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The ARK  作者: にゃらふぃ
第2章 囚われの英雄
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第17.5話「ホワイト政権」

 星暦466年2月14日。ブラック・ホワイトはサザンクロス共和国の首相として就任する。それまで彼を支えたヴィクトリアとカーサスはサウザンドから姿を消し、早1年が経った。

 彼は初めて掲げていた公約を実現した。それは奴隷制度の撤廃だ。当然反対の声も多かったが、何百何千回にも及ぶ説得の末に勝ち取ったのである。

 彼の輝かしい功績は瞬く間に世界中の注目の的となり今後の政策にも期待の目が向けられた。

 しかし、本当の戦いはこれから起きるのであった……。

 ヴィクトリアとカーサスがサウザンドを離れてから2週間後に彼は奴隷制度撤廃法の草案を発表する。そして幾度に渡る協議の末、星歴466年11月8日に承認された。

 翌年の1月1日に、施行されたが多くの混乱と悲劇が国民を襲う。


 奴隷商人が撤廃法を取り消すための暴動を起こし、警察や軍隊と衝突する。36人が死亡し、42人の負傷者と19人の逮捕者が出た。

 これだけには留まらず、国内全土で動揺の事件が発生し遂に国民の外出禁止例が出されることなった。

 しかし翌日に奴隷商界のドン、ペペ=ロン・チーノ3世が何者かによって殺害され暴動の勢いが弱まった。この騒動にクロガミノ教団が関わっていると囁かれたが噂の域を出なかった。

 こうして数ヶ月後には何事もなかったように平穏な日々が訪れたかと思いきや、翌年の2月に予想外の発表が警察省からあった。

 なんでも奴隷制度撤廃運動に関わった全ての商人が殺害されたというものだ。そしてその犯人は、クロガミノ教団だった。

 彼らは白人の奴隷商人ばかりか黒人の商人も皆殺しにした。裏切り者は許されない。これが彼らの掟だ。


 その年は主だった活動は見られない教団も、ホワイト政権を崩壊させるべくあらゆる声明文を発表し、また準備を整えていた。

 翌年の469年には、国内初のサウザンド国立魔法学校が創立し、魔法省長官のウルネイスクィーが訪問した。それに伴い、厳戒体制が敷かれたが特に何も起きることはなかった。


 星歴470年に入り、ホワイトは首相の任を継続すべく国民に新たな公約を発表する。それはクロガミノ教団の完全なる排除だった。

 これにより、彼らを支持していた国民が各地で騒動を起こす。しかし、小さな衝突があっただけに留まり、選挙当日は特に変わった様子もなく彼は当選、2期目に突入する。

 ところが選挙から1週間も経たない内にクロガミノ教団は新たな声明文を発表した。それはこの世の神の抹殺だ。

 支持していた国民もこればかりは見当違いでないかと困惑していた中、ホワイトやリリーは胸騒ぎを覚えていた。神の抹殺、それ即ちヴィクトリアを殺すことだ。


 声明文を発表してから2ヶ月後の4月4日にはホワイトの暗殺未遂事件が起こる。幸い防弾チョッキを着用していたため免れた。

 しかし、その3ヶ月後の7月7日に副総理のアリが暗殺されてしまう。腕利きの良いスナイパーによって頭部を撃ち抜かれて即死した。

 それから4ヶ月後の12月25日、再びホワイトの暗殺未遂事件が起きる。今回はアリ同様、頭部を狙撃されるはずだったが魔法障壁によって阻害された。

 同時に彼は警戒態勢を敷き、軍備の強化を計る。


 だが翌年の元日に、国鉄クロスライナーの7号線旅客列車がポイント故障によって脱線、白人の死者を50人出す大惨事となった。列車は2輌の動力車に挟まれた8輌からなる車両で6輌目が脱線、7と8輌目が操車場内の貨物に衝突した。50人の白人はこの車両内にいた。

 事故調査委員会は故意によって起こされた事故だと発表し、後日クロガミノ教団が犯行を認める。しかし主犯らは特殊部隊によって逮捕された。


 2月24日には、教団によるサウザンド国際空港襲撃事件が発生。ノーザンクロス空軍基地に移送するはずだったサザンクロス陸軍の装甲車、“TAC-2 カラブローネ”が5台盗まれる。

 これは、サウザンド兵器開発廠製の装甲車。470年製で最新式だった。

 60ミリ長砲身を有した砲塔は10秒で360度旋回出来る機構となっている。分間12発。装填は魔石により自動化されている。

 最大時速は75キロ、悪路で40キロ。操縦手、砲手、通信手、車長の4人乗りだ。


 5月6日には教団がサウザンド中央駅で爆発事件を起こした。死者は白人250人。駅は全壊となる。

 主犯は警察隊との交戦の末、死亡している。

 この事件のすぐ後に支部と見られる集会所を襲撃、凡そ300人もの教団員を逮捕した。内125人は無期懲役を言い渡されている。


 そして12月31日には前代未聞の大事件が発生してしまう。教団による5大臣の暗殺だ。

 運輸省、白人省、警察省、防衛省、大蔵省の大臣が殺害される事件が起きたのだ。


 運輸大臣のコルト・バグレイは北東に面したコールドシーに浮かぶナチュラル島を繋ぐ新路線開通式の公開運転中に架かっていた橋が崩壊して海に遭難後、死亡が確認される。

 主犯は見付かっていない。


 白人大臣のケイン・ヘンリーは白人会の会合中、1台の装甲車が乱入し会場内の白人と大臣を砲撃して死なせる。これは先日盗まれたカラブローネであった。

 主犯は装甲車とともに逃走した。しかし数時間後、魔法部隊によって拘束される。後日、死刑が実行された。


 警察大臣のケン・オハラはアルビオニヒス帝国とダールクニヒス帝国が初参加する国際射撃大会の来賓として出席中に狙撃され即死した。主犯は逃走するが、競技に参加していた純白の翼を持つ種族、アルビオニヒス人のボタン・ツクモが上空で発見し、漆黒の翼を持つ種族、ダールクニヒスのチン・ギンが拘束する。

