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恋の発覚は突然に

新連載です。

恋愛要素すっごい薄めになりますが、気長に読んで頂けると嬉しいです。

「だから、好きだよね。乙女ちゃんのこと。」


私はどうやら、恋をしていたようだ。



 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

気まぐれだと思っていた。声をかけてしまうのも、悔しさからだと思っていた。

だって、気づけるわけないじゃん。


「葵?なに言ってんの?」

「もうっ、ミサちゃんたら!わかってるくせに!」


先程、本来の性質を暴かれた我が親友は拗ねぎみに言った。可愛らしく頬を膨らませているが、その目は完全に面白い玩具を見つけたと言わんばかりに爛々と輝いていた。


「だーかーら!ミサちゃんは好きなんでしょ、乙女ちゃんを」


この親友は何を言っているのだろうか。

確かに今まで、そんなことを言われからかわれたりしたことはあった。しかし、今回は何故か笑い飛ばせない。何故なのだろうか、口角が上がらない。


私が乙女ちゃんを好き?そんなわけがない。だって、今までドキドキしたことなかったし…いや、話しかけるときの話題選びにはドキドキしたけど。話し掛けていたのだって、嫌われものから普通のクラスメイトとして接したくて…精神をボキボキにおるような暴言を吐かれながらも、三年間話しかけ続けたし。そういえば、よく視界に入ってくる人物だったな。


「…って、あれ?」

これって恋なのでは?

そんな思考が生まれてからはもう遅かった。

今までの『八乙女 雄大』関する様々な自分の行動が浮かんできて。それの根源が恋愛感情だったなら、と思い始めた。顔に熱が集まったのを感じた。


話しかけるときドキドキしてしまう。


仲良くなりたくて、三年も話しかけ続けた。


よく、その人を見ていた。


診断結果

 それは、恋です。


どうやら、私は三年も恋をしていたようだ。


「そんなの、気づけるわけがないじゃん!」

大声で叫んでしまったのは仕方ないと思う。


「だって、だって、好みのタイプとは全然違うし…」

「それが、恋ってものだよ、ミサちゃん。」


「優しいところなんて見たことないし…」

「それが、恋ってものだよ、ミサちゃん。」


「優しいどころか、死ねとか、全部が嫌いとか言ってくるんだよ!そんな奴を好きになんかなれないよ!」

「…それが性癖ってものだよ、ミサちゃん…」

「認めるかぁ!」


さすがに、マゾだとは認めたくない。


「…まさかミサちゃん、本当に気付いてなかったの?」

頭を抱えて唸る私を見て、葵は本気で意外みたいな顔で尋ねてきた。


「逆に聞きたい、どうしてあんなことで気づけるのよ」

「だってミサちゃん、私が乙女ちゃんの席の近くに席替えになったときだけミサちゃんは自分から僕の席まできたじゃん。いつもは僕がミサちゃんの席に遊びに行くのに、あのときだけはミサちゃんが遊びに来たんだよ。それに僕とその席で会話をしている時もチラチラと恐ろしいぐらいに乙女ちゃんのことを見ていたじゃん。」

「うわあああああああああああああ!」

恥ずかしさに悶えた。

確かに、確かにそんなことがあったよ!良く視界に入るなー、程度にしか感じていなかったよ!あの時の私すごいな。


「…認めてしまえよ、ミサちゃん。君は一年のころから乙女ちゃんに恋をしていたんだよ。」

「いやだー認めたくない、絶対に認めたくない。…なに?そうだとしたら今までのあらゆる行動の意味がすごい恥ずかしいことにぃぃいいいいいいいいい!」

「『認めたらー認めちゃったらー』」

「やめてくれる?今、ハニワ歌うのやめてくれる?ものすごく胸が痛むんですけど!」


中学三年の夏。私は恋を自覚させられた。

誰かが言わなければ、気付かせなければ、決して自覚することのなかった感情。

だが、感動よりも、ときめきよりも一言言いたい。


どうして、今なんだ。


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