たわる君のよこで

そっとつぶやいていた。


窓からは春の優しい風がながれ、

カーテンが揺れていた。


もうすぐ桜の季節、窓から見えるあの木も

きっと綺麗な花をさかせるんだろうね…


「心地よい風だね?大丈夫?寒くないか?」と

たずねると目はとじたまま、ちいさく美佳は

うなずいた。

きっと窓からの日差しが眩しいんだろう

うっすら目をあけて外を眺めて美佳も

27年前の事を思い出していた。


震災の半年前の夏、私たちは出会った

私は当時32歳 美佳は6歳下の26歳


美佳は阪急岡本駅近くで小さなブティックショップ

『シュクル』で店長をしていた。

お客様のほとんどがシュクルの洋服ファンの

常連さん。

私は、外資系商社の会社員でサービス部門で

お客様担当をしていて毎日忙しく働いていた。


そんな2人が

出会ったきっかけは今でいうマッチングなんとか

という出会い系。そう

伝○ダイヤル?・・だったかな


テレホンカードのようなものを購入して

専用ダイヤルに電話を掛けて

女性の自己紹介にメッセージ入れて返事を待つ

もしくは自分で自己紹介を登録して

反対に女性からのメッセージを待つ。


あまり、はっきりと覚えていないが

そのようなシステムだったと思う。

今の年齢でこの様な説明をするのは

(何か恥ずかしくて自己嫌悪に陥る。)


初めて

遊び目的でやってみたんだが

次々と女性の自己紹介を聞いていたら

美佳(この時は名前すら知らないが)の自己紹介に

心が止まった、少し暗めだったのが逆に気になり

メッセージを入れてみた。


この夜はひまでなんとなくやってみて

それが初めて入れたメッセージだった。


すると、まさかまさかの返事が入ってきた、

私はご返事ありがとうございますと入れ

簡単な自己紹介と友達探しの理由を返した。

すると、また入ってきた。


これってサクラだろうなと思ったが

サクラならサクラで構わないや

おしゃべり(専用の回線)してカードの金額が

なくなったらサヨナラすればいいや

どうせ、ひまつぶしなんだからそれで

帰ろうって思っていたんです。


専用回線で会話が出来るようになり

おしゃべりをしていたんですが、

やっぱり少し暗く、それでも楽しく話すことが出来た

いつのまにかお遊び目的はどこかにとんでいた

純粋に美佳との会話を楽しんでいた。


そしてあっという間に短い時間が過ぎて

伝○ダイヤルが終了間近になる


「僕は今日だけの初めての伝○なんで

もうしないのでさよならですね」って

電話を切ろうとしたら


美佳から『ポケットベル』の

番号を教えてくれますか?」って

まさかとは思ったが、私はまぁ教えるぐらい

構わないかって、教えてあげた。

(当時はまだスマホはなく

携帯電話は出始めであったけれど

持っている人の方が断然すくなく

少しお金に余裕のある人のステータス

のようなもので、多くはポケットベル

かPHSだった、学生たち若い子はポケベルが

必須アイテムだった時代だった)

(のちに震災のあと携帯が急速に普及する)


家に帰る車の中でやっぱサクラだったん

だろうなって思いながら、けど

少し、ポケベルを聞かれた事に

期待してわくわくしていた自分がいた。


それから1週間がたち、私のポケベルは

全くならず、忘れかけていたころ


「テルシテ41x17xx」とメッセージがきた


何かわからず、とりあえずそこに電話をしてみた。


「はい、シュクル岡本店でございます」

 ?なに?間違いベルか?と思いながらも


「そちらの番号がベルにはいったんですが」


「あ、はい少々お待ち下さい」

  と言われ少し待たされ、

「お待たせ致しました、覚えていますか?

 美佳です•• あっ!少し待て下さいね」


数分待たされていた間

「美佳?さん、?」「伝○ダイヤルの?ほんと?」

すこし混乱していた。


「はい、お待たせしました、改めて美佳です」

「真さんですよね」

 (名前を言ったことすら覚えていなかった)

「そうです、え、ほんとに美佳さん?」

「はい、そうですよ」

「それより、ここはどこなんですか?お店?」


「はい私が働いてるお店です」

「え?さっき他の方が出ましたけど」


「うん、大丈夫、休憩に行ってもらったので、

 今はわたしひとりですよ」

「あっ、そうですか」


突然の事に、冷静な彼女とは反対に

私は緊張しまくり、ちょっとパニックになっていた。


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最後まで、お読み下さりありがとうございます。

次回の励みになりますので、ご感想をきかせて

いただけると幸いです、よろしくお願いします。

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