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26話 王城内部

“死んでいない兵士の死体”というのは、どういうことか。

それは、ついさっきまで俺自身が見てきた光景であった。

たしかに、心臓は動いている。

血流は循環しているし、臓器にも何の異常もない。

しかしその兵士達の瞳には光が全くと言っていいほど灯っていなかった。

見た瞬間に分かる、こいつらは既に”魂”が無い。

俺の”穢れ”が東門の犬人の魂を喰い散らかした時と同じ状態になっている。

この状況を見て、どうしてこうなったのかといえば、思いつくのは数パターンだ。


一つ、死神が食い尽くした。

恐らくこれが最も可能性的には大きいだろう。

死神は魂を喰い滅ぼす、いわば俺の”穢れ”に似た存在であるのだ。

城の中身全てを吸収していてもおかしくはない。

死神は俺の苦手とする”人外“だ。

これからも大きな脅威となるだろう。


二つ、犬人による儀式。

ミルファランス様の書類の中に、犠牲を払うことによる魔物、邪神の降臨に関するものもあった。

犬人が何かを召喚しようと味方の兵士の魂ごと生贄にしたとも考えられる。

その場合この後その降臨した敵とも戦わなければいけない訳だが......。


三つ、裏切り。

これは先程俺が考えていた死霊術師(ネクロマンサー)的存在による裏切りではないかという考えだ。

何かを企んでいた死霊術師が大量の魂魄を使って計画を実行しようというものかもしれない。

まあこれは些か考えすぎだとは思うが。


四つ、場外からの乱入。

それこそ先程言った邪神による魂の吸引だったり、俺のような”穢れ”を持っているものがもう一個体存在していても不思議ではない。

これは可能性的には低いが。


一番の死神が食い尽くしたという線以外ではこの後又敵との戦闘があるという事になるが、その予想は嬉しい方向に外れた。

この場合嬉しいのかどうか謎だが。

結果としていえば、王室にも宝物庫にも王様はいなかった。

というか王族が丸々消え、犬人の指揮官らしき存在と大量の犬人の抜け殻が残っているだけであった。


宝物庫に寄った際には今持っている犬人の剣ではなく何かいい武器はないかと探したところ、魔力を流し込むことにより効果を発揮するいわゆる”魔剣”的な存在を発見した。

どのような効果を発揮するのかは使って見ないと分からないが今は国が崩壊している最中。

検証の時間は無いと言ってもいい。

今後作り方などが分かりそうならこう言った役立ちそうな武器の製作も考えてみよう。


このまま王族もろとも国は滅びました—————と言うわけではなかった。

俺とミスラが何か手がかりはないかと王の寝室を調べていると、ベット下にミスラがとあるものを見つけた。


「おーいユズキ!ベッドの下に変な紙切れみたいなものがあったよ!」

「お、何か見つけたか。どれどれ......」


内容はこう言ったものだった。


/国が滅びる。

突如現れた犬のような人のような魔物の軍隊により国が攻め滅ぼされる。

王国騎士団にも行かせたが通信魔法が途絶えた。

彼らは恐らく皆死んだのだろう。

奴らは魔物ではあるが知能があるようだった。

それに加えて鋼のように硬い皮膚、巨人のように強い腕力。

人間の力では抗えないだろう。

王国の魔導師達も訳の分からない魔法をかけられ強制的に魔力切れへと追い込まれた。

最早我々に抵抗は不可能である。

国が滅ぼされている中我々王族は無様にも地下の隠し部屋へと逃げる/


そこに記されていたのは王様の行動と判断、考察と結果だった。

国が滅ぼされていくと言うのは最早どうしようもないだろう。

あの屍人の大群は城に来たら急に大人しくなって元の街へ帰って行ったから恐らくその先でもまた市民を襲う。

屍人は人が倒せないわけではないが、あそこまでの数になるとやはり一市民が倒せる量ではない。

国は確実に滅びるだろう。

それよりも気になるのが最後の一文。

地下にある隠し部屋......?

そんなものまで用意していたのか。


「ミスラ、どうやら地下に隠れ部屋があるみたいだ」

「ユズキはどうしたい?」

「俺は行ってみようと思う。この状況で王に対して出来ることがあるとは思えないが、少なくとも犬人の全滅だけは伝えておきたい」


ミスラとの会話を交わし、隠し部屋に行くことを決めた。

こうして俺たちはこんな状況での初の王との対面をすることとなった——————

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