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7歳、魔王に三行半を叩き付ける訳で その8

「さて、此方もおろそろ御暇させてもらいましょうか」

俺はヴォルフに微笑み掛ける。

「そうか・・・そうだな」

ヴォルフは名残惜しそうな、複雑な表情をする。それはそうだろう。自分の隊が居るとは言え、

故郷と離別するも同然なのだから。

「ではお父様?そろそろ行きますわね」

監視水晶へ向かい一礼をする。

『チッ!!何処までも・・・まぁ良い。無事逃げ遂せられれば良いなぁ』

まるで「お前らには無理だ」と言わんばかりの言い回しである。

まぁそうだろう、幾ら連絡網を潰したとは言え全く連絡が出来ない状況には成り難い。

流石に緊急時の備えすら無かったら『愚王』としか呼べないわな。

「あぁ、そうそう。お父様、私から餞別が有るのですよ」

「・・・・フン!それは楽しみだわ」

気丈に振舞うラグルードだったが、流石に動揺は隠し切れて居ない。

「では、失礼して・・・」

(テメーが渇望したモン、見せてやるよ!)

徐に両手を広げ、

「ハーミット解除!」

高らかに宣言。すると俺の回りに魔方陣が現れ淡い光りが全身を包み込む。

「お・・・・オイオイ、まだ隠し玉が有るのか?お嬢?」

傍らのヴォルフが半ば呆れ気味に呟く、驚き疲れでもしているかの様に。

「フフッ、もう少し付き合って下さい」

そうこうしている内に光りは強さを増し、一瞬強く光る。そして・・・

「な・・・なんてこった」

ヴォルフが今日何度目かの驚愕をした。

目の前に居たお嬢の外見が・・・変わって行くのと同時に、その体から発する魔力の密度が爆発的に増えて行ったからだ。

(オイオイ!こんな魔力・・・ラグルードからしか感じた事無いぞ!?)

それはつまり、ラグルードと同等かそれ以上の魔力を持っていると言う事。若干7歳の娘が・・・である。

その様子は水晶を見て居たラグルードとその取り巻きにも伝わって居た。

「あ・・・・あぁ・・・あわわわわわわ・・・」

「クッ・・・なんと言う重圧プレッシャーだ!ラグルード様以外からこんな!?」

「こんな・・・まさか、此処までの魔力を偽装して居たのか!?化け物か!?」

各々が驚愕の声を上げる中、当のラグルードは不動の体勢を崩さない辺りは流石と言った所であった・・・が。

次の瞬間、その虚勢は崩れ去る。

監視水晶から映し出されていた大画面の映像に、俺の真の姿が映し出されたからだ。

ガタッ!!!と玉座から身を乗り出し、映像をまるで目が飛び出しそうな勢いで凝視するラグルード。

その顔・・・処か全身から汗が噴出す。

「バ・・・・・・・かな!!!そんな馬鹿な!!!そんな馬鹿な事が!馬鹿な事が有って堪る物か!!!!!」

自身の出せる最大音量で叫ぶ。此処まで狼狽するラグルードを回りは初めて見たのだが、

映し出された画面を見て更に驚く・・・処か、最早恐怖すら感じてしまう。

其処に映し出されて居るで有ろう俺。

外見の変化はほぼ無いのだが、髪の色はブロンズから少し青み掛かったプラチナへ変化をし、

左目は緑色へ、『魔眼』も見せ付ける大盤振る舞いだ。

そして一番変化をしたのが頭に生えていた「角」である。

エルフよりは短いが尖った両耳の上辺りに生えていた短い角が、まるで枝を伸ばす木の映像を早送りをしているかの如く伸びて行く。

それは根元から3つに枝分かれをし、雄々しく、まるで彫刻の様に美しい輝きを放つ。

「あ・・・有り得ん・・・・・・有り得ん・・・こんな・・・あんな雌猿如きが・・・」

未だに状況を理解し切れ無いで居るラグルード。無理も無かった。

ラグルードの系統に置いては、「角」と言う存在は最も重要な意味を持っていたからだ。

その角が大きく、太く、数が多ければ多い程魔力も威厳も高くなるのである。

ラグルードの角の数は6つ、俺の角も同等の・・・6。

しかも向こうはお世辞にも美しいとは言い難いゴツゴツとした感じで太さも俺より少し劣る。・・様に見える。

(あ~俺の常識もコッチに染まりつつ有るなぁ)

