17話 街を出ようpart2
目が覚めて辺りを見渡すと、そこには笑顔でこちらを見つめているミスラがいた。
俺の寝ている場所が少し柔らかい。
どうやら、俺はベッドに乗せられてしまったらしい。
これは、仲直りは済んだ、ということで良いのだろうか。
試しにミスラにちょっとずつ話しかけてみる。
「なぁ、ミスラ」
「なに?」
返事が返ってくる。
よし、これはいける奴だ! 大丈夫な奴だ!
一気にここから言葉を捲し立てようとするも、何せ人と喧嘩したことが今の今までなかったため、どう接して良いのかわからない。
「い、行きたいところとかあるか?」
「うん!依頼をうけにギルドに行こうよ!」
なるほど、ギルドか。
確かにギルドは登録はしたものの依頼は受けていなかったような気がする。
俺はベッドから起き上がり、思考する。
ギルドにいって、依頼を受けても良いが俺はとにかくこの[鉱化]について知りたい。
取り敢えず俺は、ギルドで依頼を受けてから、魔法の検証をしてみることにした。
「わかった。行こうか。今回も魔法の検証を行うけど良い?」
「うん!いいよ!あ、でも前みたいに寒い奴やったら次はボク凍るからね......」
少し青くなってミスラがいう。
よかった、軽口を言い合える程の仲には戻れていたようだ。
———
ギルドにて、俺は受ける依頼を探していた。
俺は、B魔獣を倒すことが出来ていたため、今度はA魔獣に挑んで見ようかとも思っている。
と、そこで一つの依頼が目に付いた。
どうやら、ミスラも同じ依頼に目をつけていたようである。
これは、A魔獣の山岩人形が、行商人を襲うため討伐してほしい、とのことだ。
山岩人形は、その名前の通り山にある岩に化けているゴーレム型の魔獣である。
魔法防御力、防御力は共に高いが攻撃力はB魔獣と同等くらいの魔獣だ。
しかし、それでもB魔獣程の攻撃力もあり、それでいてA魔獣の平均より高めの防御力を誇る、といえば討伐したい人がいないのも当然である。
しかし、まだ死亡事件までは発展していないようなのでここらで被害を食い止めておこう。
更に、魔法防御力が高く、防御力も高いといい、さらには攻撃力は低いというのであれば、魔法の試し打ちにはうってつけではなかろうか。
さて、山岩人形が出るのは街から少し離れた山だという。
その道中にはいつもの草原もあるため、そこで[鉱化]の魔法を検証すれば良いだろう。
これを受ける、と決めると、受付に連絡、受注を確認してもらう。
また「事故や事件に巻き込まれても当ギルドは感知しません」みたいなことは言われたが、最悪あのチート魔法でなんとかなるだろう。
いつものように門番をしているプロタイトさんに隣国への届け物、と言い草原へ向かう。
今回はプロタイトさんは特になにも言ってこなかったが、白目を向いて倒れかけていたこと、手の内が真っ黒になっている事から書類仕事をようやく終えて逃げてきたのだと察する。
草原へ着くと、俺とミスラは[◯ーグルマップ]を発動する。
前回のようなことがもしかしたら立て続けに起こる可能性が無いとは言えないからだ。
まず、攻撃魔法をいくつか検証。
一つ目は、土魔法の[土針山]に、[魔法強化][処理能力向上][反復使用][刺突]の5個の魔法を組み合わせて作った[土槍]だ。
[反復使用]というのは、一度使った魔法を魔力の量次第で一斉に繰り返し使う事のできるようにする魔法だ。
[刺突]は、付与魔法の一種で一度だけ、魔力に応じてどんなものでも貫けるという便利魔法だ。
槍使いの人達はよく使っている、と宿のおばちゃんに聞いた。
ちなみに強面の冒険者さんは何使いなのか、と聞いてみると、そこに強面の冒険者さんがやってきて、
「俺は街の外に出て薬草を採取、ペット達に餌としてやっている。本業はペットショップだ。」
と答えていた。
じゃあその背中に背負っている大鎌は何なのか、とも思ったがどうせこのパターン、薬草を狩るためとか言うに決まってるので聞くのはやめた。
さて、この[土槍]に戻すが、これは土から槍を大量生成し、標的に飛び込む、というものだ。
地面から分離するかどうかは選択出来るため、土から離さず腕や足を貫いて捕縛も可能、という便利仕様である。
更に[魔法強化]がかかっているため、並の魔物では数一つ槍にはつけることが出来ない筈だ。
これは検証することが出来ないため、発動を確認して山岩人形までのお楽しみとする。
それでは、もう一つの魔法、風魔法の[そよ風]に[魔法強化][広範囲化][固体化][縮小化]の4つを混ぜ合わせた魔法、[締め付け拘束]である。
[縮小化]とは、任意で一定の物を縮める、というものである。
しかし魂のあるものには抵抗されれば抵抗されるほどに解けるまでの時間が短くなっていく。
この[締め付け拘束]の効果は、少しそよ風を吹かせ、相手の周りに風の渦を作りその渦を[固体化]、固まった風の渦を[縮小化]により縮めて絞め殺す、というものである。
風の渦が固まれば相手は身動きが取れず、あとは締め付けられるのを待つだけになるか必死に抵抗するの二択に行動を迫られる。
しかし、急いで締め付けて仕舞えばそのまま絞め殺すことができるので、緊急時はそれでもいい。
さて、いよいよ本命、[鉱化]の魔法。
これはイメージでしか操れないため、イメージでより[鉱化]の奥深くへ、奥深くへ魔力を送り込んで行く。
すると、とある一つの大魔法陣がイメージに浮かんだ。
それに魔力を注げば何かが変わるかもしれない、と思い魔力を注ぐと、ミルファランス様の「ダメ!」という言葉が。
しかしもう遅い。
送ってしまったものは取り返しがつかず、発動を認めてしまう。
するとどういうことか、イメージから目が覚め、俺の目の前にはまるでパソコンのエラーでも起きたかのような大量のウィンドウに、一斉にこう表示されていた。
「「「「「[鉱化][封印]発動、残り[鉱化]使用可能回数”3”回」」」」」
と。