 後日、主犯は死刑となった。


 防衛大臣のクルスコ・ハミダシスキーは新型航空機の試験飛行の立ち会い中に飛行機が墜落し、巻き込まれて死亡。この飛行機に乗っていたパイロットはクロガミノ教団員だった。


 大蔵大臣のジェーン・サクラメンテjrは車に跳ねられて死亡する。車に乗っていた容疑者は、護衛していた魔導士によってその場で呪殺された。


 以上の事件に、ホワイトは非常事態宣言と厳戒体制を敷き国民には時間付外出禁止令が出された。これは36時から翌12時までの外出が禁じられる。破った者には警告のち射殺される。

 無論、賛同する者は多くなく支持率も8割台から4割台へ減少した。


 そんな厳戒体制の中で7月1日、サザンクロス国際空港に警報が鳴り響いた。ノーザンクロス空軍基地行きの“YT-2/AF サウザー”21便が奪取されたのだ。

 白人だった操縦士は殺害され、黒人だった機関士は捕縛後に滑走中の機外から放り出され全治2週間の怪我を負う。

 積み荷は最新式の自動小銃が1200丁、投擲弾が5000個、ロケット弾や照明弾なども含まれていた。さらにバイクが5台、自転車が20台ほど積まれていた。


 サウザーは、ヨルムンガンド社、470年製の大型輸送機だ。1000馬力のサウザンドエンジンを10基搭載している。3翅プロペラで、主翼に3基ずつのエンジンと末端に串型のエンジンが1基ずつ配置している。

 10トンまで運搬が可能。直列復座輸送機で双尾翼を持つ。

 最高時速280キロ。巡航時速200キロで6900キロ。燃料投棄システムが有り、魔導エンジンは無しである。


 この輸送機強奪事件は国民を恐怖に陥れた。弾薬を満載した機体が教団の手に渡ったということは、いずれ大きな戦闘が待ち受けていることだろう。

 その読みは正しかった。約3ヶ月後の10月30日に、白人会の庁舎が教団によって襲撃され501人もの白人が殺害される。中には黒人の従業員もいたが、彼らは皆無事だった。

 この事件を機に、ホワイトの支持率は減少の一途を辿ることとなる。しかし一度だけ回復の機会があった。


 それは翌年の3月3日にホワイトも出席する臨時国会にてクロガミノ教団とそれを支持する国民の一部が国会議事堂を襲撃した。カラブローネ1台も参加していた模様。

 しかしホワイトはたったひとりで凡そ300もの敵を相手に善戦、全員を逮捕するに至った。これにより、一部のマスメディアでは自演と噂されるも彼を支持していた国民からは称賛の声が上がる。

 最終的に10ポイントの支持率を獲得するものの悲劇が起きた。


 6月26日、ホワイトは自宅で就寝中にクロガミノ教団が襲撃してきた。

 輸送機サウザーを爆撃機に改良し、彼の邸宅を護衛していた衛兵や防衛車両を片っ端から排除する。そして戦力が激減したその隙にカラブローネ3台が侵入、襲撃した。

 ホワイトもあらゆる攻撃を防ぎ自らも両足を負傷しながらも敵を追い返したのだが衝撃的な再会を迎えた。

 襲撃する教団の中にワトソンの面影がある人物を発見したのだ。さらにその人物は周りから班長(キャプテン)と呼ばれており、ホワイトの両足を負傷させたのだった。

 疑念を抱いたまま、彼と教団を追い返すが後に声明文が発表されて確信した。

 その内容は次の通りだ。

“先日、我々クロガミノ教団は白人であるブラック・ホワイト首相邸宅を襲撃、奴に報復という形で両足を負傷させた。この名誉ある攻撃は、新たに我々の幹部となったレイス・ワトソンによるものだ。彼は今後、教団をより強く、そして世界を変えるべく尽力するだろう”


 この内容にホワイトは公式に対抗すべく各国と協力し、またある人物に助けを求めた。

 ヴィクトリアとカーサスである。ふたりはこの日を待っていたかの如く、サザンクロスへと飛び立った。 そしてホワイトはリリーに全てを打ち明かした。それは彼をテロリストのひとりと考え、抵抗するならば射殺も余儀なくするというものだ。

 彼女は悲しんだ。しかし、きっとヴィクトリアが何とかしてくれるだろうと思い、ふたりの到着を待つ。


 本当の戦いはこれから始まるのであった。

 ここまでご閲覧して頂きましてありがとうございます。つきましては、皆様にお詫びを申し上げたいと思います。


 現在執筆中の本作品、“The ARK 第2章 -囚われの英雄-”は、今回の話を持ちまして一時休載と致します。


 理由についてですが、当方の作業環境が変化したことと、構想の練り直しが挙げられます。


 皆様には大変申し訳なく思いますが、何卒ご理解頂けますよう、よろしくお願いします。


 なお、執筆再開は未定ではありますが生涯描いていくと決めた作品ですので近いうちに再開できるよう尽力致します。それまでお待ち頂けると幸いです。


 末筆ながら、この度は本当に申し訳ありませんでした。どうか、忘れないで下さい。


 それでは皆様、またお会い致しましょう。


(2016年8月18日12時執筆)

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