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GAME OF PROLOGUE 序 『信州公』の始まり  作者: ナッツ・ユキトモ(旧名:TOMO)
第1章 『超チートな武将、ひとまず西へ向かう』
7/14

幕の陸 『仕切直しの信濃守』 再開するストーリー

 いよいよ新章突入です。


 信濃守とその仲間、武将達の織り成す新たなる架空戦国絵巻。


 開幕です。



 ブレイク知識


 戦国時代の弓術は、日本の弓文化における完成形と言われている。

 江戸時代以降、弓の技術は停滞、及び劣化の一途を辿っているらしい。

 だから、現代の弓道の達人が、戦国時代の弓をつかおうとしても、弓のつるが全く引けず、矢を飛ばせないらしい。


 一説には、戦国弓は殺戮の場面において最も強力と言われ、鎌倉時代最強の鎧と言われる、大鎧おおよろいの胴ぐらいなら、軽々とぶち抜けるらしい。




 なお、『武道』、『武術』は同意語と捉える人が結構いるが、『武道』は本来、殺戮を行う方法を不殺の道徳のもと、励むだけで、『武道の達人』は戦乱の世では生き残ることは難しいと考えられている。


 一方、『武術』、常に戦争に身を置く人間に対して生き残るためのすべに重きを置いており、剣術、柔術などはその中の一部であると考えている。


 正しい意味は各々が辞書かなんかで調べてください。



 『生き残るためなら手段を問わず。』



戦乱だらけの世の中では最も大事な言葉かもしれない。

 舞台は、序章クライマックスにさかのぼる。



 信濃国 川中島城本丸

 

 業火の中、物語の終幕しゅうまくを告げる、大爆発はやがて信濃守から一切の色彩を奪い、真っ暗になる。そして、やがて信濃守自身も体の感覚が失われていく。


 そんな中、意識を失う寸前にある一つの言葉が頭に響く。


 『GAME OVER』


 それを最後に信濃守は意識を失った。






 




 

 ?????


 信濃守が目を開けるとそこは、穏やかな田園が広がる、信濃守には見慣れた空間。


 そこは次の世界に向かう際の設定のための場所

 

 正式名『つぎ』 


 通称『空間くうかん


 と呼ばれている。




 『無』という言葉を入れているからと言って、何もない訳ではない。先ほども言ったように、穏やかな田園が広がっており、空は晴れ晴れとしている。とはいっても田んぼには水は張っていない。その代わりに厚く雪が積っていた。

 その一部にはかつての長野城に比べれば遥かに小さいが、武家屋敷ぐらいの規模の農家が建っている。他にも、それより少し小さい農家が点々とあった。

 

 この場所は、信濃守が世界から閉じ込められて以来、ゲームオーバーになるたびにたどり着く場所だ。最も最初に来た頃は、ここまで大きくなく、戦国時代の一般的な農村ぐらいの田畑しかなかった。

 ゲームオーバーになるごとに少しずつ増えていき、今では、もう端っこがわからないぐらい大きくなっている。


 信濃守は迷わずその一番大きな農家に向かっていく。


 何度も来ただけあって、そこだけは、迷わず向かえる。


 無の空間 山口信濃守の拠点


 農家の引き戸を開け、母屋に入ると、見慣れた顔が10人ぐらい囲炉裏の前で暖をとっていた。

 彼らは無論、今回も信濃守と共に戦国の世を生き抜いてきた配下たちその親兄弟たちである。


 

 その中で最古参の将にして同い年である、『石川之行』、通称『源之助』が信濃守を家の中に通した。

 信濃守が板の間の端に座ると、同じく最古参で、年下の『長野智一』、通称『太郎丸』が水と布切れが入った桶を、太郎丸の弟の『長野ながの智次ともつぐ』、通称『次郎丸じろうまる』が温かい白湯さゆを持ってきた。


 次郎丸は太郎丸の実弟で、齢15歳。それ以降成長しないので信濃守以外の者たちにも可愛がられている。しかし、やはり血の通った兄弟というべきか、兄にも負けず劣らずの美少年である。おかげで前回にも信濃守の小姓こしょうとして、長野城にいた頃は女中たちに結構、色目を向けられていて困っていたそうだ。


