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対策会議開催!な訳で その2

敵対する意思は無い・・・とは言え、やはりいきなり受け入れられる訳も無し。

まぁ当り前か。行き成り全肯定する様なら逆に正気を疑うわな。

ミメイが未だにお花畑に気をやっているルークに蹴りを入れ、その意識を呼び戻すと俺達を会議室へ案内させた。

監視を兼ねての事だろうが、ルーク並びにルークの部下達の顔色が優れないのは・・・気のせいじゃ無いな。申し訳無いがご愁傷様と言う事で。

通された会議室は結構な広さだった。100人位は収容出来るだろう。

「こ・・・こちらへ・・ど、どうじょ」

ルークと呼ばれた隊長をやるにしては少々心許ない体格の優男が、引きった笑みを浮かべ噛みながら椅子を引いた。

「有難う。気が利くのね。・・・後はポーカーフェイスと噛まない練習ね。それさえ出来る様になれれば完璧よ」

そう言いながらルークにウィンクを一つ。

「「「は・・・ははは・・は」」」「ブフゥ!・・・クククク・・・」

それを聞いたルークとその部下達は濁った目をしながら乾いた笑みを浮かべ、その様子を遠巻きに見て居たミメイが吹き出した。

「それで、責任者に会いたいって事で良かったのかしら?」

「ええ。出来れば早急にお会いしたいのですが・・・正直期待はしてません」

「期待しない?流石に魔族がこう大挙して押しかけて来たら普通は「何事か!?」って様子位は・・・」

怪訝けげんそうな顔をしながらミメイが話を続けようとした時、責任者を呼びに行っていたルークの部下が狼狽しながら会議室へ駆け込んできた。

「た、大変です!!司令官が・・・ガムーラ司令が居ません!!」

「「「な、なんだって!?(ですって!?)」」」

一様に驚愕するベースの関係者達。

(だろうな。まぁ予想通りっちゃぁ予想通りな展開か)

そんな彼等とは裏腹に、有りがちな展開だとでも言わんばかりの軽い溜め息を付く俺。

「そんな・・・だって、今日の朝には全隊へ捜索の指示を出して居たハズなのに・・・」

「逆に考えれば人払いをした。とも言えるわね」

ミメイの言葉に俺が返すと視線が一斉に俺へ向かった。

「え・・・?な・・・?どう言う事!?」

現状を知らなければ混乱するのも無理は無い。

「それは追々。取り合えず代理の方を立てた方が宜しいのでは?」

「そ・・・そうね、確かに!」

そう言ってミメイはルークの方を望み・・・

「無いわ」

「おい!せめて確認位しろ!」

切って捨てた。

「はぁ・・・仕方が無い。僭越せんえつだけど、私が緊急代理って事で。皆それで良いかしら?」

「賛成」「同意する」「まぁルーク意外だったら・・」「だな。ルーク意外なら」「お前等・・・」

ルークの抗議をスルーしつつ、ミメイの提案を受理するベース一同。ルーク・・・残念な優男である。

「じゃぁ、早速全隊へ緊急通信を。1時間以内にベースへ帰還出来る部隊に帰還命令をお願い」

「了解。では・・・」

ルーク隊の1人が移動しようとすると、それを阻止するように大勢がわらわらと出入り口へ向かいその場で揉め始めた。

「おい!俺が行くって!」「何でだよ!俺が行く!」「いやいやここは俺が」「何言ってんだ俺が行く!」

どうやら一刻も早くこの針のむしろから逃れたい様だ。・・・まぁ俺の後ろに魔族の隊員が無言で大量に立ってるから判らなくもない。

「馬鹿野朗!・・・ここは隊長である俺が行く!!」

・・・シチュエーションさえ合えば中々熱いセリフなんだろうが・・・台無しだろソレ。

「隊長が一番に逃げるんじゃない!この馬鹿!!」

ぱーーーーん!

「グフゥッ!」

ドッシャッ!!

ミメイが放った強烈なジャンピング平手の炸裂音と共にルークが軽くフッ飛び、床に倒れる。

「な・・・」「オイオイ・・」「スゲェな」「あの体で・・・」

これには魔族こちら側からも声が漏れた。あの体格であの威力・・・中々の使い手かもしれないな。

そんなこんなでミメイの平手により、場に平穏がもたらされたのであった・・・ルークと言う多少の犠牲は出たが。

その後、ミメイが適当に決めたルーク隊の1人がスキップをしながら会議室を出て行った。・・・選ばれなかった者達が絶望の表情をしながら崩れ落ちたのは言うまでも無いだろう。

