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絶え損ないの人類共  作者: くまけん
第一章 チェルド大陸編
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第45話 「あなたの子種を、わたしに注ぎ込んで下さい」

☆前回までのあらすじ☆

 息子のリオン君(生後6ヶ月)を拐われたソフィー(26)。彼女のために、クロム(16)、エリック(18)、カインズ(17)、ユリーナ(16)、ミミ(15)の5人は誘拐犯を探す!

 エリックが寝室でくつろいでいると、ソフィーがやって来てエリックを動けなくさせた! ソフィーは服を脱ぎつつ、エリックの耳元で囁く。


「わたしを孕ませて下さい」


 エリックの貞操は守られるのか! この小説は削除を免れるのか!

 全ては作者のテンションに託された!

 俺のズボンとパンツが脱がされ、下半身が露になってしまった。まだ、体は動かない。

 どうする? どうすればいいんだ俺は。

 このままだと俺の初めてがソフィーさんに奪われてしまう。なんてこった。初めてはクロムとシたいと心に決めていたのに。

 だが俺のドライバーは、己の自我と裏腹に準備万端だ。ソフィーさんのネジ穴に突っ込みたいとか考えた訳じゃねーってのに。

 っていうか何でソコだけ動くんだよ! 体の他の部分は動かねーのによ!

「うふふ……こんなに大きくなってる……」

 ソフィーさん、その色っぽい声で笑うの止めてもらえませんか? 理性がぶっ壊れそうになるんで。

「わたしと子作りしたいんですね……嬉しい」

 いや、そんなこと一言も言ってねーよ! 思ってもねーよ!

 ソフィーさんは下着すらも脱ぎ、生まれたままの姿になった。

 駄目だ! 丸見えだ!

 豊かな二つの山の上に立つ小さな豆が! 恥ずかしき丘を覆うジャングルが!

 見たら……駄目だ!

 だが目を瞑ろうと思っても、目が閉じれない。

 見開いた眼に映るソフィーさんの体は、程よい肉付きの妖艶な肉体だった。見事な曲線美だ。この体が7人の子供を生んだんだな、とイケナイ妄想をしてしまう。


 ソフィーさんは俺の上に乗っかり、体を倒してきた。ソフィーさんの顔が至近距離まで近付く。ソフィーさんの吐息が、俺の顔を撫でた。正直、いい匂いだ。女性の匂いって感じ。クロムの下着もこんな感じの匂いだった気がする。

 ソフィーさんの柔らかい果実が俺の胸にのしかかり、プニプニと揺れ動いた。柔らかい。何だこの安心感は。母性に似た何かを感じる。「量より質」が俺のモットーだが、このままだと「大きいは正義」に変わってしまうじゃないか。

 何故か俺の神経が敏感になっている。そのせいで、ソフィーさんの胸の感触がより一層強調されて伝わってくる。すげえ気持ちいい。

 だめだ、このままだと、性欲に、溺れて、しまう……。


「……はっ!」

 俺の脳裏に、クロムの平たい胸が過った。柔らかさは無くとも、安心を与えてくれるあの胸が。

 そうだ。俺はあの貧乳に帰らなくてはいけない。邪念に取り付かれている場合じゃねぇ! 危うく飲み込まれる所だったぜ。ありがとなクロム。おかげで目が覚めたぜ!

「ふぬぬぬぬぬぬぬぬ」

 俺は全力を振り絞って体を動かそうとした。毒のせいで震えのような小さな動きしか出来ない。せいぜい、顔を少し傾ける程度だ。

 だが、十分。

 まだ合体はしてないが、時間の問題だ。急げ、俺!

