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対策会議開催!な訳で その1

「「・・・どうしてこうなった!?」」

思わず言葉に出してしまうアスティーとロギス。無理も無い。

(え~っと・・・一旦落ち着こう私。此処はメインベース。そして宿舎の中の会議室に居る・・・ハズだよね・・・)

こめかみを押さえつつ、目の疲れによる幻視を疑う様に目を伏せる。数秒後目を開け目の前の光景をもう一度凝視した。

・・・・居る。普通に。至極普通に椅子に座り、普通に紅茶をたしなむ見知った存在が。確かに。

「・・・何で?」

その問いかけに、その人物は「にこり」と微笑み返すのであった。





時間を遡る事約1時間、その異変は起きた。



証言1・当日ベースを警備していた兵士

「・・・まぁなんと言うか・・・自然な不自然・・・と言うか・・・何言ってんのか判らねぇだろ?俺もだよ」



その日、俺は早番だった。明け方から昼過ぎまでの警備をする番だ。

ベース周りは一応安全だし暇な仕事・・・と言ったら罰が当たるな。

ソレが来たのは・・・昼飯の1時間位前だったよ。

ぼーっと森を見ながら警備をしてると、何時もの道から人が歩いて来ている事に気が付いたんだわ。

ベースから森へ行く、森からベースへ帰る道。

普段なら魔物でもなけりゃ気にも留めない・・・んだが、これが、まぁ、異様だった。

此処に来て・・・いや、俺が今まで生きて来た人生でも見たことが無い、この場所にそぐわない小奇麗なドレスを纏った女がごく普通に歩いて来た。

その人物が近付くにつれ、俺ぁ息を呑んだね。何てったって女っ気がほぼ無い場所だ。アスティー嬢は・・・まぁ色気ってのとは違うって事にしとけ。

ちと脇に逸れたな。その人物は・・・強烈だった。清楚でながら妖艶な美人・・・場違いな筈のドレスが逆に映えて正直見惚れるしかなかったわ。見惚れるなんざ初めての体験だったよ。

「御機嫌よう」

声を掛けられた。その声も滅茶苦茶良い声でなぁ・・・『女神って奴が居るならコレだろ!』って言えたね。

「あ・・・コンニチハ」

我ながら情けない返しだった。女を知らん訳でもねぇのにな、笑っちまうわ。

「此方の責任者にお会いしたいのですけれど?」

「え・・・あ、ちょっと待てくれ・・・ください。アンタ、いや貴方は一体?」

しどろもどろに成りつつ忘れそうになって居た自分の仕事をこなす。

・・・此処まででも異様だったが・・・この後が・・・な。

「少し前からこの場所で活動させて頂いている『魔族』です。緊急な要件なのでこうして馳せ参じさせてもらいました」

「・・・・・は?」

余りの事に思考が追いつかなかった。何だよ『魔族』って。

・・・そんな風に考えた時期が俺にも有ったよ。



その美人が指を鳴らすまでは。

パチッ

その音と共に周囲からゾロゾロと所謂『魔族』そのものが出て来た。わらわらと。

「・・・・・ヒエッ!」

・・・情けねぇ声が漏れた。




証言2・当日ベースで哨戒していた部隊長 ルーク・アルフォン

「最初に感じたのは・・・絶望だったよ。そりゃそうだろ!こんな寄せ集め部隊が勝てる訳無いだろが!生きた心地がしなかったわ!!」



思えばその兆候は前日から有ったんだ。

何時もはカモにされるカードが馬鹿ヅキだったり、他の部隊で欠員が出たとかで行き成りベース周囲の哨戒に回されたり。(ベース周りの任務は当り、楽で美味しいんだわ)