さて、そうなると時間まで多少手持ち無沙汰になる訳だ。

お互いににらめっこをし続けるのも(向こう側のSAN値的に)キツイだろう。

と、言う訳でティータイムと洒落込もう・・・となった次第である。




「・・・で、この状況なんですが・・」

アスティーが周囲を見回す。そこには腹をデカデカと膨らまし、机に突っ伏して動かないルーク並びルーク隊の面々が居た。

「・・・魔族かれ等との同席に耐え切れ無かったのよ・・・イシスさんの出した焼き菓子とお茶を、遠い目をしながら無心で口に運ぶ姿はいっそ清々しかったわ・・・」

ミメイがそう言いながら呆れ果てた顔をしつつ、胃腸薬を周りに飲ませている。

「はぁ・・・って、イシスさん!何でここに来てるんですか!?」

「それは皆が集まってからにしましょ。御2方もお茶とお菓子、いかが?」

「「・・・・いただこう(きます」」

あくまでペースを崩さない俺に、2人は軽く溜め息を付いて席に付いた。






それから20分後、会議室には戻って来た隊長と関係者達が並ぶ。

集まった隊長はロギス、ルークを含め5人。隊員や関係者は優に100人を越えるので、別室でモニター(魔族側が用意した)から見る形を取った。

「・・・で?どう言う事だロギス!?」

行き成り突っ掛かるのは【警備第11隊】隊長・クラウス。ロギスに習うかの如く、筋肉盛り盛りの角刈り短髪肩パット。何処の世紀末だろうか。

「どうもこうも無い。俺とアスティーはこの方々に助けられた。彼等は信用するに値する」

「お前馬鹿か!?相手は魔族だぞ!?信用!?んなモン有るか!?クソ喰らえだ!!」

まるで今にも飛び掛って来そうな勢いだ。魔族絡みで何か有ったのだろうか?。

「クラウス、落ち着け。少なくとも今すぐどうこうと言う訳でも有るまい」

落ち着いてたしなめるのは【警備第2隊】隊長・レムル。一見痩せている様に見えるが、身のこなしを見るに相当鍛えている事が判る。

眼鏡を掛けたルークに続く優男その2。ただ、こちらは優秀そうだ。

「・・・何か、どっかでディスられてる気がする」

「黙ってろルーク」

パンパンになった腹をピクリと動かし、ルークがそんな事をポツリと言った。なる程、良い感をしている様だ。

「それで?話と言うのは?ミメイから大体は聞いた。ウチの兵士の大量失踪に関係が有ると言う事らしいが?」

「ええ、ソレを説明する前に、先ずはこちらの持っている情報を提示するわ。ガルム」

「は、では僭越せんえつながら私が経緯を説明させていただこう」

・・・・・・・


・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・

「と、言った次第になる訳です」

簡潔ながら要点をしっかり捉えた説明が終わる。事情を知らないロギス意外の人々は一様に驚愕きょうがくの表情をしていた。

「・・・前から違和感は感じていたが・・・色々納得は行くな」

「ヘッ!!んな作り話真に受けんじゃねーーーよ!!!」

「『レギオン・シード』・・・そんなものが蔓延まんえんしてたなんて・・・」

「・・・腹イテェ」

「・・・・・集団暴走スタンピードとは・・・」

ベースの関係者が三者三様な反応をしていると、不意に会議室のドアが開いた。

全員の視線が注目する中、入って来たのはヴォルフと・・・黒尽くめの男、ミルドである。

「ミルド!?」

その顔を見たロギスが思わず立ち上がった。

「すまんなお嬢。遅くなった」

「そんな事は無いわ。ご苦労様」

ヴォルフが俺の脇へ移動するのと同時に、ミルドがベース関係者の前面に立った。

「ミルド!何処へ行っていたんだ!俺達はお前の事を・・・」

「ロギス隊長、すまない。俺には別の仕事が有ったんだ」

「別の・・・仕事?」

「・・・俺の仕事は【ブラインドエリア】(ココ)に潜入し、全てを上司へ報告する事だった」

「上司とは?」

レムルの問い掛けに暫し無言になるミルド。その後レムルへ向き直すと、

「・・・それを聞く心算つもりなら「色々」覚悟が必要になるよ?」

そう言ってミルドがニコリと微笑んだ。

「何だそりゃ!?ふざけてんのか!!?」

「クラウス止めておけ!・・・これは俺達の手に余る」

何かを感じ取ったレムルがクラウスを制止させる。

「賢明な判断だよ・・・改めてすまないロギス隊長、詳しくは・・・」

「良いさ。取り合えずミルドが無事ならな」

そして安堵の表情を浮かべゆっくりと椅子に座り直した。

「そっちのやり取りはまぁ良いさ。でだ、ミルドさんよぉ?おめぇも魔族の肩ぁ持つのかよ!?」

「・・・信用は出来ると言える」

「・・・オイ!マルコ!てめぇ黙ってねーで何か言えや!」

「・・・・・・共闘はすべきだ。個人の感情は排除してな」

クラウスに振られたのは【警備第28隊】隊長・マルコ。目を髪で隠し、表情を悟らせない様にしている寡黙な男と言った所か。

「ハッ!どいつもコイツも!」

ゴン!

