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お客人に御持て成しをする準備を始める訳で

「指し当たって先ずはコレを」

俺はロギスに自家製の薬が入った瓶を渡す。

「コレは?」

「『レギオン・シード』を強制的に排出させる水薬ポーションよ」

「・・・凄いな。こんなモン造れるのか」

ただし、初期段階の寄生にしか最大効果が発揮し無いわ。5・・・4割寄生が進んでいたらアウト」

「全く効かなくなるのか?」

「いえ、寄生の進行を阻害出来わ。まぁそれなら摂取をさせなければ良い話だけど・・・」

「難しい・・・んだな?」

「その依存性は麻薬より性質たちが悪いわ。摂取する為なのか、『共食いまでしていた』との報告も在る位に」

「・・・本当に厄介で、最悪だ!!!」

ドンッ!

「あいっ!!!!ッッ!!!!」

怒りが先行し過ぎ、自身の怪我を忘れたロギスが机を殴る。

「無理をしては駄目・・・と、言いたい所なのだけれど、そうも言っていられないわよね」

苦笑いをしつつウエストポーチから回復用の水薬ポーションを取り出すと机の上に置き、

「はい。それじゃ脱いで」

「は?」

その言葉に流石のロギスも面食らう。

「施術するから。ローブを脱いで。全裸になって欲しいのだけれど?」

「いやいやいやいやいや!!意味が判らん!!」

狼狽するロギスを他所に俺は施術をするの準備を始める。

「ロギスさん。貴方、体歪み過ぎよ。施術すれば体術の技量が1割は増すわ」

「だからとて!流石に全裸は!?」

「・・・必要なら『抜いて』差し上げますよ?」

少し意地悪な笑みを浮かべる。まぁ中身がオッサンな所は許して欲しいが。

「・・・隊長・・・不潔です!!イシスさんも最低です!!!」

そう言いつつベットの中へ顔を真っ赤にしたアスティーが潜り込む。

「まぁ半分冗談はさて置き、ささっと処置してしまいましょう」

(どっちが半分に入ってるんだよ!?)

という周囲の視線を他所に俺は施術を開始するのであった。





「・・・凄いな。本当に体のキレが増した様だ」

90分掛けた施術の後、回復水薬ヒールポーションを全身に塗り込み火傷が直ったロギスが外で武器を振る。

「・・・傍から見てると怪しい店にしか見えなかったッス・・・しっかり『テント』張ってたじゃないッスか」

「止めてくれ!そんなのは俺が一番気にしてるんだよ!!!ってか見てるなよ!!!」

ニコがロギスの脇の階段に腰掛けジト目で茶々を入れ始めると、ロギスが堪らず弁解を始めた。

俺はそれを部屋の中で聴きつつ、ベットに仰向けに寝転ぶアスティーに目を向ける。

「・・・アスティーさん。本当に良いのね?」

「はい。お願いします」

神妙な面持ちをする2人。そんな顔をするのには相応の訳が有った。

骨折は何処の世界でも厄介この上ないのだ。地球では固定をして自然治癒を待つのが常識。

それは魔法が存在するこの世界でもほぼ変わらない。下手に魔法で回復をさせると骨自体が歪んで治る可能性が在るからだ。

ただやり様は有る訳で。それを今からアスティーに行う。

先ずは魔眼を悟られない様に発動させ、肋骨周りを見ると3本程折れているのが判る。

次に両手に魔力を集中させると、念動力を発動させ一気に骨を元の場所へ戻した!

