4話 街に入ろう
ちょっと小説設定を変えました。
数時間後、ようやく街のそばに着くことができた。
結局あの森はブラッドウルフしかおらず、倒すのは容易だった。
しかし"最強"魔法しか使えないのでは街に出ても話にならない、ということでウィンドウを頼りにいくつか基本魔法を覚えた。
まず水魔法。
これは最も操りやすく、水球や水のレーザーを思い浮かべるだけでぼやけたイメージでも具現できた。
ブラッドウルフの討伐にはこれを主に使った。
水の刃なども作れ、最終的に水球を自分の横に浮かべてそこから水レーザーを自動でブラッドウルフに打ってもらう、ウィンドウ曰く「複合魔法」まで出来た。
次に風魔法。
これが面白いことに大気を使って発生させるんだな、これが。
風の球?みたいなものも作れたがこれは水球と違ってブラッドウルフに当てるだけでも当たった部位が削り取れるのだ。
更に風の刃は斬れ味が水より全然違った。
風邪でレーザーは作れなかったし、操るのも難しかったのでこれは道中不採用。
最後に火の魔法だがこれは一度きり使ってない。
というのも火の球を作った時にまさかの他の木に引火、水魔法で消化をする必要があったからだ。
面倒極まりないのでこれは使っていない。
そして敵意がないことを示す為に水球を消し、門番の元へ行く。
「おお、旅の人かな?ここはエイガルト王国領内の街、ゴンドラントの街だ。通行証は2000Fで販売している」
「あ、じゃあそれお願いします。」
そういうと俺はマジックバッグから2000Fを取り出し支払う。
すると少し先にある小屋で発行まで待つことになった。
なぜか門番さんも付いてきてしまったが。
まあ2人いるのでそこは交代交代なのだろう。
「んじゃあ、ここですこし待っといてくれや」
「あ、はい。ここって物の持ち込み可ですか?」
「ん?あぁ、そうだな。一応聞いておくが爆発物なんてねえだろうな?」
「それはそうですけど」
「うん、なら大丈夫だったはず。やべー、マニュアル家に忘れた...」
この門番さん大丈夫か?
と不安になるが、まあ爆発物は持ってないし問題ないだろう。
しかしこの人顔はどこのヤクザ?と言った風貌だが中身はお茶目さんなのか。
可愛いなおい。
「あんたはどこの村から出てきたんだ?」
「あ...ええと」
きっと村と決めつけたのは悪意ではなくこの門番さんが村出なのだろう。
しかし困ったなこれは。
下手な嘘はいずれバレる。
これは俺が詐欺師で培った経験だ。
ここはアバウトに行こう。
「俺は東の方ですね」
「へぇ、東の村か...東っていうと山が多いし山菜系統に困らなそうだな。ハハハ」
この門番さん、とくに村の名前などは聞いてこなかったが探り過ぎないようにしているのだろうか。
だとしたらとてつもないいい人である。
「あ、それとあんた魔獣の森方面から来たが大丈夫だったのか?襲われてないならいいが...」
そうだった。
ここは普通に答えれば良いのだが道中に普通の複合魔法で倒した、と言っては普通に問題になりかねない。
何せブラッドウルフは一応B魔獣だ。
ここは虚実を混ぜて行こう。
「襲われはしませんでしたよ。しかし弱っているのを倒すことが偶然にもギリギリの戦闘の末勝てたので素材は持っていますが」
「ほお!あんたブラッドウルフの素材持ちか!瀕死とはいえB魔獣を倒すなんて実は手練れの冒険者だったり?」
「しませんよ。俺は一介の旅商人です」
「本当か〜?」
「本当です」
「っと、発行が終わったみてえだな。名残惜しいがここまでだ。ほい、これだ。あと俺はプロタイトっていう。あんたは?」
「あ、俺はあらか...ユズキです。ユズキと言います。またご縁があれば」
「じゃあな、ユズキ。あんたの活躍を願ってるぜ」
「ありがとうございました」
そう言って俺は街に入る。
まずは宿の確保と行きたいところだが、先に店屋へ行っておこう。
「へいお客さん、明るく元気で安いがモットーのテルミス商店だよ!今日は何をお探しで?」
「あ、すいません。今回は買いに、では無いのです。またいつか来ますので。」
「そいつぁ残念だなぁ」
そういうと俺は店を出て、次に北へ北へと向かった。
北のほうにはまた大きな街があった筈だ。
そして時間をかけて到着すると、またも商店を見ていった。
こちらはオーキス商店という名前だった。
そして、ここの1つの売値と買値を見て決めた。
結局その日は宿に泊まることにした。
体はシャワーのみだった為[ブラシ]の魔法で磨いておいた。
そして夜が明けると俺はまた元の街へ戻りに走っていた。
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それにしても複合魔法が普通じゃない、とユズキが悟るのはいつでしょうか...