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2話転生

次に俺が立っていたのは森の中だった。

背中には中くらいの大きさのカバンが背負ってあり、中を確認すると何もなかった。

すると、目の前にいきなりウィンドウのようなものが出てきて「マジックバッグ...亜空間にものをしまう事のできる魔法具。取り出したいものを念じると取り出せる」と表記されていた。

どうやら分からないことがあるとその都度このウィンドウが教えてくれるのだろう。

ミルファランス様マジGJ!

ちなみに俺がここまで色々な出来事の急展開についていけているのは、頭の中でまだうまく理解できていないから流れに身を任せているのが2割。

詐欺師たるものどんな状況でも自分の中で把握出来ていることを駆使して適応するべしという自分の詐欺師の方針から来ているものが8割だ。

さて、それよりも気になるのがさっきから感じているこの視線だ。

明らかに人間のそれではなく、獲物を見つめるような視線が四方八方から感じる。

するとまたウィンドウが開き、「気配察知...常時発動魔法。半径30m以内の生物的気配を感知できる」と表記されていた。

この感じる視線はこの魔法によって感じる事が出来ていた、というわけだ。

すると、その気配の一方向がゆっくりとこちらは近寄ってきた。

慌ててそちらを向くと、1匹の赤い狼?がいた。

ウィンドウが開き、「ブラッドウルフ...Bランク魔獣。7匹で一集団として生息する。固有魔法[テレパシー]」と表記された。

そもそも固有魔法って何だ?ていうかテレパシーも分かんないしそもそも魔獣にランクなんてあったのか。

するとウィンドウが開き「固有魔法...魔獣が使える唯一の魔法。基本的にはその魔法しか使えないが、その魔法のみなら熟練の魔法使いをも技量は上回る」「固有魔法[テレパシー]...同種族と意思のやりとりが脳内にて行える。この場合この7匹全てに1匹づつの情報が共有されている」「ランク...魔獣の危険度を表したもの。

E...基本的にペットとして扱われるような弱小魔獣。スライムなど。

D...一般人男性1人に相当する強さ。ゴブリンなど。

C...熟練兵士1人分に相当する強さ。オーガなど。

B...熟練兵士数十人分に相当する強さ。ブラッドウルフなど。

A...熟練兵士数百人相当の強さ。ネクロマンサーなど。

S...国1つに相当する強さ。フェンリルなど。

P...伝説級の強さを誇る。現時点でクリスタル•ドラゴンのみ」

と一気に表記された。

この世界では最上級はPらしいな。

いやー魔法を魔獣は1つしか使えないのか。

ヨカッタヨカッタ。

は?良くねーよ。

なんだよBの熟練兵士数十人分に相当する強さって!?

こちとら一人だぞおい!

話が通じて、すぐに物事を信じてしまう様な人間(カモ)ならまだしも、獣わ相手にするのは聞いてない!

そうこうしているうちに1匹のブラッドウルフが俺に対して襲いかかってくる。

そうだ!最強級の魔法を神が授けてくれたはず!

と俺は思い出し、行使を試みる。


「ガァァァァァァァッ!」

「あぁもうさっさと最強の魔法発動!」


結果は、一瞬で訪れた。


グチャッ


俺の右腕はブラッドウルフに噛みちぎられ、胴体との別れを告げていた。


「ッッッ!」


声にならない絶叫を上げながら右腕の血を垂れ流す。

ウィンドウが開くが視界が涙で滲んで良く見えない。

また1匹が飛び掛ってきた。

このままでは食われる。

死ぬ。

死ぬのを先程避けたばかりで、蘇ったばかりなのにそういう訳にはいかない。

せめて苦しんで死ぬのは避けなければ———

頭の回転をフルに回して、次の瞬間俺はそのに落ちていた棒切れを拾い、襲ってきたブラッドウルフの目に突き立てていた。

ブラッドウルフの叫び声とともにほかの個体が一気に飛び出してくる。

その間に視界が少しずつクリアになり、襲いかかる寸前ウィンドウが少しだけ見えた。

「"最強"魔法発動…ミルファランス様の加護による魔法[鉱化]。全身石化のイメージで発動」

それだけを頼りに、発動を試みる。

しかし途中で噛まれ、イメージを阻害される。

それでも、なんとかイメージを頑張ってそのブラッドウルフの鋭い牙がもう少しで心臓に突き刺さると言うところで、発動した。

体が灰色に染まっていく。

体から感覚は消え、先程までの意識も朦朧としてきた。

俺はその場で意識を失った。

———

意識を取り戻すと、俺まだそこにいた。

体は倒れていなかったようなので辺りを見渡すと、まだブラッドウルフ達はいた。

恐怖に顔を歪ませるのが大抵なのだろうが俺は詐欺師をやっていたせいだろうか。

普段から笑顔を欠かさないせいで、表情筋が固まってしまったのだろう。

俺は笑顔を一度も、それこそ神様と相対した時も欠かすことはなかった。

先程の腕を千切られた時も、だ。

ブラッドウルフは警戒した様子でこちらに近づいてくる。

こんな時に某麦わら帽子のように手を伸ばして首を指し殺せればいいのに、と俺は切実に願った。

と、思ったその時だった。

俺の腕が急激に伸び、その指先がブラッドウルフの喉元を綺麗に切り裂いた。

ギャンッ

と鳴き声を上げ倒れた仲間の仇と言わんばかりに襲いかかる残りの6匹。

しかしいずれも俺が想像した通りに体が動き、あっという間に5匹が絶命した。

1匹は伸びた腕に巻きつかれ圧死。

1匹は伸びた腕の膝と地面に顔をすり潰され絶命。

2匹は俺の薄く広がった灰色の地面状の足に乗っていた結果足元から大量にスパイクが出現し串刺し。

避けた1匹も突然足を床に固定され地面に潰すように引き込まれて絶命。

残ったのは目を潰した片目のブラッドウルフだった。

先程苦しめられた相手、と分かると俺はそいつを絶対に殺してやると言う決意を抱き、薄く広げた足を回収する。

そして、途端にブラッドウルフは逃げていった。

後ろを向き、そのまま自動車をも超える速度で逃げていった。

しかしこの残った左腕がそうさせない。

またも伸びてブラッドウルフの尻尾を捉える。

しかしブラッドウルフ、生きる為にと自分のの尻尾を噛みちぎり、まだなお逃げる。

次に左後ろ足が捕まるが、自らの毛皮を剥いでまた逃げ始めた。

もう一度左後ろ足を捕まえると今度は左後ろ足をちぎって逃げていった。

また逃げられたものの、片足が千切れたため速度は格段に落ちた為最後に顔を握り潰して終わった。

ブラッドウルフの屍体をマジックバッグの中にしまうと、俺は視界の端に追いやっていたウィンドウを見ることにした。

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