「あぎっっ!!!!!」

アスティーから声に生らない悲鳴が漏れた。相当な激痛が走ったのだろう。

そのまま左腕にも目をやる。見事にボッキリと折れている骨に対し、先程と同じ様に魔力を発動。

「っ!!!!っ~~~~~!!!!」

何とか悲鳴を噛み殺すが、目からは大量の涙が溢れる。

「はい、御疲れ様。後はヒールポーション(コレ)を飲めば大丈夫」

「あり・・・がとう・・・・・・ございます」

たった数分の出来事で息も絶え絶えに疲弊してしまうのだから、相当な荒療治なのは理解出来るだろう。

「本来ならもう少し時間を掛けるべきなのよ?・・・まぁじっとしていられないのは理解出来るのだけれど」

「・・・判ってます。でも・・・少しでも被害を抑えなきゃ」

「そうね。けど無理は駄目」

「ですね。けどイシスさんのヒールポーション(コレ)飲みましたし、大丈夫です」

「薬の過信は禁物よ?完璧に回復させるにはまだ時間が掛かるわ」

「了解です」

身支度を終えたアスティーが苦笑いをしながら答え外へと出る。

「隊長、お待たせしました」

「行けそうか?」

「はい」

「そうか・・・なら良い」

アスティーの返事を聞き終えると、ロギスは荷物の中から魔導通信機を取り出す。

「ミルド、聴こえるか?」

『・・・ ・さ・・・・ギ・・・ ・・・ロギスさん!?無事だったんですか?』

「あぁ。アスティーも何とかな」

『それは良かった・・・連絡取れなくなって心配していたんですよ!?』

「スマンな。だが大変な収穫が有った。今から戻るのでミーティングの準備をして置いてくれ」

『判りました。2人とも気を付けて』

「あぁ。判った」

通信を終えるとロギスとアスティーは俺達の方を向き直し、深々と礼をする。

「本当に助かった。感謝してもし切れない程にだ!」

「本当に有難う御座いました!」

「だが、これからが大変だろう」

「あぁ。【キメラ】に『レギオン・シード』・・・問題は山積みだ・・・だが何とかしなくてはならん」

「それに関しては此方でも動くさ」

そう言いつつヴォルフがロギスに向け魔導通信機をトスし、ロギスが受け取る。

「コイツは?」

「ウチで使ってる魔導通信機だ。連絡は密に・・・だろ?」

「・・・コレが通信機だと!?」

ロギスが受け取った通信機はイヤリング大の大きさだった。

自身の持っていた辞書と同等の大きさな通信機と見比べる。そりゃ驚くわな。

「・・・色々恐ろしいな・・・全く、君等を敵に回したくはないよ」

それはロギスの本心からの畏怖だろう。そうこうして2人はキャンプから出発して行った。

俺達はその後姿が見えなくなるまで見送る。姿が見えなくなった所で此方も動く準備を始めるとしよう。





それは2ヶ月前、この【ブラインドエリア】へ入る当初の事。

「お嬢、そろそろ飛空挺のガス圧が限界だ。降りる所見つけてくれ」

トムが計器をいじりつつ声を掛けて来る。

俺、ヴォルフ、ウィーゴは机の上に広がった地図を見つつ検討をしていた。

「・・・此処からだと・・・この辺りが妥当か」

ウィーゴが指し示した場所は大陸から山脈で切り離された場所・・・【ブラインドエリア】である。

「確かにな。此処ならば潜むのにはもって来いだろう」

「そうね。飛空挺コレを隠すのにも適しているわね」

低空飛行で海岸側から近付きひっそりと上陸・・・する筈だった。が、それは失敗に終わる。

「!?お嬢!このルートは駄目だ!」

トムの叫びに一同が急いで操舵室に集まる。

「コイツを見てくれ」

トムがホログラムを起動させると・・・この飛空挺の前方に巨大な赤い円が映し出されていた。

「魔法警戒網だ。それも強力なヤツさ」

「・・・異様だな。この場所に此処までする価値が在るのか?」

「さぁな。だがこのまま進めばモロバレだ」

「迂回するしか有るまい。トム、ガス圧は後どの程度持つ?」

話をしていたウィーゴが机に向かいルートの調整に入る。

「良くて3時間・・・いや、諸々考えりゃ1時間だな」

「判った」

そうして俺達は【ブラインドエリア】へ進入を果した。

飛空挺はばらし木材等は施設へと、ガスを溜める部分はテント等へ変化した。

これが【ブラインドエリア】へ降り立った事のあらましである。






・・・ロギスとアスティーがキャンプを去り4時間程経過した頃、ヴォルフを隊長とした小隊はある建物を望める位置に陣取る。

その建物は【ブラインドエリア】に入る前に感知した巨大な警戒網の大体中心に建っていた。

「まぁあそこしかね~わな」

「今までは監視こそしていたが・・・本格的に潜入する事になるとはな」

「他にもこう言った施設は在りそうッスけど、近場はここだけッスね」

何時ものメンバーの何時もの会話が繰り広げられる。

『あまり心配はしていないけれど・・・無理だけはしない様にね』

「心得てるさ。お嬢」

まぁ本当に心配は無いと思っている。

何せヴォルフを始めヴォルフ隊TOP3を揃えた小隊なのだ。これでどうにかならないならその施設は相当ヤバイだろう。

因みに俺は今回お留守番である。一緒に行っても良かったのだが

「何でも対応出来るお嬢が残った方が良い」

とヴォルフにたしなめられた・・・のだが、いやヴォルフさん?目が「たまには仕事させろ」って言ってますよ?

