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事前の情報収集は必要な訳で その1

それは俺がこの世界に生まれる数秒前に遡る。


「・・・さん・・・さん、明人さん?」

(誰かが俺の名前を呼んでいる)

その声に導かれる様に、ゆっくりと目を開ける。

薄暗い天井が見え、ひんやりとした床の感触が心地良かった。

ムクリと起き上がると辺りを見渡す。

とてもシンプルな部屋?だ。四方が壁で囲まれており家具等は無し。

明かりも無く窓も無いのだが・・・明るい。

一通り見渡した後、声が聞えた方へ目線を向けた。

少年が一人立って居た。シンプルな白い服を着た8~9歳位の。


「六神 明人さんですよね?」

「・・・そうだが、君は?ってか俺どうなったんだ?」

「貴方は・・・死にました」

「・・・・・・・・」

「ちょ!ちょっと!!!黙りながら拳ポキポキ鳴らしつつこっちに来るの止めて下さい!怖い!怖いから!」

「状況から察すりゃお前神サマだろ?あんなふざけた事しやがった・・・」

「いやいやいやいや!察し良過ぎ!!!ってか神様だけど神様じゃないです私は!」

「ハァ?何訳判んね~事ほざいてやがる!?」

「地球の神様じゃ無いって事ですよ~!あっちはあっち担当のが居るんです~」

今にも泣きそうな神様(仮)を見てると明人の中に在った毒気が抜けてしまった。

「いや、(仮)じゃないですらね?本物ですからね!」

「おぉ、思考読んだのか?」

「いや多分そう思ってるって感じたんで」



「・・・・・・まぁ釈然としないが、押し問答してても始まらんか」

「ハァ~・・・落ち着いてくれて良かったです」

少年がパチリと指を鳴らすと、何も無かった空間に椅子が2つ瞬時に現れる。

「どうぞ」

言われるがまま明人は椅子に座る。中々座り心地の良い椅子だった。



「・・・で、何で俺は此処に居るんだ?地球の神じゃ無いってのは?」

「一つずつ行きましょう。まずは此処の事、此処は私が管轄する世界の[狭間]です」

「狭間・・・」

「ま~明人さんの認識で言えば、願いを適える七つの龍の石な漫画の・・・」

(何かテンション上がってないか?この神様・・)

「あ~ハイハイ其処までで良いわ。何と無く判った」

「ですか・・・」

何故かションボリした顔になる神。

「で、ですね、地球の神って話なんですが」

「あぁ」

今、ぶん殴りたいランキングぶっちぎり1位な奴の話に、俺は身を乗り出す。

「今、明人さんは地球の神の輪廻から切れてます」

「・・・・え~っと、つまりどう言う・・・?」

「輪廻の認識は?」

「何と無く、死んだら別に何かに生まれ変わるって感じで合ってるか?」

「概ねそうです。ただ、輪廻は各世界に有るんです」

「各世界?」

「はい。地球では地球の輪廻が。私の世界には私の世界の輪廻が別に存在するんですよ」

「・・・ちょっと待て。じゃぁ何で俺は君に合ってるんだ?変だろ?」

「結構鋭いですよね。そうです。本来なら私と明人さんは会う事も、会話する事すら出来ない」

「輪廻が違うから」

「はい。ですがこうして直接話しています」

「益々判らんのだが?」

「つまり明人さんは地球の輪廻から外れたんです」

「・・・・」



中々理解し難い話に俺は頭を抱えた。

(ってか本当に現実か?これ。だが実際俺死んでるし・・・あ~段々訳が判らなく成って来た!)

「明人さん、死ぬ直前何か考えていませんでしたか?」

「こんな理不尽な事した神の事ぶん殴ってやるって考えてたが・・・」

「それです!」

「ん?」

「その憎悪が地球の輪廻と明人さんの繋がりを弱くさせたんです。そこをちょっと・・・ねw」

(わら・・・じゃねーだろ・・・)

内心突っ込みつつ、段々この神の方向性を理解する。

「だから此処で君と話せてるって訳か?」

「ですね」

「しかし・・・何で又、俺と話なんぞ・・・」

「そこふぇす!」

神が噛む。

「・・・なんて?」

「・・・そこです。そこからが重要だったんです」

「噛む事かしら?」

「・・・良い性格してますよね、明人さんって」

「俺が悪かったよ。話続けてくれ」

「ゴホンッ!では改めて・・・そこです!そこ・・」

「オイ!・・・ったく、どっちが良い性格だよ・・・」

「ハハハ。人と話をするのが久しぶりでしたんで。まぁお相子です。で、本題」

神様は先程までの砕けた笑顔から、キリッっと顔を引き締める。



「明人さん、私の世界に転生してもらえませんか?」

転生と聞き、俺はラノベやゲームを思い出す。どストライク世代で興味はあるのだが・・・。

「・・・何で俺なんだ?」

実際その状況になると手放しじゃ喜べなかった。人生経験をソコソコ積んだ所為も有り警戒してしまう。

「実は明人さんじゃなくても、ファンタジーの知識を持ちつつ、まったく別の価値観を持ってる人なら

誰でも良かったんですけどね」

普通にぶっちゃける神。ソレを聞いて俺は溜め息をし、空を仰ぐ

「ただ、先程にも言いましたが、輪廻の鎖が厄介でした。そこに丁度明人さんが・・・って感じです」

「じゃぁもう少し待て、もっと適した奴探せば良かったんじゃ?」

「・・・時間が差し迫っていました。本当は明人さんが鎖から離れているのを見つけた時、

神に感謝しましたよ・・・神なのに」

・・・どうやら事態は切迫しているようだ。

(俺なんかで大丈夫なのかね?)

先程とは打って変わり真剣な表情で話す神を見て俺は心配になっていた。

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