後始末と今後についてな訳で その2
そんな感じで後始末から2日経った。その間の仕事は主に被害状況の確認である。
ベースへの避難が出来なかった【コロニー】へはベースの隊員と治療班が確認へ向かう。
そこから上がってくる情報を【メインベース】で統合し、纏めるのだ。
ベース隊員の最終的な犠牲者は32人になった。
「すまんな、もう少し上手く出来れば・・・」
「いや、ヴォルフ殿も、ウィーゴも良くやってくれたよ。逆に被害がコレだけで済んだんだ・・・」
ヴォルフの謝罪をロギスが止めた。
「だがこの人数での遣り繰りは無理が有る。やはり増員が欲しい所だが・・・」
「直には難しいだろうね。事が『レギオン・シード』なんて言う不確定案件だから尚更さ」
「『上』にはどう報告をする心算なんだ?」
「・・・と言うかもうバレてる・・・かな?」
「今更だろう?あの時点ではただ口にしなかっただけだ」
「まぁそうだろうね・・・巻き込んでしまってすまない・・・」
「すまないと思うのならこれからベースを優遇して欲しいものだ」
ミルドと話していたレムルがクイッと眼鏡の位置を直した。
『クラウスだ。受け持った【コロニー】の確認が完了したぞ、ほぼ駄目だな』
「そうか。帰還してくれ」
『了解だ』
「やはり・・・避難出来なかった住人は絶望的か」
移動式のボードに『生存者0』の文字が書き加えられる。これで何件目だろうか?
ソレらを眺めつ背もたれに寄り掛かると、ロギスの口から溜め息が漏れた。
「被害は甚大だな・・・果たして立て直せるのかどうか・・・」
「時間は掛かるだろう・・・だが立て直すさ。犠牲になった者の為にもな」
カチャリ・・
俺は何も言わずロギスの脇にある机の上へティーカップを置いた。
「イシスさん・・・・・・何で又その格好なんですか?」
「え?今良い雰囲気だったのに・・・そこに触れるんですか!?」
「イヤイヤイヤ!昨日の今日でメイド服はおかしい!」
「給仕の仕事ですもの!相応しい格好をしなければいけないよの!?」
「・・・止めとけロギス、こうなったお嬢は止まらん・・・」
深い溜め息を付き、ガクリと肩を落としたヴォルフが淡々と言う。何故だ!?
その後全隊の帰還が完了し、各隊長を集めた本格的な話し合いが始まった。
「先ずは【メインベース】の暫定的な司令としてロギスさんを推奨したいんだけど?」
ミルドの言葉を否定する者は居ないだろう。
「・・・では、僭越ながら司令として就任させて貰う。宜しく頼む」
立ち上がりそう言って礼をするロギス。
「とは言え、基本は今までと同じ扱いになるけれど・・・構わないかな?」
「ああ。むしろ難しい事は勘弁してくれ」
ミルドの問いに苦笑いを浮かべつつ返す。
「では次だね。実はコレが一番の案件なんだが・・・」
「私達の事ね?」
「ええ、その通りですよイシスさん」
そう言って俺方を見るミルド。実に困った顔をしている。
「扱いをどうするか・・・だな?」
レムルが顎に手を当てて思考する。と、その脇で、
「・・・本来なら突っ撥ねるべきだろ!?・・・だがまぁ、『今回』だけは勘弁してやる」
「・・・・・・・・・ククク、厳つい男のツンデレは似合わんぞ?・・・」
「るせえ!!」
「ブフゥッククッ・・・「ドガッ!!」イテェ!何すんだよクラウス!」
クラウス、マルコそして拳を喰らったルークが話を弾ませた。世紀末的厳ついツンデレ・・・何処のイチゴ味だろうか?。
「それに関しては私に案が有るのだけれど、良いかしら?」
「どうぞイシスさん」
俺は椅子に座ったまま、ロギスの方を望む。
「では、先ずは前提としてロギスさんと各隊長さんにお聞きするわ」
「何か?」
「皆さん、この【ブラインドエリア】に骨を埋める覚悟が有りますか?」
「「「「「!!!」」」」」
その言葉に驚愕の表情を浮かべる隊長一同。そして暫くの後、
「愚問だな。俺達が生き残った・・・生き残って『しまった』事が解れば、その後の展開なぞ容易に想像出来る」
先陣を切ったのはやはりレムルだった。
「・・・そうか!ここの秘密を知った可能性が有る奴等をそのままにする筈が無ぇな」
「・・・・・・・・・暗殺辺りが妥当・・・だろう・・・」
「何だよそりゃ!?折角生き残ったってのに!」
2人の話を聞いたルークが憤る。
「そう言う事だ。つまりは選択肢なぞ有って無い様な物・・・と言う事だ」
「ヘッ!上等じゃね~か!」
「・・・・・・・・異論は無い・・・」
「ハァ・・・生きてるだけで儲けモンってか」
「と言う事だロギス司令。俺達に異論は無い」
「そうか、俺も同意見だ。住民達も元は行き場の無い者ばかりだろうから、問題は無いと思う」
レムルの答えを受け、ロギスもそれに乗る。これで第一関門は抜けた。
「解りました。では話を進めるわね。ミルドさん、貴方の『所』で【ブラインドエリア】を支配してしまわない?」
「「「「「な!?」」」」」
再び驚愕する隊長達。そしてコレにはヴォルフ達もミルドも驚いた様だった。
「いや、確かにそれならば・・・イシスさん達を抱える事も容易だが・・・」
ミルドが困った様に呟く。
「周りが了承しない。と?」
「当り前だと思うんだけれど?」
「そうね。普通だったら難しいわね。けれど今回は普通じゃないわ、なにせ『魔族が絡んでいるかも知れない案件』ですもの」
その言葉にポカンとする一同。と、
「・・・イヤイヤ!『かも知れない』じゃねーし!ハハッ!ガッツリ絡んでんじゃんか!?」
ルークが苦笑いをしつつ発した。
「そこはわざと濁しているのだルーク。成る程・・・段々読めて来たな」
「こちらもだ。中々エグイ事を考えるモノだな?ウィーゴの司令官殿は」
流石切れ者コンビ、と言った所かな?