まぁ確かに此処に来て部隊らしい事してないけどさ。

そんな事も有り、俺は今回ヴォルフ達に任せる事にした。

「さて、時間を合わせるぞ。3、2、1」

ヴォルフの掛け声と共に魔導通信機に内蔵されている時刻を統一。その後作戦の概要を反芻する。

「施設へ潜入の後、情報の捜索に当る」

「「「コピー」」」

「障害は速やかに無力化させろ。優先すべき順位を間違うなよ?・・・では行くか」

4つの人影が素早く森の中へ消えて行った。

それから更に30分程経過した頃、程無く施設の前に4人が立つ。施設は天然の岩山を切り崩して造られており、遠見ではソレとは判らない構造だ。

「妙だな」

「・・・あぁ。さしたる抵抗もねぇ、警戒も薄い、本当に重要な施設か?コレ?」

「それでも上空の警戒網は生きてるッス」

「悩んでも仕方が無いだろう。何であろうとやる事は決まってる、気は緩めるなよ」

「「「コピー」」」

小隊にニコが居る場合、ニコの役目は斥候ポイントマンになる。豊富な魔力とそれらを感知する能力に優れ、五感をも魔法で強化出来る為だ。

その為ニコの前では罠は意味を殆ど成さなくなる。

施設内はいたってシンプルな構造をしていた。各所に監視水晶と警報ベルが有ったが、それ以上の物は無い。

しかしそれ以上に異様なのは・・・

「人が・・・居ねぇ」

トムがボソリと呟く。内部には研究員処か、衛兵すら居ない。

「こっちッス」

ニコが警備室を無力化したついでに入手した施設内のマップを見つつ先導し、

【第1研究室】そう書かれたプレートが打ち込まれた鉄の扉の前に到着した。

「・・・硬度強化は・・・発動してないみたいッスね」

「罠かもしれん。慎重にな」

ウィーゴの声にニコが頷くと壁際にへばり付き、逆手で慎重 つ静かに扉を開く。

安全を確認すると、4人は一斉にスルリと部屋の中へと進入し・・・その光景に衝撃を受けた。





「お嬢!」

トムが叫ぶ。

『如何したのかしら?』

「やられた!・・・施設が「カラ」だ!」

研究室内は無残な状態だった。資料は散乱し、記憶をして置く魔導球、所謂PCの様な物が床に叩き付けられ無数に割れていた。

「・・・此方の動きが読まれたのか?」

「まさか!?アスティーさん達が出て6時間も経って無いッスよ?」

ウィーゴが資料を拾いつつニコと話す。

「お嬢、如何思う?」

『・・・室内を見せて貰えるかしら?』

「判った」

ヴォルフが通信機を操作し、内蔵の魔法無線カメラで周囲を映す。

『・・・・・・ふむ』

「此方の動きが漏れたと思うか?」

『だとするなら余程手際が良い様ね』

「如何言うこった?」

堪らずトムが食って掛かる。

『6時間・・・そうね実質2、3時間程で研究データを全て破棄し、尚且つ非戦闘員を皆の視界外に全員逃がしたのよ?凄い手際だと思わない?』

「まぁ~・・・・そうだな」

今一ピンと来てないトムを尻目に俺は言葉を続ける。

『これが「私達の動き」を察知した結果なら・・・ね』

それを聞いたウィーゴとヴォルフが察知した。

「そういう事か!」

「え?如何言う事ッスか?」

「成る程な・・・【ブラインドエリア】を探って居たのは俺達だけでは無かった・・・と言う事か」

『そう考えればこの状況も納得出来るわ』

「あ~・・・つまり、俺等以外のどっかのバカ共がヘマをしたって訳か」

「あぁ、そう言う事ッスか」

「・・・しかし、此処まで来て「成果無し」ではな・・・」

ウィーゴが顎に手を当て悔しそうにしていると、

「ヘッヘッヘ・・・ウィーゴ確かにおめ~にゃ何にも出来ねぇわな」

トムがニヤニヤしつつ茶化し始めた。

「・・・何か妙案でも有るのか?」

「当り前だろ?俺を誰だと思ってんだ!?」

「・・・余りにも説得力が無いぞトム」

「うるせぇ!「コイツ」を見てから言え!」

トムが怒鳴りつつ床に転がる壊れた魔導球を拾う。それを見た3人は『その手が有ったか!』と言わんばかりの顔をした。

「相当焦ってたみて~だな。壊し方が「あめぇ」」

「復元ッスか!流石トムッス。よっ魔導機具のスペシャリスト」

「ハッハッハ。もっとあがめろや」

「・・・あまり調子に乗るなよ?トム」

「ヘッ!今回ばっかは皮肉も出ねぇよなぁウィーゴ」

「そこまでにしとけ。トム、復元にどれ位掛かる?」

脱線し過ぎない程度の所でヴォルフが締める。流石扱い方が判ってらっしゃる様だ。

「1時間と少し・・・と言いてぇとこだが、40分でやったら」

「判った。頼むぞ。ウィーゴはトムのおりだ」

「宜しくな、トムちゃん」

「あ!?」

「隊長と私は如何するんスか?」

「『御持て成し』の準備だ。そう遅くない内に此処へ来る客人の為のな」


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