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花の歌、剣の帰還  作者: 天谷あきの
第九章 再会
131/251

再会(9)


    *



 銀狼はまだそばにいた。白銀の毛皮は、闇の中でも薄く光を放っているかのように見える。休むにつれて、少しずつ、その毛皮も色を取り戻していくみたいだ。


 シンディの体はとっくに冷えていた。目を閉じて、ほほ笑んで、ただ眠っているだけのように見えるのに、触ってもどこも温かくない。こちこちに固くなってしまっている。先程まで元気だったのに。笑っていたのに。銀狼の流した血を一緒に洗い流したのに。理不尽だとアンヌは思う。本当に本当に理不尽だ。


 銀狼が聞き付けた物音を確かめに、ヴェガスタがそばを離れてから、銀狼は少し打ち解けたようだ。男が嫌いだという噂は本当らしい。ヴェガスタがいた時には体ごとそっぽを向いていたが、今はこちらに横顔を向けて目を閉じている。と、その目が開いて、アンヌを見た。


『名は?』


 結構話し好きらしい。


「シンディよ」

『それはこの娘のだろう。お前の名は』

「……アンヌ」

『アンヌか』


 銀狼はそこで黙した。アンヌはもう全てがどうでもいいと思っていたが、礼儀として一応聞いた。


「あなたは?」

『固体名か。人間の発声器官で発音するのは難しいが――』


 名乗った音は、グウィーンウィ、と聞こえた。


「不思議な名前ね。ぐうぃー、ん、うぃ」

『……ちょっと違うな』

「ぐいーんい」

『遠ざかったな』

「……グリーン、リ」


 ぱたり、と尻尾が動いた。


『んー……まあそんなもんだ』

「グリーンリか。どちらにせよ不思議な名だわ」

『アンヌという名の持ち主に言われたくはないな』

「アンヌはイェルディアでは由緒正しい名前なの」

『そうか』


 グリーンリはちらりと目に笑みを乗せた。銀狼というのはこういう生き物だったのかと、今更アンヌは新鮮な気持ちを抱いていた。人を見れば即座に消える、人間に出来る限りかかわらないようにしている、人の生死に関わることはない、と、辞典にはあるが、その割に人間と恋に落ちるお伽話はいくらでもある。どちらが正しいのだろうと、今まで考えていたが、その差異がふに落ちるようだった。お伽話はきっと真実の一端を担っているのだ。そして辞典もまた真実の一面ではあるのだ。辞典の編纂者は多分みんな男性だろうから。

 ぴくりととがった耳が動いた。


『戻って来たぞ』


 そう囁いて、グリーンリは元どおり床に伏せた。アンヌと他愛もないおしゃべりをしたことをヴェガスタに知られたくないのだろう。しかしヴェガスタにはそんなこと気にする余裕もないようだ。珍しくどどどどど、と足音を立てて駆けつけるや、息を乱して言った。


「――来た」

「来た?」

「来い。出るぞ。【最後の娘】が迎えに来た」


 ずきん、と、胸が痛んだ。まさか。

 まさか本当に。本当に。


 ――本当に、来たのか。


「わかってるだろうな。あの娘は迎えに来たんだ。シンディを迎えに来たんだ!」


 ――何を?


 何をわかっているだろうと念を押されたのかが分からなかった。アンヌの思考は麻痺してひとつの単語がぐるぐる頭の中を回り続けるだけだった。間に合わなかった。間に合わなかった。間に合わなかった。間に合わなかった、


「わかってるだろう。なあ。あの娘っ子が間に合わなかったんじゃねえ、シンディを、待ってていさせてやれなかったんだ。俺とお前がだ! 立て。早く。可哀想だが置いて行くしか」


 ――シンディを。


 アンヌは反射的にシンディの体を抱き締めた。


 ――けれど、


 そう、置いて行くしかないとわかっていた。わかってるだろうな。ああ、わかる。今わかった。【最後の娘】にシンディの死を、悟らせるわけにはいかなかった。


 もう少し早く、あとほんの少しでも早く。この期に及んで浮かび続ける考えをアンヌは意志の力で締め出した。シンディの死を受け入れたくないがために、誰かにその矛先を向けたいだけだとわかっていた。シンディを迎えに来た。シンディと約束したのだ。シンディがもういない今、その手を拒み、約束を成就させない権利などアンヌにはなかった。

 ヴェガスタがシンディを抱き上げて、そっと、寝台の上におろした。アンヌはその固く冷たい手を握って、離した。


「ごめんなさい」


 謝罪には何の意味もないと、わかっていたが、言わずにはいられなかった。死なせたことにではなく、安全な場所へ追い出してやれなかったことにでもなく、その体をこの寒々しい場所へ置き去りにすることへの謝罪だった。


