げーむ
「…」
「うーっす。…て、今日は早いっすね、時雨先輩」
とある日の部室。放課後いつも通りに部室に来てみると、時雨先輩が椅子に座り、携帯ゲーム機を持っていた。…珍しいな、アウトドアの時雨先輩がゲームなぁ…
「珍しいっすね、時雨先輩がGSPなんて…」
あ、説明しておこうか。GSPはゲームステーションポータブルの略で、次世代携帯型ゲーム機の事だ。最近は沢山の人がこれを持っている
「…河内、か」
時雨先輩は疲れた顔をしながら俺に顔を向けた。…随分前からゲームしてたのか?
「…ずいぶん疲れてますね、なんでそんなに…」
そして時雨先輩の持つGSPを覗き込んでみると…
「!!?」
「…助けてくれ」
…俺は衝撃を受けた。だって…電源が入ってないんだぜ?それをじーと見てたら、そりゃ疲れるわ…
「…使い方が分からないんだ…」
「じゃあなんで持ってるんすか!?」
…とりあえず、事情を聞いてみるか…
そして事情を聞いてみるとこうだ。十分前くらいの出来事で…
「ひとみん~?」
「どうした、カオル?」
「ひとみんってゲームしないのぉ?」
「GSPか?…基本的にはしないな」
「ふぅん…、じゃーさぁ、私はこれから用事があって行くところあるから荷物置いていくからぁ、ちょっと遊んでみてよぉ♪」
「は?なんでいきなり…」
「時にはぁ、変わったことをやるのも楽しいもんさぁ~♪」
「な…?ま、待てカオ…」
「じゃーぬー♪」
「…」
てな感じで、今に至るらしい。…電源すら見つけられなかったのかぁ…
「いや…不甲斐ない」
時雨先輩は力無く呟いた。…とりあえず今は俺が電源を入れて、最近大人気のゲーム『ニャンハンターG』をプレイしている
「…今回はミケを探さなきゃだな」
時雨先輩は操作こそ説明書を見ながらなのでたどたどしいが、没頭している。…時雨先輩がゲーム、かぁ…
「…楽しいっすか??」
「あ、あぁ…」
「…にしても…桜先輩何してるんすかね」
「なんか、顧問の羽根黒に呼ばれたみたいでな…」
あの顧問が、部長の桜先輩に用事…?
「…なんの用なんすかね」
「気になるか?」
時雨先輩はゲームをやりながら俺に視線を移してきた
「…まぁ…気にならなくは無いっすけど」
「…さすがは河内だな。本当にお前は特殊だ」
「…どういう意味っすか?」
「退屈しない生き方をしてるよなぁ、と思ってな」
「…そうっすか。…あ、時雨先輩、ミケ今画面の右側に居ましたよ」
「えっ!?ど、どこだ!?」
とりあえず時雨先輩の言葉は引っ掛かるところがあったが…とりあえずやり方がぎこちない時雨先輩のゲームを見てるのが楽しいので、とりあえずは見てることにした…
そのころ、職員室…
「羽根黒先生ぃ♪こんにちわぁ♪」
「……ぁ…来たね…ごめんね…急に呼び出して…」
「いぇいぇ♪でぇ…用事ってなんですかぁ?」
「……桜さんに時雨さん、阿見津さんは、今年は部を大きくするのに成功したね…」
「はい♪それにとぉっても楽しいですよぉ♪あっちゅんにふーちゃん、憐ちゃん、皆いい子だからぁ♪」
「……それはよかった…。で…今年度で桜さんと時雨さんは卒業だよね…」
「…そうですけど…?」
「……来年の部長はどうするのかな…?」
「…まだ考えてませんよぉ?」
「……そろそろ…考えた方がいいよ…。今まで桜さんと時雨さんがつくって来たものを…受け継ぐために…ね」
「…先生、心配してるんですかぁ?心配ならご無用ですよぉ?」
「……ならせめて…桜さん、顧問としてお願いがあるんだ…」
「…?なんですかぁ?」
「……私も、今年で学校を去るから…皆と、一回部活動をしたいんだ…ダメかな??」
「…お安いご用ですよぉ♪この私にお任せくださぁい♪♪」