 だが、残念なことにこの次郎丸君、俗にいう兄者大好きっ子、現代でいう『病んブラ』なのだ。なので兄である太郎丸、あるいは常に近くにいる信濃守以外の言うことは全く聞かない。もちろん、女中たちの色気にも全く反応しなかった。


 ほかに、囲炉裏を囲むものとしては、剃髪ていはつした頭で頭を撫でている『富山智鉄』、通称『鉄平』と眠り込んでいる5人ほどのわらべ


 あとは壁に立て掛けている弓の手入れをした毛皮の陣羽織を小袖の上に着た壮年のおっさん『山形やまがた行森ゆきもり』がいた。彼は通称『森次郎もりじろう』と呼ばれている。

 理由は『もとは次郎と呼んでいたのだが、次郎丸がいたことで被ると言われ、それに森を付けたらしっくりきた。』らしい。年齢は42歳。元はりょう師。弓の腕は達人。


 あともう一人いるのだが、源之助がいわく寝てるらしい。

 よくよく見ると、鉄平の奥にごろりと小袖がめくれ腹を出して寝っ転がっている老けている若者がいた。彼は『千葉ちば行水ゆきみず』、通称『水乃介みずのすけ』。

 前半北陸軍の足止めを行っていた古豪の士である。年齢は24歳と若いのだがほかの若い面々と比べると老け顔だったため、もっと年上にみられる。元はふなわたしの水主かこ。水を使った戦術に長ける。


 序章には登場しなかった三人だが、前回も信濃守に仕えており、それなりに活躍はしていたが、登場する機会に恵まれなかったせいか、今回が初登場となった。


 鉄平の周りにいる童こと子供たちだが、この子らは今回のループにおいて本来巻き込まれるはずはなかった戦渦に巻き込まれ、信濃守が連れてきた子供たちである。

 言い忘れていたが、この無の空間のたみ達は、信濃守という存在によって発生したイレギュラーによって巻き込まれた本来その場で命を失うことはなかった者、歴史という時間の輪廻りんねから外れた者たちである。もちろんその者たち全員というわけではない。

 天涯てんがい孤独こどくの身となった者しか連れてこない。

 その者たちもある一定の年齢に達すれば自然と成長し、結婚もすれば子供も産める。

 この空間は成人すれば不老不死というかせこそあるものの、孤独にはなれないようにされている。

 それは遥か昔に味わった『孤独の恐怖』を自身の届く範囲の者たちにはさせたくないという信濃守の意志を、この空間が読み取ったからだと思っている。


 今回は100人ほどである。


 この5人は将来を見込んで英才教育を施すために連れてきた。


 いわば、戦災孤児たちである。


 次のループでは彼らも連れて行き、プレイの過程でこの子たちを成長させていく。

 ちなみにあの次郎丸も、太郎丸の親父がこの空間で再婚した際に生まれた子供で、親子ともども前回のループから参加してもらった。


 そんな説明をしている間に、信濃守は足を洗ってもらい、囲炉裏の輪に入る。

 すると弓の手入れを終えた森次郎も輪に加わる。


 「いつも思うが、ループの度に俺だけ外で目覚めるのはひどくないか。」


 信濃守は愚痴をこぼしながら話を始める。

 それを聞いた暖をとる者たちも口々に口を開く。

 

 「殿は若いからこの雪道ゆきみちにいても平気でしょう。私みたいに頭が寂しい年寄りなんかは凍え死んでしまいますわ。」


 鉄平がとても60越えの爺とは思えないような張りのある声で話しかける。童たちは一瞬、ビクッとするがまた寝息を出す。

 自分の足元で丸まって寝る童たちの頭を撫でながら鉄平は微笑む。その姿はとても好々こうこうやにしか見えない。


 「鉄平殿は頭を丸めておりますからな。無論拙者も持病の腰痛が響くので御免こうむりたいですが。」


 森次郎が手を擦って温めながら、言う。

 信濃守は若い3人に目を向けると「いやいや」と源之助が言う。

 

