アスティー、ミーティング前の一時な訳で
「・・・37、37・・・ここだ」
飾り気も何も無い長い廊下を歩き、自分に割り当てられた部屋の前に着く。
ドアもシンプル、「37」と彫られたプレートが打ち付けられているだけである。
ガチャリと開けると以外にも小ざっぱりしており、急造された物とは思えない。
カビ臭さが無いのは掃除したてだからだろう。簡素な机と椅子、ベット、クローゼット。
部屋の真ん中に目をやると『アリアスティリア・ホワイトオウル宛て』とタグが付けられた荷物が置かれていた。
「さて、やりますか」
誰にとも無く呟くと、荷物の中身を確認しつつ各場所に設置して行く。
教本、着替え、少しばかりの小物・・・そして家族の写真。
15歳の女子の部屋と言うには寂しい感じではあるが、本人は気にしていない。自身で選んだ道なのだ。
そんなこんなしていると、「コンコン!」と、ドアがノックされた。
「はい」
「ミーティングだ」
「分かりました」
ドアを開けると青年が立っていた、身長は175cm位だろうか?少しの無精ひげが目立つ。
青年の後に続いて歩くと、その青年が声を掛けて来た。
「・・・さっきの見てたよ」
「さっきのですか?」
「あぁ、・・・まったく君はどんな心臓してるんだよ」
「至って普通ですけど?」
「何処がさ。俺の時なんざ・・・・ハァ・・・」
何かを思い出し青年はガクリと肩を落とす。
(・・・何が有ったかは聞かないで置こう)
等と考えて居る間にミーテングをする為の広間に着いた。
広さは小・中学校の1クラス分位。移動させる事が出来る黒板が前に有り、何だか懐かしさを感じさせる。
部屋にはまだ全員が集まっていない様で、椅子に空きが目立つ。
「好きな所に座って良いよ」
先程の青年がそう言いながら適当な椅子に座る。それを見てアスティーも適当な椅子に腰掛けた。
「ちょっと聞いて良いかな?」
「良いですよ」
「君は・・・」
「アリアスティリア。アスティーで良いですよ?」
それを聞いた青年が、気恥ずかしそうに頭をボリボリと掻く。
「じゃぁアスティー。・・・ってスマン。こっちの名乗りがまだだな。俺はミルド。宜しく」
「宜しくお願いします。ミルドさん」
「・・・「さん」か。何だか気恥ずかしいな」
「ですか?」
「あぁ。今までこの隊の中では俺が最年少だったからね。因みに君は幾つなんだい?」
と、言ってから、
(あ、女の子に歳聞くのはマズかったか!?)
と思ったのだが、アスティーの方は気にも留めず、
「15歳です」
即答した。
「そうか・・・15さ・・・15!?」
ガタッ!!!
ミルドが余りの衝撃に派手な音を立てながら立ち上がり、その音で周囲に居た隊員達が一斉に注目する。
「・・・本当かい!?」
立ったまま聞き返す。
「嘘を言っても仕方が無いじゃないですか」
と言ってニコリと笑う。その笑顔は確かに歳相応の、まだあどけなさが残る物だった。
「そんなに驚く所なんですか?私の歳の事」
「・・・そりゃそうだろ、成人したてが来る様な場所じゃない!」
その言葉に隊員達が一斉に反応し、ざわつく。
「は?成人したて?」「マジかよ・・・」「嘘・・・っては言い切れねぇな」
「あ~やっぱりそうなんですね」
ウンウンと頷きながらアスティー。
「君は一体・・・何を如何すればこんな所に来るハメになるんだ・・・?」
何とか気持ちを落ち着かせて座り直すミルド。
周りに居た隊員達も先程の話を聞き、興味を持った様で聞き耳を立てている。
「そうですねぇ、権力に胡坐掻いて鍛えもしない癖に騎士を名乗る、ボンボンぼっちゃまを引っ叩いたからですかね」
場が一瞬で静まる。聞き慣れて居る筈の単語が何故か聞き慣れない言葉に思えた。
「・・・マジ?」
顔を引き攣らせつつミルドが聞き返す。
「本当ですよ?」
「・・・フルネーム、良いかな?」
恐る恐る、ミルドが問う。
「アリアスティリア・ホワイトオウル。【ホワイトオウル領】【ホワイトオウル家】次女です」
何の躊躇も無くそう話す女の子の言葉で周囲は凍り付いた。
「何とまぁ・・・本当に良い所の出身だったのか」
ミルドが驚きで崩れた前髪を掻き揚げつつ溜め息を吐く。
「一概に良い所とは言い切れませんよ。現に私、此処に居ますし」
自虐とも取れるソレを聞き、周りが吹き出す。
「・・・プッ・・・成る程な。如何やら俺が思ってる程、貴族って奴は取っ付き難いのばっかりじゃないようだね」
「私が異端なだけだと思いますけどね」
すると、周りに居た隊員が一斉にアスティーに集まり初めた。
「ハッハッハ!話は聞いたぞ!中々骨有りそうじゃね~か!」
「一瞬何言ってんだコイツ。って成ったが、爽快な話の様だな!詳しく聞かせろよ」
「中庭のアレ、如何やったんだ?教えてくんね?」
「アハハ・・」
少し困った顔でミルドの方を向くアスティーに、ミルドは肩を竦めて見せる。
何時の間にかアスティーへの偏見はほぼ無くなっていた。
少し修正




