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第80話~第81話

**********

第80話 長の館


ロックス「長が館によそ者を呼ぶことが、今までなかったんだ」


9人は顔を見合わせました。


マリン「まぁいいわ。とにかく、呼んでるんだから、行くしかないわよね?」


ロックス「……ついてきな」


ロックスを先頭に歩いて小一時間すると、館につきました。

高い壁に囲まれ、その奥には高い塔が見えます。重い鉄の扉が、ガラガラと鎖と滑車の力で引き上げられています。


マリア「館というよりは、お城ね」


キャッツ「あの、ボルカノさん?っていう人がこの里で一番偉い人で、ここの主なのよね?」


ロックス「……あぁ」


ローズ「ねえ、ロックスさん、本当に大丈夫なの?顔色悪いよ?」


ロックス「……おい!今からでも遅くない!この里から出な!」


門番「もう遅いですよ、ロックスさん」


門番のドワーフが口を挟みました。


門番「ボルカノ様からの命令は、9人の少女を連れてくること。これはすでに里中に知れわたっています……もう、遅いんですよ」


ロックスはうつむいて、何も言いません。


フィスト「私たちのこと、守ろうとしてくれたの?」


ブラド「ええとこあるやん」


ロックス「正直、俺にもどうなるかわからん。ボルカノ様が外の者を館に入れるなんて聞いたことがない。もし、殺されるなんてことになりそうだったら……」


ジャンヌ「ありがとう。その時は、遠慮なく反撃しつつ退避させてもらうわ」


リーフ「すごい会話……」


9人は館の門をくぐり、ロックスの案内で館の中を進みました。

館はまさしく城でした。

ただ、宮殿のような豪華な城ではなく、どこか武骨で、要塞のようでした。


10分ほど歩くと、大きな門の前に来ました。

ロックスが門を叩くと、中から開けられました。


扉の向こうはとても大きな部屋です。

部屋の真ん中を長いカーペットが奥まで走り、その先の立派な椅子に、ボルカノが座っていました。


その両脇に、従者、衛兵が数人、立ち並んでいます。


10人でそこまで進むと、ロックスが一礼したので、9人もそれにならいました。


ボルカノ「ご足労すまない。本来ならよそ者にはできるだけ関わらず、用が済んで里から出ていくのを待つのだが、お嬢さん方には聞かなければならないことがあってね」


丁寧な言葉遣いで「お前たちと話したくて話しているわけではない」と伝えてくる里の長。

9人は、何も言いません。

ボルカノの話の続きを待っているのです。


ボルカノ「これは知ってるかね?」




**********

第81話

レッドオーブ


ボルカノ「これは知ってるかね?」


その言葉で、従者のひとりが前に出ました。

彼が両手で持っていたのは、赤い光をたたえた宝珠でした。


9人全員がひとつのものを思い浮かべました。

ジャンヌが言います。


ジャンヌ「オーブ、ですか?」


ボルカノ「やはり、知っていたか」


ジャンヌ「知っていたわけじゃありません。見るのも初めてです」


ボルカノ「ほう?」


ジャンヌは旅立ちの塔で聞かされたことを話しました。


争いの絶えない世の中をひとつにするため、虹を甦らせる使命を、9人が背負っていること。

そして虹の復活のためには、7色のオーブを集めなければならないこと。


ボルカノ「なるほどな……このレッドオーブがしばらく前から強く輝きはじめたから、何事かと思って調べていたが、お嬢さん方が近づいてきたことに反応してるんだな」


フィスト「調べていた?」


ボルカノ「あぁ、里の中と、周りを、衛兵がな」


ロックス「俺もそのひとりだ」


ブラド「へー!ほんなら私たちと会ったのって偶然じゃないんや?」


ロックス「当たり前だ。どんな確率だ」


ボルカノ「まぁその話はいい。とにかく、このレッドオーブの輝きとお嬢さん方との関係はよくわかった。里に危機が迫っているのかと思って心配していたんだ。代々この地に伝わるもので、粗末には扱えんからな」


サリー「あ、あの……それで」


マリア「私たち、オーブが必要なんです……協力してくださいますか??」


ボルカノ「お断りだ」


キャッツ「えー!?なんでよ!」


リーフ「キ、キャッツちゃん……」


ローズ「あの……そのオーブが里にとって、とても大切なものだということは、よくわかります。でも……」


ボルカノ「違うんだよ、お嬢さん」


里の長は9人の顔をしっかりと見据えて、言いました。


ボルカノ「世界をひとつになんか、してほしくないんだよ」



辛口甘口、はんのういただけるならなんでも嬉しいです!

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