他にも小さい幸運がポロポロと転がり込んで来た・・・まるで何かの対価を払うかの様に、だ。

・・・ベース哨戒もソコソコに切り上げ、久々に豪勢な昼飯と洒落込もうか!・・・って時にそれは来た。

鳴り響くのは警告音。ここ数年の内鳴ったのは2回程度だ。1回は定期点検、もう1回は誤報だった。あん時は大騒ぎだったなぁ・・・

で、今回のは3回目って訳だ・・・又誤報か?とは思ったが、取り合えず隊員全部に声を掛け向かってみる事にした。場所は東入り口。さて、何が出る事やら・・・

あぁ。後悔したさ。こんなんだったら無視して昼飯喰っとくんだったって今更思う。

飛び込んで来た光景に・・・思わず目を疑った。

大勢の『魔族』を前にガタガタと震えながら、顔を真っ白にして立っている警備担当の奴。気の毒に・・・あ、俺も同じか。

優に2~30は超える『魔族』の団体と、その中に立つ綺麗処。なんつうコントラストだ。

そして思案する。現状、此処に駆けつけたのは俺の部隊のみ。あの警報を聞いてから既に1~2分だ。なのに他の部隊が来ない。

つまり他の奴らはまだ出払ってる訳だ・・・最悪だ。だって無理だろこんなん!

たかだか二十数名で同数の『魔族』とやり合える道理がねぇ。モンスターや魔獣なんかだったらまぁ、知性の関係上何とか出来る。

だが理性を持った魔族は違うだろ!あぁ・・・無理だ。畜生、こんなんだったら昨日のカードも負けて、任務の変更なんざ受けるんじゃなかったわ・・・





証言3・メインベース治療班主任 ミメイ・シーラ

「何の冗談かと思ったわ。・・・今思い返すと、あの時良く冷静で居られたと思う」



私達治療班が駆けつけた時、既にルークの部隊は相対していた。ルーク達のその先には・・・『魔族』の団体。

「ウソ・・・そんな・・・」

思わず声が漏れる。

状況は最悪だ。今、このベースには最低限の・・ルークの部隊しか居ない。

今日は朝から基地の出入りが激しかった。

昨日から今日に掛け基地から大量の兵が姿を消し、その捜索に粗全ての部隊が借り出されていたからだ。

そんな中での『魔族』の襲撃・・・正直、その可能性なんて全く考えて居なかった。

位置的にもなんの旨味も無いこの場所に攻めて来るなんて、ナンセンス過ぎる。

・・・・・・だからこそ今、私達の命は風前の灯なのだろうが。

ふと、ルークの方を見る。あれから直立したまま動いてない。

「・・・・・・あのバカ!又立ったまま気絶(現実逃避)してる!!」

アイツの悪い癖だ。その所為で何度危険な状況になった事やら。・・・けど不思議と死なないのよね、周りを含めて。運とか要領は悪い癖に、悪運だけは人一倍強いのがアイツだ。

そんな事を考えてるうちに、事態は動き始める。

『魔族』の中に居た、たった一人の女性と思わしき人物が此方に向かい歩み始めた。

私達は困惑した。相手の意図が全く判らない。全員が硬直している間にも、歩みを止めない女性。

「クッ!」

そんな中、ルークの部隊の1人が無謀にも女性に向かい踏み込もうと剣に手を掛け・・・その手を離した。

傍目から年老いたと判る狼男が、木を切り出して造られたナイフを握りその首元に添えて居た。

全く見えなかった。それ頃か此方側の全ての人間が反応すら出来なかった・・・

「妙な真似はしない方がお互い身の為ですぞ?因みに、私は隊の中では一番年寄りで・・・一番弱いがね」

そう言うと、その狼男は瞬時に飛び退き、元の場所へ戻った。

信じられない。あんな動きが・・・気配すら判らなかった相手が一番・・・弱い?それが本当ならもう打つ手は無い。

絶望が私達を包む・・・けれど、何もせずにただ死を待つなんて私には我慢ならない!時間稼ぎ位なら・・・

今思えば、良く動けたと思う。

「・・・要求は・・・何?」

気が付くと、私は一番前に立って居た。





「・・・お嬢、流石に行き成り全員出すのは・・・尚早しょうそうじゃないか?」

隊員の1人から耳打ちされる。

「まぁ、ね。けれどこうでもしないと信じないでしょ?私の姿では・・・ね?」

そう言われ、隊員は納得した様にスッと後ろに下がる。

そうこうしていると不意にガルムが踏み込んだ。どうやら相手の殺気に反応した様だった。

まぁ別段危険な相手でもないので見守ろう。

その後しっかり牽制を済ませ、ガルムが戻る。

「・・・要求は・・・何?」

俺の前に、白衣を来た成人?しているにしては小柄な(140cm位か?)髪を纏め上げ眼鏡を掛けた女性が出て来た。

(意外だな。てっきりあそこに立ってる隊長風の奴が・・・気絶してるわ)