などと考えつつ、変に張り合いをした自分に苦笑いが漏れた。

「如何かしらお父様?私のこの姿」

監視水晶からの返事は返って来ない。余程動揺している様だ。まぁそれは俺の隣に居たヴォルフも同じなのだが。

「あ、あああああぁぁぁ!!!ま、ままっまま、『魔眼』!!!!????」

不意に水晶の向こうからそんな声が聞えて来る。

(全く、驚かし甲斐が在ると言うモノだ)

と俺は心の中でほくそ笑んだ。




一方玉座の間では相当な動揺が広がって居た。

ラグルードの傍に立って、映像を凝視していた参謀が何かに気が付き、目を擦り、目を剥き、そして・・・

「あ、あああああぁぁぁ!!!ま、ままっまま、『魔眼』!!!!????」

おおよそ何処からそんな大きい声が出るのか、と思える程の大声が場に響き渡る。

「「「「な!?何ぃ!?」」」」

その声に釣られ家臣一同が映像を凝視し・・・その事実を確認する。

緑色に淡く光るソレは、虹彩に魔方陣が浮かび、魔力を帯びていた。

紛れも無く『魔眼』。

「し・・・信じられん・・・・・・『魔眼』など数百年生きた私でも滅多に目にした事が・・・」

年老いた家臣が呟く。どうやら『魔眼』は魔族を以ってしても滅多にお目に掛かれない物らしい。

ザワザワと動揺が走る。目の前に居る人物の底の無さに畏怖が広がって居た。

当たり前と言えば当たり前だろう。魔力も角もラグルードと同等かそれ以上、しかも『魔眼』持ち。

『魔眼』の存在ですら大変な事なのだ。それは最早常識の範疇を飛び抜けていた。

「ス・・・ステータス・・・チェック」

それでも参謀は消えそうな声で、俺のステータスをチェックしようとする。

その心意気は素晴らしいのだが・・・後悔する事になるだろう。

===============

スキル

記憶・136 念動力・116 演技・134 錬金術・110

身体能力強化・109 隠密・101 魔力操作・122

軍隊格闘・113 製薬・96 薬学・99 

new

情報処理・98 ハッキング・110 感覚強化・102 物理操作・111 

物理干渉・112 魔力感知・94 料理・97 芸術・89 etc

===============

「ひ・・・ひひ・・・・・ヒィィーーーーー!!??」

卒倒しそうになる参謀。無理も無い、見た事も聞いた事も無いスキルが多々有る上、その殆どが100付近か越えているのだから。

・・・え?余計なスキルが有る?気にすんな。

「ば・・・ばけ・・もの・・・化け物!!!!」

そう言いながら腰を抜かす。その様子を見たラグルードもすかさずステータスを確認し、冷や汗を流す量を更に増やして行く。

「何なのだ・・・何なのだ貴様は!!!!!」

その問いに俺はいけしゃあしゃあと答える。

「貴方の娘でしょう?お父様。自らの子供をお忘れですか?」

「ふざけるなぁぁぁ!!!!!貴様の様な化け物を生み出した覚えは無い!!!!」

「あら酷い事を仰るのね。『お母様』が草葉の陰で泣いてしまいますよ?」

それを聞いてギクリとするラグルード。そして段々と目の前のソレがあの雌猿に見えて来る。

それと同時に左肩の痛みが増し始めた。

『貴方を殺す為にあの子は産まれて来たのよ・・・』

「ッ!!!!!」

自らの傍らに気配を感じ、「バッ」っと後ろを振り返るラグルード。

だが其処には当り前の様に誰も居ない。しかし空耳と決め付けるには余りにも生々しい囁きだった。

「・・・何時までも何時までも・・・この我をイラつかせおる!!!!必ず!!!必ずだ!!!!必ず貴様ら猿を消し去ってやるぞぉぉぉォォォォ!!!」

ラグルードの怒号が玉座の間に響き渡った。


三行半の章が意外と長くなって草(汗

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