9話 はじめてのまほう
俺たちは街に帰ると、まず一番に商店に行った。
ちなみにプロタイトさんに
「隣の女はどこで拾ってきたんだ?」
と、スライムに戻し損ねたミスラをニヤニヤされながら指摘されたが、慌ててスライム姿に戻すと
「なんだ、つまんねーなぁ」
と口を尖らせて言われてしまった。
何がつまらないと言うんだ、プロタイトさん。
さて、今日店に来たのはあの魔法陣の描いていない魔道書などではなく、魔法陣もしっかり書かれている魔道書である。
いや、別にあの魔道書が悪いわけではない。
本来常識なので、省いてあるだけなのだ。
魂魄魔法などに関して書いてないのは不思議に思ったが、「魔法検定3級用」と書いてあることから、英検や漢検と照らし合わせると中級者用、と言うことでいいのだろう。
そして魂魄魔法はおそらく上級者用と言うだけの事だったのだろう。
さて、そんな俺が今回買う商品はこちら!
「4歳から始める魔法!これで君も魔法使いだ!」
と言うタイトルの本である。
ちゃんと魔法陣のイラストも載っていると店長が言っていたので問題ないと思う。
ちなみにこれはなんと2000Fだった。
高すぎるんじゃ...とも思ったがここから常識を学ぶのだからそのくらい必要なのか...?とも思っている。
そんなわけで少し威力のある魔法を使ってもいいように街から少し離れた草原まで出てくる。
さて、早速買った本を使ってみよう。
まずパラ、パラとめくってみて、最初の説明文を読んでいく。
ちなみに今ミスラは宿で寝ている。
なんでもベッドが気に入ったのだとかなんとか。
最初の説明文にはこの魔法陣で事故が起きても自己責任、だったり、使えなかった場合はこれこれに原因がありますとか言う内容だった。
ただ一つ笑ってしまったのは、
「お子様が飲み込まないようにお気をつけ下さい」と言うものだ。
これは実は一つのポケット文庫サイズはあるのだが、これを飲み込める4歳など存在するのだろうか?
さて、まずは火の魔法から書いてあるようだ。
ちなみにこの世界の魔法陣は円形で、円の内側に沿うように文字が書かれており、その中にさらに小さい円が文字に沿うように書かれており、そこに線で何かしらの文様が書かれていると言うものだそうだ。
ちなみに「だそうだ」というのは、ミルファランス様の書類に書いてあったものを読んだだけだからである。
と、魔法陣を見てみると俺は頭の上に大きな?が浮かんだ。
なぜなら円の内側に沿う文字が、
「xとyの形状と魔力を感知した場合、発火」
と書いてあり、文様がの線が二色に光ってxとy、と線が二種類に分けられていたからである。
xの部分に触れるとウィンドウが開き、
「発火魔法魔法陣のx線...発火魔法魔法陣に使われるx線」
と表示された。
そもそもx線ってなんだよ。
俺の世界のX線のことか?
と、ウィンドウが開き、「x線、y線、()線...この世界の魔法陣に使われる魔法陣の線の形状の呼び方である。基本的にはxy線からなるが、場合により()の中にaから順番に増えていく複数線型な上級魔法もある。それぞれの線の形状が表す意味は以下の通り」
と、様々な線が描かれ、ウィンドウがスライド式になっていた。
いつからこんなにハイテクウィンドウになったんだよ...。
しかし、魔法文字が書かれている筈なのに普通にこの条件成立時、発動みたいな夢のゆの字もない文字が書かれているのか。
またウィンドウが開くが、正直分からないことがあればヘイウィンドウ、と言えば開きそうである。「言語理解...ミルファランス様から授かったパッシブスキル、もとい常時発動魔法。気配察知と同じようなもの。各言語を意識して書くことで自動翻訳も可能。理解だけじゃなくて翻訳機能もつけてあげましたよ!」
おい、最後神さま出てるぞこの説明文。
まぁ文字が書けている、というのはそういう能力があると言うことは知っていたのだがまぁ古代文字風味な魔法文字まで訳せてしまうとは...。
夢とメルヘンがガラガラと音を立てて崩れていくが、これはこれで面白いかもしれない。
魔法陣というのはどうやらこの本の最初の説明文を読んでいったところ、消費物らしい。
この世界は普通に鉛筆のような鉄製の鉛筆?があり、紙も普及しているため、書き放題である。
また、魔法で木も作れる他、様々な材料は魔法で作れるので無限資源と化している。
しかし、いちいち書いて使うというのは面倒だし、魔物との戦闘時にそれだと役に立たないだろう。
だから魔術師の人は杖に高速で魔法陣を描ける魔術を貼っているらしいし、剣士の人は手足に強化の魔法陣を貼っているそうだ。
つまり単発的効果と付与的効果の二パターンがあるという事だ。
これもミルファランス様の書類のおかげである。
しかし、何処を探しても[鉱化]の魔法が作れそうな組み合わせはなかった。
しかし面白そうなものは作れそうだった。
とりあえず、思いついた面白そうなものから上げていく。
まず光の魔法のイメージ通りに飛んでいく、という点を利用する。
ちなみに少しできるか確認のため、光の魔法陣の内側の空き部分の感知用空間に小さい火の魔法陣描いてみると、無事発動、思い通りに’光の魔法’を使って”火の魔法陣”を描くことができた。
そして火の魔法陣を起動させる。
無事発動、ライターほどの火が灯った。
火の魔法陣に威力調整を入れ、もう一度。
今度は大きな炎が生まれた。
これくらいでブラッドウルフは焼けるだろう。
さて、これからだ。
魔法陣で魔法陣が作れるなら面白い。
それにこれは多分魔法文字が読めて、線の意味を理解できる人間限定の遊びだろう。
そう思うと、俺は再び魔法陣を構成し始めた。




