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理より外れた者たち

校長先生に連れて来られた部屋は、今時珍しくない液晶テレビのある部屋だった。


「あの・・・ここは?」


と和人は聞いてみた。


「ここは私の部屋だ、私はここに寝泊りすることもあってね」


そう答えたのは上原校長だった。


「どうしても今日中にやらなければいけないこととかある時に使うのだよ」


そう言いながら校長はレコーダーにDVDをいれた。

すると、液晶画面に男の顔が写った。

画面の中の男はこう言った。


「こいつを返して欲しければ、金を用意しろ。

 一週間だけ待ってやる。

 もし、用意できなければ・・・わかってるな?」


映像はそこまでだった。

しかし、犯人のココロを視るには十分だった。


「真田、これを見て何かわかったのか?」


と、担任の高田先生が聞いてきた。


「まあ、今ので大体犯人の居場所は分かりました」

「何!?」


高田先生は大声で叫んだ。


「それはどこだ?今すぐ警察に・・・」

「一時間後」

「は?」

「一時間後に通報してください。

 場所は、第三工業地区の埠頭にあるコンテナの中です」

「場所はわかったならなぜさっさと通報しない?」

「まあよいではないか」

「校長?」

「この少年にも何か考えがあるのだろう。

 真田と言ったな?お前の言うとおり学校側からは一時間後に通報する」

「ありがとうございます」


オレは先生方に頭を下げ、部屋から出て行った。


「よろしいのですか?彼を行かせて」

「・・・あいつは人間じゃ太刀打ちできないだろうからな」

「は?」


高田先生は上原校長の言った言葉の意味がわからなかった。



その頃浩樹は和人の言ったとおり、コンテナの中にいた。

数人の子供たちと一緒に・・・。

男子女子問わず、いろんな子供たちがいた。

コンテナの出口近くには浩樹たちをさらった犯人がいる。

犯人は何か武道をやっていたのか、剣道と柔道をやっている浩樹でも敵わなかった。

おとなしく待っていれば、警察が気づくかもしれないと思ったが、その考えはここに来てすぐに捨てた。

なぜならこの第三工業地区は現在封鎖されているのだ。

理由はただ危険だかららしい。

そんな場所に警察はわざわざこないだろう。

なのでもう、浩樹たちには逃げ道がなかった。

こんまま死ぬしかないのかと思ったその時だった。

コンテナの近くで雑誌を読んでいた犯人が顔を上げ、


「誰か来た」


と言った。その正体はすぐにわかった。


「和人!!」



第三工業地区に着いた和人の目の前には、誘拐犯と思わしき人がいた。


「お前が何人もの少年少女をさらったのか?」


和人が聞くと、犯人は笑って答えた。


「ああ、そうだ。

 それが何かしたか?」

「理由はなんだ?」

「金さ」

「たったそれだけのために彼らを誘拐したのか?」

「そうさ。

 ちょうどいい、お前も人質にしてやる!」


犯人は持っていた雑誌を捨て、和人に向かって駆け出した。

和人は犯人のココロを視て、駆け出してきた犯人を殴ろうとした。

それを犯人がよけ、逆に蹴りをお見舞いしようとしたが、失敗に終わった。

なぜなら、和人は犯人の後ろに回り込んでいたからだ。

これには犯人も驚いた。


「なぜだ!?なぜ・・・」

「教えてやろうか?」


和人はそう言って、自分の目を指さし、これまで誰にも言わなかった秘密を打ち明けた。


「この目は他人のココロを視ることができる。

 だから、お前の行動すべてがわかるんだよ」


犯人と誘拐された子供たちは驚いた。

が、驚いていたのも束の間だった。

犯人はいきなり不気味に笑い出したかと思うと、体中から黒いオーラが吹き出していた。


「そうか、お前も異能者か・・・。

 なら、遠慮する必要はないな」


次の瞬間、和人はまん前から熱い物体に体を吹っ飛ばされた。

コンテナに体を強く打ち付けた和人は犯人のココロをもう一度視た。

しかし先ほどとは違い、犯人のこころは視えなかった。

正確には、漆黒に染まっていてわからなかった。


「その程度か?つまらないな」


そう言って、犯人は自分の前に大きな塊を作り出した。

あれを食らうとマズイと思ったが、痛みで体が動かない。

というかさっきから出血多量で意識が朦朧としていた。

このままでは死んでしまう・・・。

(オレはここで死ぬのか?浩樹を助けられないままで)

意識が消えかかる瞬間、和人の前にさっきの黒髪の少女が現れた。


「ごめんなさい、まさかこいつが異能者だったとは・・・

 ここからは私に任せて、あとはゆっくり休んで・・・。」


と和人の意識が持ったのはここまでだった。

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