「先ず、今回の集団暴走の事は普通に報告をして下さい。但し、その背後で『魔族が動いていた可能性が高い』と言う事を付け加えてですが」
それを聞いたミルドが何かに気付き、その表情を歪ませる。
「成る程。そう言う事になると・・・兵を動かさない訳には行かなくなるねぇ」
「そう言う事」
「どう言うこった!?」
堪らずトムが割って入って来た。
「陸の孤島とは言え、人族領の中に『魔族』が居る可能性が在るのよ?放置する訳には行かないわよね?」
「調査するにも【ブラインドエリア】は相当広い。人員が相応に要るだろうな。ここで『鍵』と成って来るのが、【6方星円卓】と言うモノが『一枚岩では無い』と言う事だ」
「何でんな事解んだよ?」
俺の言葉に続いたウィーゴにトムが食って掛かる。
「アスティーと【デュアレスクロウ家】のイザコザだ。少なくとも今回の件、アスティーの【ホワイトオウル家】は知らないのだろうな。でなければこんな危険な場所へ肉親を送る事などしないだろう?」
「・・・まぁ普通に考えりゃそうだろうな。それこそ相当仲が悪くなけりゃ送る気にならねーわな」
「そうだな。・・話を戻すぞ?曲りなりにも今は戦争中だ。唯でさえ兵士に余裕が無いだろう所に、『陸の孤島へ兵士を送れ』などと来られたら堪った物ではない」
「そうなんか?」
「先程も言っただろ?【6方星円卓】は一枚岩では無いと。連合と言う形は取っているが、連合内での不可侵を完全に取り決めている訳では無い・・・『隙を見せりゃ喰われる』訳だ」
「あ~・・・成る程な。自領の防衛力を削ってまで回せる程お互いを信用しちゃいねぇってか。まぁ当然だわな」
トムが納得し、相槌を入れた。
「そこで出て来るのが・・・まぁ今更隠すでも無いか。自分が所属している【グラルラーゴ家】と言う訳だね」
「ええ、豊富な兵力を使って【6方星円卓】の変わりに、全ての調査を『【グラルラーゴ家】だけで』請け負うの。実効支配の完成ね」
「けど、どれで納得するッスかね?」
「する可能性は極めて高いわ。【6方星円卓】にしてみれば、【グラルラーゴ領】の防衛力が何もしなくても減る事になる訳ですもの」
「・・・他領と戦争してるんスよね?なのに人族領内部がそれで良いんスかねぇ?」
呆れたと言わんばかりの表情をするニコ。俺もそう思うね。
「それに、今回の案件(レギオン・シード等)に関わって居た者達にとっても悪い話では無い筈よ?何せ罪を請け負わせる相手が自ら飛び込んで来るのだから」
「だとすると【グラルラーゴ家】は大丈夫なのか!?」
「そこの所はミルドさん達『暗部』のお手並み拝見って所かしら?ね?」
「ハハハ・・・手厳しいね」
「とは言え罪の追求はもっと後になると思うわ。流石に戦争に使える駒(グラルラーゴ家)を行き成り壊す事はしないでしょうし」
クラウスの心配は尤もなのだが、そこら辺は『蛇の道は蛇』、ミルド達が頑張る所なのだ。
「この案の肝は、ミルドが・・ひいては【グラルラーゴ家】が『魔族の正体を知っている』所に在る訳だな?」
「ええ。『知っている』のだから、後は形だけ大量に兵を動員した呈にして、実際の動員は最小限に止める事が出来るわ」
「兵力のブラインドとしても使える訳か・・・えげつないな」
ロギスがヤレヤレと肩を竦めた。
「だがソレもコレも、全ては我々が『相手よりも早く』動けなければ意味が無いぞ?そこの所はどうなんだ?ミルド」
「・・・因みになんスけど、ミルドさん達は緊急時どうやって【グラルラーゴ家】へ繋ぎを入れる心算だったんスか?」
レムルの問いにニコが乗っかる。確かに気に成る所だ。
「・・・山岳を越える心算だったよ」
「・・・・・ええぇ?アレを越える心算だったんスかぁ!?見た限り、私の種族(【マウンテン・フォックス】)でも装備ガッチガチに固めて、やっと登頂成功率3割位だと思うッスよ?実質「絶対無理!」ッス!!」
「いや、まぁ・・・方法がそれしか無いし・・・ね・・・ハハハ」
改めてニコに「無謀だ!」と諭され、乾いた笑いしか出来ないミルドで有った。
「それでイシスさん、繋ぎの手段は・・・いや、良い。何と無く愚問をしている気がして来た」
「レムルも段々とお嬢に毒されて来た様だな?良い傾向だ。クックック」
「ウィ~ゴ~!?それは詰り私が『異様』だと言いたいのかしらぁ!?」
「「「「「実際異様だ!(ッス!)」」」」」
何その息の有った総突込み・・・解せぬ。
名詞の間違いを修正