「お前はどうする」


 ヴェガスタがグリーンリに訊ね、銀狼は、ゆっくりと身を起こした。


『傷もだいぶ癒えた。背後くらいは守ってやろう』

「そうか。ありがてえ」


 シンディの体をそこへ残して、ふたりと一頭は、使用人の小部屋を出た。シンディの魂はきっともう、いかなる恐怖も理不尽な出来事もおこらない、エスメラルダよりはるかに居心地のいい楽園へいざなわれているはずだと、ここに残していく体はもはや抜け殻に過ぎないのだと、自分に言い聞かせようとした。




       *




 カーディス王子の部屋に入るや、フェリスタは興味深そうにあちこち覗き始めた。アルガスは壁の一部を押して自分の部屋へ入って行った。舞は不安と嫌な予感を、懐かしさがわずかに追いやるのを感じた。ここに来たのはほんのひと月ほど前のことに過ぎないのに、もう何年も前のことのようだった。


 多分アルガスのことを、もうよく知っているからだろう、と、舞は考えた。あの時はアルガスのことがさっぱりわからなかった。ひと月の間になんと事態が変わったことだろう。まあ今もそれほどよく知っているわけでもないのだけれど。好きな食べ物だとか、誕生日だとか、恋人がいるのかどうかとか、そういうことは全然知らないのだ。


 恋人!

 舞は思い至って驚いた。今まで考えたこともなかった。何で急にこんなことを考えたんだろう? ここがアルガスの、言わば家なのだと思ったからだろうか。


 恋人か。不安に苛まれるよりずっとましなので、これ幸いと頭をそちらの方へ向けてみることにした。恋人。いてもおかしくないというか、むしろ、とてもいそうな気がする。だって【アスタ】でも大人気だった。ロギオンの小屋の前に集まっていた、あの大勢の娘たちは、ほとんどがアルガスのファンだ、とビアンカが言っていた気がする。何人いたのだろう。かなり大勢だった。でも、流れ者の相手はやはり流れ者なのだろうか? 流れ者はどうやって相手を見つけるのだろう? 地下街にも大勢の女の人がいた。たぶんみんな流れ者だ。露出の高い、扇情的な衣装の、きらびやかな色とりどりの女の人たち。人目もはばからず相手に絡み付いていた人たちはみんな綺麗で、めりはりのある体型で、背も高くて美人で艶やかだった。漏れ聞こえた嬌声まで思い出して、舞はため息をついた。ついでにオーレリアのからかうような声まで思い出した。


 ――あんたなんて薄っぺらくて洗濯板と一緒に寝てるみたいなもんよ、誰が手なんか出すもんですか。

 ――もうちょっと成長しないと恋人出来ても嘆かれるわよ。

 ――いやあお前、ずいぶん飾り立ててんなあ。孔雀じゃねえんだからほどほどにしとけよ。


 最後のはデリクに言われた言葉だ。ガルテにも見世物小屋かと思ったとかいろいろ言われた気がする。はあああああ、と、舞は再びため息をついた。地下街にいたあの綺麗な人たちには、きっと誰もあんなことは言わないだろう。アルガスだってじろじろ見たりしないだろう。落ち込む。


「何ため息ついてんだよ」


 フェリスタが言い、舞は首を振った。


「なんでもない。ヴェガスタ、まだかな」

「まあいろいろ準備もあるんだろうよ。なにやってんだ、グウェリン?」


 フェリスタが覗き込むと、隠し部屋の中からアルガスの声が聞こえた。


「へそくりを出してる」

「へそくりだあ? そんなもんあるのかよ」

「そう」


 舞も好奇心を起こしてフェリスタの隣から覗いた。アルガスは長椅子の上に乗って、天井に穿たれているらしい穴を覗き込んでいた。ややしてそこから取り出したのは膨らんだ革袋だ。