 「俺は外で目覚めたぜ。特に俺なんか雪の上に倒れた状態で起きたから顔面が凍っちまったよ。入って早々、たまっていたお湯に顔ごと突っ込んだからな。」


 そう言っていかつい顔を緩めて笑う。


 「拙者と次郎丸は湯殿ゆどの(*)で目覚めたので、すぐさまお湯を沸かしたのです。」


 太郎丸の言葉に次郎丸も頷く。


 「…まあいいや。」


 信濃守も毎度のことなので呆れ気味に呟く。

 そんな中、天井から一人の男が頭を逆さにして降りてきた。


 「殿、拙者も毎度ながらに屋根裏にて目覚めました。」


 声の主は、『滋賀重兵衛』、忘れられてるかもしれないが山口家の忍だ。


 「重兵衛、ちょうどいい時に来たな。」


 そう言って重兵衛に囲炉裏の前へ座るよう促す。


 「皆の前で言っておこう。」


 その言葉に、童以外の者が表情を変え身を正す。あと水乃介も同様。


 「この度、重兵衛に以前約束した通り、いみなを与えることとする。」


 そう言って重兵衛に視線を向ける。

 重兵衛は突然の発表で一瞬、言葉を失うがすぐに平伏し


 「ありがたき幸せ。」


 と礼を述べる。


 「うむ、そうじゃな、以前より考えていたがやはり家老衆同様に、俺の一字を与え『智重ともしげ』、名乗りは…そうじゃな、お主の通称『重兵衛』から『兵衛佐ひょうえのすけ』でいいだろう。」


 こう述べて、信濃守は言う。


 「滋賀しが 兵衛佐ひょうえのすけ 智重ともしげ、これが新たな名じゃ。最も俺はこれからも重兵衛って呼ぶつもりだから、あんま萎縮すんなよ。」


 にこやかに言ったが、重兵衛はうれしかったらしく泣いている。


 「ありがとうございます。この名前、大切に致します。」


 そう言って、重兵衛はまた天井に去ろうとしたが、信濃守に「ついでだから温まってけ。」と言われて、照れくさそうに囲炉裏の輪へ入っていった。


 「さて、では改めて言おう。」


 信濃守がなんか言おうとするのを察するとまたみんなまじめな顔になる。


 「…その前に水乃介を起こしてやれ。」


 そういうと、手早く太郎丸が水乃介に近づき、一発腹を殴った。刹那、「ぐうぇ!」という声が響き、水乃介が起きた。きょろきょろして、そして、信濃守の顔を見て言った一言。


 「おはよう御座います。」


 場のみんなが黙っていた。もしお笑いだったら、まさにド滑りだろう。さらにタイミングよく家の窓から隙間風が吹いてきた。


 まさに寒い。


 「水乃介、お前も輪に入れ。みんなで囲めば寒くない。」


 そう言って水乃介を輪に入れる。

 結構な人数が輪の中に入ってきたが、もともと囲炉裏も大きくできているためまだまだ余裕で入れた。


 「さて、改めて言おうか。戻って来て早々だが、明けましておめでとう。今後もよろしく。」


 そう言って信濃守はみんなに軽く頭を下げる。

 この空間は戻ってきたその時が年明けと重なるために、こうやって集まったその日が元旦の祝いとなるのだ。空間の住民も各々の家や村々で新年の祝いをしているだろう。


 「「ははっ。」」


 みんなも頭を下げ新年のあいさつをする。


 「さて、あいさつはこの辺にしよう。鍋の汁も煮えてるからな。あとは餅さえ焼ければ、雑煮の完成だ。」


 そう言い、鉄平に童を起こすように言って自分は若い四人で酒蔵から、酒と甘酒を持ってきた。

 童は起きると鼻をヒクつかせ、匂いの根源である鍋に目を向ける。そのうちの一人が腹の虫を鳴らせた。


 「さあ、ガキども、飯の時間だ。」


 信濃守の声と共に童たちは嬉々とした表情で笑う。小さいながらも楽しい新年のうたげが始まった。


 ほかの家々も屋根から料理の煙を上げて楽しい団欒だんらんを始めたようだ。



 










 無の空間 山口信濃守の拠点 信濃部屋(自室)


 宴も若い連中が酒に酔い潰れ、年寄りどもはまだ騒いでいる中、信濃守は一人、母屋おもやを離れ、自分以外入らせない自室に入る。


 そこには先ほどののどかな風景とは一線を画し、勉強机の上に電源が入りっぱなしのノートパソコンが置いてある、現代的な部屋だった。

 ここは信濃守が現代にいたころの実家の部屋を模して精巧に作られているようで、この空間だけは誰かの意図で作られているようだった。

 