「・・・ルーク(アレ)の事は気にしないで。何時もの事だから・・・」

溜め息を吐きつつ、ジト目でルーク(アレ)と言われた人物を見る白衣の女性。

どうやら俺は哀れな物を見る様に、アレと言い切られる人物を見て居たようだ。

「で?改めて、要求は何?言って置くけれど、此処には何も無いわ」

白衣の女性が改めて此方に向かい言葉を掛けて来た。警戒をしているのは当り前だな。

魔族の集団を前に中々の胆力だ。

「そうね。でもそれ以前に、襲撃や略奪のたぐいなら・・・既に制圧済みな状況に成って居る筈。と、言う事は理解出来るかしら?」

その言葉に相手側一同の空気が凍り付く。ガルムの実力を既に見ているから尚更だろう。

「・・・そ、そう・・・ね。だとすれば、何の用が?」

必死に言葉を搾り出す白衣の女性。気の毒に思えるが、仕方が無い。此方は魔族だし。

「緊急な要件が有るの。出来れば・・・此処の最高責任者と話がしたいのですけれど?」

「・・・それは・・・どう言った要件・・・なの?」

「そうね・・・多分、今、貴方達が直面している失踪案件にも多大に関係しているわ」

「・・・ッ!何でそれを!!」

鎌かけは上手く行った様だ。

まぁ『レギオン・シード』絡みの集団暴走スタンピードが起こっているからね。寄生された兵も向かうであろう事は知っていた。

怪訝けげんそうな白衣の女性を他所に、俺は続ける。

「矢張り・・・ね。そうでもなければ此処まで人が居ない訳は無いわ・・・ロギス・マクベスさんはいらっしゃる?」

「ロギス!?・・・何でその名を」

女性は知った名前が見知らぬ魔族から出て動揺する。ロギスって意外と有名なんだ。

「彼の治療をした縁が在ります故。その際にお名前を・・・ね」

それを聞いた白衣の女性は驚きの表情をし、直に目を輝かせた。

「え?・・・えええぇ!!?あの治療をしたの貴方なんですか!?本当に!?マジで!?」

「え、ええ。本当に、マジですよ?」

それを聞き終わるか終わらないかの刹那、「ダダダッ」と先程のガルムにも迫るスピードで女性が走り寄り、俺の手を取って両手で思い切り握り込んだ。

「凄い!凄いです!!あの傷から推測するに、3度に近い火傷だった筈です!!それが1日も経たずに全快なんて・・・在り得ない!!一体どんな治癒魔法を使ったんですか!?詳しく・・・ハッ!」

余りにもの勢いにその場に居た全員が動きを止める中、異様なテンションで突っ走っていた女性は我に返る。と一気に青ざめた。

そりゃそうだ。なんせ今、敵陣の真っ只中に単身で突っ込んで居るし。どうやら自分の興味が有る事には脇目も振らず突っ走るタイプみたいだ。

「あわ・・・あわわわわ・・・」

狼狽ろうばいする女性・・・なんか気の毒になった俺は助け舟を出す事にした。

「私、イシス・ヒメカミと申します。貴方は?」

その言葉に『スキル【感情沈静】』を乗せる。すると白衣の女性はそれまでの狼狽振りがウソの様に落ち着きを取り戻し、名乗りを返した。

「あ・・その、ミメイ・シーラ。此処で治療班の主任をしてます。一応、「成人」ですよ?一応」

何だか「成人」の所をやけに強調するのは気のせいじゃ無いだろう。・・・さっき俺も成人?って思ったし。

「何だか失礼な事を思われてる気がする」

ぼそりとミメイが呟いた。

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