クラウスが吐き捨てつつ足を机の上へ叩きつける様に乗せ、組む。

「別に信用して貰わなくても結構よ?私達だって奉仕でする訳じゃ無いわ」

「・・・どう言う事だ?」

「打算が有るもの。あわよくば【ブラインドエリア】に拠点を頂こうと思っているわ」

「んな事出来んのかよ?」

「フフフ、どうかしら?」

「ッチ!雌狐が・・・・・わ~ったやるよ!だが、てめぇらの為じゃねーからな!肝に銘じとけ!」

俺との話の後、周囲の視線を一身に受けたクラウスが折れた。

「では、満場一致と言う事で進めさせて貰うわ。ガルム」

「ハッ。では皆様、こちらをご覧下さい」

俺の声に頷き壁に向かい画像を投影させる。そこには集団暴走スタンピードの現在位置が映し出されていた。

現在集団暴走スタンピードはその数を増やしつつ一直線に移動をしております」

「数は?」

レムルが問う。

「他の生き物や【コロニー】をも飲み込み現在進行形で増えております。監視役によれば恐らく・・・4000以上には膨れ上がるかと」

「・・・想像以上に厄介だな。『レギオン・シード』と言う物は」

ガルムの返しに苦虫を噛む表情をするレムル。

「今からでは進行方向に在るコロニーの避難は間に合わんな」

「あぁ。そっち方面に行った隊も・・・無理だろーな」

「・・・・・・俺達の他に連絡の付いた隊は?」

「無いわ・・・きっとガムーラ司令が集団暴走スタンピードへ意図的にぶつけたんだと思う」

「クッソが!!!あの腐れ司令!!!」

「・・・胃薬くれ」

ベース関係者同士の話し合い(1人除く)が続く。ココは俺達の出る幕では無いだろう。




「出来る限り無事な【コロニー】の住人をメインベースへ集める・・か」

「ああ。分散させるよりは守り易いだろ・・・例えそれが相手の思い通りだとしても、だ」

暫くしてレムルとミルドが作戦の最終調整に入った。

「思い通りってのはどう言う事なんだ?」

「相手側は俺達の殲滅せんめつが目的だ。広域に展開されるよりまとまって貰った方がやり易いだろ?」

「・・そう言う事かよ。畜生!逃げ場無しか・・・」

ルークが自分で聞いた質問の答えをレムルから聞き凹む。

「いい加減諦めとけ。もうやるしかない・・・例え無駄だとしても・・・だ」

それぞれの顔には悲壮感が漂う。それはミルドも例外ではない。何せ相手は自分達の数十倍もの数で攻めて来るのだ。

絶望しても可笑しくは無い。

・・・・ただし魔族側を除いて、だ。

「ミルドさん?」

「何かな?イシス殿」

「そこまでかしこまらなくても良いわ」

「あぁ、すまない。癖でね。で、どうかしましたか?」

「確認なのだけれど、【ブラインドエリア】の環境は・・・どの程度までなら破壊しても良いのかしら?」

「・・・え?」

俺の問いかけに困惑するミルド。だが直に気を取り直し少し考える。

「・・・出来るだけで構わないよ。今は命が優先だからね」

「言質は・・・取ったわよ?」

そう言ってニコリと微笑む俺。

「でもそんな事を聞いてどうする心算なんですか?イシスさん」

「勿論敵を殲滅するわ」

「「「「え?」」」」」

ミメイに返した俺のセリフでベース一同が固まった。まぁそうだろうな。ついさっきまでは全滅が確定してた訳だから。

「取り合えず囮に数人・・・出来れば破壊工作が出来る者が良いわ」

「だったらそっちでやりゃ良いじゃねーか」

「私達の部隊はベースの防衛に回す。其方の方が良いでしょ?」

「そりゃ・・・」

流石のクラウスも言葉に詰まる。事実、魔族の戦闘力は馬鹿にならないからな。

「早い段階で仕掛け、出来るだけ足止めしつつベースから遠ざけた場所へ誘導する。流石に全て・・・とは行かないかもしれないけれどね」

「・・・あの?イシスさん?つかぬ事をお聞きしますが」

「ん?ミメイさん、どうかしました?そんなに改まって」

「・・・もし、もしイシスさんの作戦が成功したら・・・どの程度の成果が上がるんですか?」

「・・・そうね・・・悪くて8割、良ければ9割は殲滅出来るんじゃないかしら?」

「「「「「・・・・・」」」」」

「クックック・・・そりゃそうだ。全く、お嬢の非常識には頭が下がるよ」

再び固まるベース一同を見たヴォルフが苦笑いを浮かべ言った。

集団暴走スタンピードがベースへ到達する残り時間は約33時間。さて、何とかしてみせましょうかね。

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