「いくらあるんだ?」

「聞いてどうする」

「……そりゃそうだな」

「玉一個になるかどうかだ」

「答えんのかよ」

「いざというときのためにと思って貯めておいたんだが……最近ばかばかしくなった。時間ができたら豪遊しようかと」

「豪遊! すごいね! なにするの?」


 舞がたずねると、アルガスはしばらく沈黙した。フェリスタが呆れた。


「思いいたらねえのかよ」

「そんなことはない。そうだな……地下街で串肉を好きなだけ食うとか」

「豪遊ってその程度かよ。苦労が長いからなあ、お前……」


 どうやらアルガスの金欠は流れ者の中では有名らしい。


「串肉って、美味しいの?」

「ああ、地下街の串肉ってのは有名だぜ。安くて美味い」

「そんなに美味しいんだ」

「とてもとても美味い」とアルガスが言った。「特に牛。この世のものとは思えない」

「……そんなに?」

「俺は山羊の方が好きだがな。いろんな種類の肉があんのさ。牛と山羊の他にも鶏とか豚とか、馬も羊も鹿も猪も雀も鴨もあるし、変わり種では蛙とか」

「蛙!?」

「蛇もだ」とアルガスが言った。

「蛇!!」

「店主が変わりもんでな。普通の肉を焼かせりゃモリーにも負けねえくらい、柔らかく美味く焼けんのに、既にある栄光にしがみつくのは料理人の名折れだとかわけわかんねえこと言いやがって、常に新たな味の開発に力を注いでやがんのさ。そんなら料理法も変えりゃいいのに串焼きは俺の魂だとかまたわけわかんねえこと言いやがって、自然と、たれと素材を変えるって方向に進むことになってなあ。まっとうな味が好きな人間には迷惑なんだがな、新作くわねえと山羊をださねえとか言いやがるからよ」

「まあでも、商品になっているものはどれも悪くはないんだ。素材が何かを聞かずにいれば普通の食べ物だと思うものも多いし」

「食ってんのか、お前? 蛙や蛇も?」

「売れ残りとか試作品とかをただで食わせてくれるので」

「そうかよ。お前愛想ねえくせに、妙にいろんなところで可愛がられる奴だよなあ」

「可愛がられているというか、実験台にされているというか。先日蝙蝠を食わされた」

「蝙蝠!?」


 舞とフェリスタの声が重なり、アルガスは苦笑した。


「悪くなかった。しいて言えば鶏肉に似ている」

「いやあ……食えるもんだとは知らなかったな」

「だがよほど飢えない限り食わない方がいい。病気を運ぶことがあるらしいと後で聞いて、串肉屋の主人とふたりで青ざめた。ふたりとも運良く無事だったが」

「料理人ってすごいね……」

「んなもん食うこいつもこいつだがな」

「変わった食材があれば何でもいいから採ってきてくれと頼まれてもいる」

「卸しまでしてんのかよ……娘っ子、いい肉が手に入ったら串肉屋に持って行けばすぐ焼いて食わしてくれるぜ。串焼き限定だけどな。まあでもよ、何食わされるかわかんねえし、モリーが出すっていう屋台の方に持ってく方がいいかもな」


 天井の穴を元に戻し終えてアルガスが戻ってきた。膨らんだ革袋を背嚢にしまいながら言った。


「今度は牛ばかりたらふく食おう」

「安上がりだな、お前。他にねえのかよ」

「……」

「思い至らねえんだ」

「……ビルの干し肉を買う」

「ああ、有名どころのなあ。あそこのは燻すのにクィナの木使ってるからな、いい匂いがして美味いよな。他には?」

「練り粉もビルの店で買う」

「練り粉なんてどこで買っても似たような値段じゃねえか。まあいいや。確かにビルの店は一流って感じがするもんな。でも練り粉や干し肉じゃあ、豪遊っていわねえだろ。そういうのは贅沢っていうんだ。ちょっとした、がつく程度の」

「……」

「……」

「……」

「……可哀想な奴だな、お前。せっかく豪遊すんだから屋台なんかにいかねえで普通の店に入って酒でも飯でもたらふく食えばいいじゃねえか。何も飲み食いばっかじゃなくてもいいんだ。金さえありゃ地下街で出来ねえことはなにもねえってくらい娯楽にあふれたとこなんだぜ? ああでも賭博はやめとけ。な。お前みてえなのが転落するきっかけで一番多いのが賭博だ。はまると泥沼だ」

「……わかってる。あれには近づかない。養父に足を洗わせるのに大変な苦労をした」


 ふたりの会話を、舞は興味深く聞いていた。賭博というのは話にはよく聞くが、舞にとってはほとんど未知の世界だった。流れ者の生活の一端が垣間見えるのもおもしろかった。とにかくビルの店、というのはきっと、上等な品を揃えるので有名なのだろう。

 フェリスタが流れ者の転落について、ふたりに訓示をたれていると、呆れたような声がした。


「なにろくでもねえこと吹き込んでんだよ、はな垂れ小僧」

「遅えよくそボケが。それにろくでもなくねえよ。転落しねえように悪い例を挙げてただけじゃねえか。こういうまじめな奴ほどな、一度転がり始めると早えんだ」

「転がったことがあるような言い草だな」

「転がってる兄がふたりもいるもんで、自分で転がる必要がねえだけだ」

「本当に口の減らねえ奴だなあ」


 ヴェガスタは苦笑し、身を引いた。そこから現れた王妃を見て、舞は一瞬息を飲んだ。

 やつれた。

 というより、ひどく痩せたようだった。もともと太っている人ではなかったので、その痩せ方は痛々しいほどだった。それは燭台のかすかな炎の下で見ているからだろうか。明るい場所で見れば少しは違うのだろうか。ドレス姿ではなく、簡素な旅装をまとっているせいもあるかもしれない。