 パソコンには、お気に入りのコンパクトデジカメ、サブディスプレイにヒビの入ったいまだガラパゴスのケータイがつながっているが電源は通っていない。

 パソコンだけが使える状態、パソコンの充電はできないのになぜか常に起動している。

 そして、パソコンのディスプレイにはでかでかと『GAMEゲーム OFオブ SENGOKUセンゴク』の文字がかっこよく写っている。


 信濃守はパソコンのキーボードに触れる。瞬時に画面が変わり、とあるサイトの表示が出る。

 俗にいう攻略サイトの掲示板みたいな場所だ。


 『第158回 GAME OF SENGOKU掲示板』


 そこには、現実の世界で書かれた定期報告らしく、以下のことが書かれていた。


 『既に第2回全国大会以降、幾度いくどに渡って行われてきた大会の模様は初回大会を除いてすべて、我々の運営する公式サイトにて自由に閲覧ができるのだが、最近になって初回大会の大会の模様を公開してほしいという意見をいただくことが多くなった。しかし、残念ながら我々公式運営サイトは、全国中継が始まった第5回以降に、発足されたために現状、初回大会の記録を保有している人物を目下、捜索中である。

 しかしながら、初回大会は実名による参加を義務化した大会以前の記録であり、実名のプレイヤーは皆無であり、参加プレイヤー数も不明であり、唯一参加情報のある優勝者、ユーザー名『三郎丸』はこの大会後、意識不明の重体に陥り、今も某、療養所にて養生中とのことである。

 よって今回、我々は初回大会に参加していたという方、ユーザーの情報を募集中である。どんな情報でも構わないのでお願いします。』


 どうやら、現実世界はこっちとは全く違う時間軸で動いてるらしい。最もそれでも俺がこっちに来てから、それなりに年数は経っているらしいが。

 

 このパソコンはどうやら現実世界のネットワークにつながっているらしく、ループして戻ってくると、何らかの情報を伝えてくる。

 毎回というわけではないがこういった定期報告も見られるため、現実の一部の人間は、俺の行方の真相を知っているのではないかと思う。

 ほかの機能が全く使えないので、現状この部屋にはこのネットを確認するためだけに来てるようなものだから、知る方法もないのだが。これまでもメールは受信できるが送信はできないことも確認していた。


 …と言っても結局は俺から帰る方法が見つからないので、そろそろ次のループの支度をしよう。


 そう言って信濃守は部屋を出て行った。


 信濃守が出て行って少ししてからそのパソコンに一通の新着メールが届いた。

 

 信濃守がそれを確認するのは、また新しい戦国の世を生き抜いた時の話になるのだが。



 無の空間 信濃守の拠点 母屋



 信濃守はあの後、みんなが雑魚寝ざこねしている母屋に戻り、囲炉裏の熱で微妙に暖かくなっていた柱に寄りかかり、静かに眠りについていた。


 みんなが眠る中、一人の男が人知れず起き、土間に出る。

 彼は桶に汲んだ一晩寝かせてほぼ凍りかけた水で顔を洗い、腰に巻いた手拭てぬぐいで顔を乱暴に拭く。

 そして、かまどに火を入れて、せっせ、せっせと朝飯の用意をし始めた。


 やがてもう一人の男もほかの寝てる連中に気付かれないように来て、片方は外に干していた魚の干物と干し椎茸らしきものを鍋にぶち込み、もう一人はなんかいろいろとやっていた。


 流石は兄弟というべきか、テキパキとこなし、母屋の奥の方で寝ていた女房にょうぼうしゅう達が急いで起きてきた時にはほとんどの料理が完成していた。


 無論、起きて朝飯を作っていたのは長野兄弟である。


 そして、女房衆たちはそれを全員分、膳の上に乗せている間に兄弟は、いまだ寝ている面々を起こしていた。


 