 ミミから渡された解毒剤が、制服の襟に仕込んである。それを食ってしまえばこっちのもんだ。

 俺は口を襟の近くまで移動させ、何とか錠剤カプセルを口に含んだ。そのまま飲み込んで、十秒後。体が自由になる感覚があった。

「ソフィーさん!」

「え?」

 俺はソフィーさんを押し出して、自分の体を思いっきり横に引っ張った。俺はベッドから離脱し、ソフィーさんは反対方向に倒れていった。

 俺は急いでパンツとズボンを着て、アイズの制服姿に戻った。股間の辺りが、膨らんだみたいになっていた。でも、とりあえずはピンチ脱出だ。

「ソフィーさん、何でこんなことを……」

 ソフィーさんは質問に答えず、逆に質問を返した。

「何で動けるんですか?」

 不思議そうだな。答えてやるよ。

「うちの隊員が解毒剤を用意してくれたんですよ。こんなこともあろうかとね」

 本当にこんな事態を想定してたのかは知らねぇが、とにかくミミの配慮で助かった。「解毒剤です。体が動かなくなったら使って下さい」と言われて錠剤カプセルを貰った時には、まさかこんなエロ展開になるとは思ってもなかったがな。

 ありがとなミミ。俺はまだ童貞だぜ。

「そう、だったんですか」

 ソフィーさんは俺の前に立ち上がった。

「無理やり迫ってすいませんでした。改めて、お願いします」

 ソフィーさんは真剣な目で俺を見た。

「あなたの子種を、わたしに注ぎ込んで下さい」

 何言ってんだアンタァ!

 どうやらソフィーさんは俺と寝ることを諦めてないらしい。何があなたを駆り立てるんだ。

「ソフィーさん、落ち着いてお話を聞かせてくれませんか?」

 これはワケアリだな。深い事情があるに違いない。そう思った俺はソフィーさんに事情を聞くことにした。聞きたいことは山ほどある。

「抱いてくれないんですか……?」

 ソフィーさんは不安そうな目で俺を見た。

「そうです」

 俺がハッキリ答えると、ソフィーさんは「そんな……」と驚きの表情を見せた。その後あたふたと周囲を見て、俺の方を向いた。

「ごめんなさい」

 非常に申し訳なさそうに、ソフィーさんは謝った。

「まさかエリックさんが同性愛者だったなんて……」

「違げーよ! 何でそうなるんだよ!」

 あらぬ誤解を解くためにも、腰を落ち着けて話そうじゃないか。


 ベッドの上に、俺とソフィーさんが並んで座った。ソフィーさんには服を着てもらった。そうじゃないと目のやり場に困る。子供がいなくなった心の穴を埋めるためか、単なる性欲かは不明だが、俺を襲った理由は聞いておきたい。

「赤ちゃんが、欲しかったんです」

 ソフィーさんはポツリと語った。

 え、それが理由? 生物としての本来の生殖動機?

「知ってますか? 中央都市の学者が数年前に発表した話なんですが。精子は他の男性の精子と出会うと、お互いを攻撃するそうです。そして強い精子だけが生き残る。女性の卵子を奪いあって、精子同士が戦うんです」

「初耳ですね」

「より多くの男性の精子を受け入れたら、生まれてくる子供は優秀な子になると思うんです。戦いを勝ち残った遺伝子ですからね。だからわたしは、たくさんの優れた男性と交わろうって決めたんです」

「へ、へえー。そうですか」

 優秀な子供を生むために多数の男と寝るのか。生物的には正しいかもしれないが、俺には理解できねーな。

 優秀な子孫を残そう、って理念はハルバート家と似てるな。ハルバート家とは色々違うけど。

 ソフィーさんの子作り計画のために、俺は利用されかけたってことか。もしカインズが夜間パトロールに出かけてなかったら、カインズが狙われたかもしれねーな。まあ、カインズは俺みたいに簡単に押し倒されないだろうが。

「わたしの子供達は、みんな父親が違います。お気付きかもしれませんが」

 一夫多妻や一妻多夫は、この時代には珍しくない。合理的な子作りのために、そういった形式をとる人達も多いのだ。ソフィーさんもそんな感じなのか? 全く気付かなかった。

「と言っても、夫がたくさんいる訳ではないですよ。どれも行きずりの相手です」

 あ、そうなのか。無理やり襲われて搾り取られた人がいたと。俺もその一人になる所だった訳か。

 いや、毎回無理やりだったとは限らねーか。お互い合意の上でヤった場合もあるだろうし。

「何で、優秀な子供を作ろうって思ったんですか」

「……そうですね。その前に、母と父の話をしてもいいですか」

 ソフィーさんは俺に体を寄せて、語り始めた。


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