 けれどそれでも、王妃は美しかった。凜としていて気高くて、優しげな美貌は変わらなかった。彼女は舞の前へ真っすぐ歩いてくると、膝を折って礼をした。


「先日は大変ご無礼をいたしました。【最後の娘】……マイラ=アルテナ姫。そのわたくしをわざわざお迎えにきてくださるとは……何とお礼を申し上げていいか」

「一緒に、来て、くださいますか」


 唐突に、前回の、王妃の執務室で豹変したアンヌ王妃の言葉やしぐさが思い出された。無防備な体に突き刺さるような気がした刺のある言葉の痛みもまざまざと思い出した。あれは演技だったのだわかっていた。豹変する直前に、彼女は確かに悲しそうな顔をしたからだ。そして今、改めて確認した。やはりこちらの彼女が、王妃の本当の顔なのだと。

 間に合ってよかった。生きててくれてよかった。この人さえ無事にエスメラルダへ連れて戻れば、エルギンの即位は安泰だ。

 王妃は頷いて、悲しげに笑った。


「この期に及んで拒んだりなどいたしません。どうかわたくしをお連れください、【最後の娘】」

「よかった……」


 舞は微笑んだ。そして、王妃の背後を見た。

 ヴェガスタしかいない。

 デボラはカーディス王子へアイオリーナからの手紙を届けるために出たと言う。だからいないのは当然だ。でもシンディは。

 それを舞がたずねる前に、王妃が静かに言った。


「デボラは息子への使いに出ました。シンディは、」


 王妃は微笑んだ。


「実家に返しました」

「……」


 アルガスが身じろぎをした。信じられないことを聞いた、というような動きだった。と、ヴェガスタが言った。


「ああ、グウェリン、お前はシンディから実家の話を聞いてたんだな。牧場やってて、羊が十頭と犬がいて、おっかさんは昔に死んだが、父親がまだ健在でな。まあ裕福って程じゃねえが、退職金も持たせたからな、生活に支障はねえから心配ねえよ」

「あなたと約束をしたと言っていました」


 王妃が、やはり、とても静かな声で言った。


「だからここに残るって、随分頑張ったのだけれど……もう若い娘を残しておけるような状況じゃなかったの。ごめんなさい。あの子はあなたの約束を信じていました。わたくしが信じていなかったの」

「そう……ですか」


 舞はまじまじと王妃を見た。王妃は静かな瞳で見返した。信じたいと思った。シンディは退職金や給金をたっぷり持って実家に帰って、そこで幸せに暮らしていると、信じたかった。でも。

 フィガスタはずいぶん前から、デボラやシンディをヴェガスタが追い出すのではないかと期待して、アナカルディアの出口付近をうろうろしていたと言っていた。デボラは出たとフィガスタも言った。でも、シンディは。


「怒ったりしねえよな?」


 ヴェガスタが言う。舞は頷いた。


「それは……もちろん」でも胸がざわざわしていた。「ああ、あの……アイオリーナ=ラインスターク姫から、手紙を託かって参りました」


 上着の隠しから折り畳まれた紙片を取り出して、差し出すと、王妃は舞の目の前で開いた。王妃の持っている燭台の明かりに便箋が透けて見え、手紙にはほんの数行しか書かれていなかったのが分かった。と、王妃が苦笑した。


「相変わらず賢い子だこと」


 手紙を折り畳んで、王妃は舞を見た。


「少しだけ失礼してもよろしいかしら? アイオリーナから頼まれたものを取ってきますわ。すぐ戻ります。アルガス=グウェリン?」

「はい」


 アルガスが驚いたように答えた。王妃は微笑んだ。


「ヴィードの息子。まともに会うのは初めてだわね。三階に参ります。手伝って頂戴。ヴェガスタ、あなたはここに」

「……おう」


 王妃はきびすを返して廊下へ出、ふと立ち止まって、その足元を見て言った。


「グリーンリ、中へ入ったらどう? 【最後の娘】は女性よ。【最後の娘】、この銀狼は、グリーンリ、という名だそうです。わたくしたちがここを出るまで背後を守ってくれるそうよ。……行きましょう」


 最後の言葉はアルガスに言って、王妃はきびきびと歩いて行った。アルガスも一緒に行った。何を手伝うんだろう、と思う。

 入れ替わるように、入り口から、銀色の大きな獣がゆっくりと入ってきた。


「……銀狼だ」


 フェリスタが畏怖するように呟いた。そう、銀狼だった。記憶の中よりも少し小さい気がするのは、舞が大きくなったからなのだろう。舞には銀狼に、いい思い出がなかった。ファーナを追い立てていた獣だった。それでも間近で目の当たりにする銀狼は、やはり気高く、高貴で、堂々として、見る者すべてに感嘆の念を抱かせるような何かがあった。


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