 そして美味しい楽しい朝飯の時間


 信濃守の「いただきます。」の合図のもと、みんなが一斉に飯をがっつき始めた。だが、昨日の宴で散々飲んだ年寄りどもは二日酔いのためか、汁物だけチビチビと食している。

 それに対し、童たちは食べ盛りの年頃、そんな年寄りどもが手を付けていない漬物や、魚を我先にと食らいつきながら米をがっついてる。

 源之助や重兵衛、太郎丸に次郎丸は、童たちにおかずを盗られないように、警戒しながら食べていた。


 そして信濃守はというと、みんなががっつきながら食っているのをしり目に、残っていた窯の米を杓文字しゃもじすくいながら、みんなより少ないおかずで食していた。


 信濃守は、現実にいたころから大喰おおぐらい大食漢たいしょくかんであった。特に、米は大好物であり、少ないおかずであろうと汁物と、味気のある物さえあれば一升位わけは無いと言う程である。

 むしろ戦国時代にいるうちにさらに食べるようになった。

 現実では、エネルギーを使うと言っても、学生であったためせいぜい頭脳労働と多少の運動しかなかったが、こっちは常に頭も体も動かしてなければ、生き残れない世界である。

 よって脳を動かすのに不可欠な食材、米は余計に食べるようになった。


 体型が現実に比べれば筋肉質になったのも戦国時代の食事を食べ続けてきたおかげだろう。

 

 「さて、食事中に悪いが、決めねばならんことがある。」


 そういうと、大人たちはすぐさま顔を変え、信濃守に向き直った。

 子供たちもそのピリッとした空気を感じたのか、騒ぐのを止める。そして女房衆たちに言われるままに彼女たちの側による。


 「次の、向かう時期についてわかった。1533年、天文二年だ。」


 天文二年、1533年、それは日本でいえば、九州の群雄となる『島津しまづ義久よしひさ』や越前の大名『朝倉あさくら義景よしかげ』が生まれる年である。


 「今回、俺たちが最初に降りたつのは、信濃国のどっかの山間の麓らしい。」


 前回は1526年の甲斐の国府『躑躅ヶつつじがさきやかた』だった。 

 どうもループするにしても、時間と場所は毎回ランダムに選ばれるらしい。


 「連れて行ける人数は前回から300人増えて男女合わせて18000人、子供は何人連れて行っても構わないようだ。」


 ちなみになぜ伝聞形式で信濃守が説明しているかというと、自室の壁にループで帰ってくるたびに次のループ先が書かれているからとしか言えない。


 「武装については、前回まで開発した技術による軍備、それに伴う工具も許可。」


 いつものことだが、こういったことは利用できるから助かる、技術革新による進歩はいくらやり口がわかっていても時間がかかるため繰り返すのは億劫だからだ。

 そこまで説明し、信濃守は質問はあるか聞く。


 「無いようなら、次の言葉を言ったら同時に始まるから準備しろ。」


 信濃守が黙ると、今まで沈黙していた者たちが大急ぎで動き出す。


 女房衆たちは家内にあるいたるものをまとめて集め始める。


 そして男たちは、銅鑼どらや太鼓、法螺貝ほらがいといった音を発するものを順番に鳴らし始め、次の約、数十年に渡る戦いの始まりを空間にいる者たちに告げる。


 やがて、各所いたるところから準備完了を知らせる狼煙のろしが上がる。


 「殿、皆、済ませたようです。」


 太郎丸が声を発する。


 「うむ…すぅぅぅぅ…!、出陣だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 その掛け声とともに、無の空間の壁を覆っていたもやきりみたいなのが晴れていく。


 そして、景色が眩い光に包まれた…



 『CONTINUE…OK! WELCOME TO GAME OF SENGOKU WORLD!!』




 電子音の掛け声とともに信濃守の新しい冒険の幕が開く。


 

 ちょっとした豆知識


 武田信玄、上杉謙信、毛利元就、真田昌幸、松永久秀、明智光秀、竹中半兵衛などの歴史において『軍略の天才』と呼ばれている者は主に領地や出身が山間の地形であるものが多い。

 理由の可能性としては、平地などの大軍を一度に動員することが困難な地に生まれたことで、少数でも地の利を生かして敵に勝つということが必要とされたからだろう。

 一方、対する代表として、織田信長は平地多い地形での戦によって数の差が勝敗を分けるという考えを持った。


 またやはり山間の地形が多い国の兵は総じて強いと言われている。一方、海の潮流が強い地に面している兵も負けず劣らず強い。


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