勝負!⑧…伝統のBJ戦!
「じゃあ、第1回戦!」
桜先輩に2枚のトランプが俺と阿見津先輩に渡される。今から俺は入部試験の時にもやったブラックジャックの勝負を始めることとなった。勝負は2本先取、21以上はバーストで最弱扱いになる。そんな戦いを去年桜先輩を打ち倒して入部した俺と阿見津先輩が戦うことになった
「…ふむ」
俺の手持ちは10と4で合計14。…非常に弱い、弱すぎる。…自分の引きの弱さが泣けてくるぜ笑
「…」
対する阿見津先輩は2枚を一瞬見たきり、カードを伏せている。…もしや、手持ちのみで勝負なのか?
「じゃあ、あっちゅんに弓ちゃん、引く?勝負?」
桜先輩が催促してくる。この人は純粋に勝負を楽しんでるな…
「俺は引きます」
俺の選択は3枚目にかけるというもの、阿見津先輩は…
『私も引きます』
携帯の画面に映された1文のみの短い文章、ただそこには何か覚悟みたいなものが感じられる。…ブラックジャックごときにずいぶん真剣だな?
そして3枚目…俺が引いたのは5。これで合計は19だ。…勝負できないことはないが…微妙だな。阿見津先輩は…3枚目を見て、それもすぐに伏せた。そして携帯に短く
『勝負』
と、打ち込まれた。…阿見津先輩の真剣な目を見せているとなると、なかなか手持ちが強いと見える。…さて、どうするか…
「あっちゅん?どうするぅ?」
桜先輩の催促がまた来る。…ここは…阿見津先輩の力を図るためにも、勝負に出てみるか!
「勝負っす」
「じゃあ…両者ぁ…」
「「オープン!!」」
そして部員の掛け声とともにカードが表になる。俺は19、阿見津先輩は…
「…なっ!?」
「ほう…やるな、弓佳」
阿見津先輩のカードは8、A、2の合計21…ブラックジャックだ
『初めは19で勝負をしようと思っていたけど、河内君が引くっていうから、ちょっと大胆に勝負をしてみたよ♪』
阿見津先輩は笑いながら文章を綴る。…引き強いな…
「あっつん!まだ負けてないよ!」
風が俺を応援してくれる。確かにまだ1本目を取られたにすぎないが…この引きの強さにはたして勝てるのか?
「じゃあ…第2回戦!」
続いて2回戦目が始まる。俺の手元には5が2枚で合計10。この状況なら3枚目は確実に引くしかない。…対する阿見津先輩はさっきと同じくカードを少し見て、すぐ伏せる。…前回と同様、また俺の動向を見て決めるのか…いやなやり方だな…
「引きます」
『勝負』
…ただ、選択が分かれた、阿見津先輩は手持ちの2枚での勝負を選択した。…俺が3枚目を引くことを良しとしてきたということは…手持ちが強いか、ただの見せ掛けか…まあ、どっちでもいい、俺はこの3枚目にかける!
そして3枚目…俺が引いたのは…
「!良し、ブラックジャックッす!」
俺が引いたのはA。合計21。…さあ、阿見津先輩はどうだ!?
『21にされちゃったらさすがにどうしようもないね~』
阿見津先輩のカードはKと10、合計は20だ。…なんていう引き…危うく負けるところだったのか…
「さすがカオルを打ち負かした2人だけあるな」
時雨先輩が感心したように呟く。…だが、俺の今のは確実にまぐれだ。まぐれが2度続くとは思えない…となれば、最終戦は苦戦必至か…
「いーねいーねぇ♪熱い勝負だよぉ!」
桜先輩はテンションハイになっている。…見ている分には面白いんだろうな
「じゃぁ…最終戦だよぅ!」
そして運命の最終戦、俺と阿見津先輩に2枚ずつカードが配られる。…これがラストか…!
「…げ」
俺の手持ちは2が2枚、合計。…これはマズイ、最後の最後で面倒なもん引いちまった!?
「…」
阿見津先輩は2枚のカードを見たまま動かない。…さっきまでとは違う動きだが…手持ちがよくないのか?
「俺は引きます。…阿見津先輩は?」
『私も引くよ?』
まず3枚目は二人とも引く。その3枚目は…
「…えー」
2だ。2なんだ。…合計は6。…引き弱っ!
『私はここで勝負をかけるよ』
阿見津先輩はカードを伏せた。…手持ちがそろったのか…!
「俺は引きます」
「…大丈夫ですこと?そんなにひいて…」
憐香がボソッと聞いてくる。…仕方ないじゃないか!2しか出ないんだし!
「…バーストしてないから大丈夫だ」
「ふーん…」
そして4枚目…2は来るなよ…!?
「…」
…こういうときって、悪い予感はよく当たるよねー…
4枚目も2、合計は8だ。…4枚しかない2を全部引くとか、いろんな意味で運が良いんだか、悪いんだか…
『…その様子だと、まだ引かなきゃダメみたいだね?』
阿見津先輩が微笑みながら聞いてきた。…余裕だなオイ
「その通りっす。まあ、ここまで来ると気持ちは楽っすけどね」
俺は精一杯の強がりを見せる。…そうでもしなきゃ、どうしようもないじゃん
「…5枚目…!」
ついに5枚目。…もう2は無い!さあ、来い!
そして俺が引いた数字は…7だ。これで合計15。…まだだ、まだ勝てない…
「…」
阿見津先輩の3枚のカード…前回桜先輩との勝負の時は桜先輩がラストで見せ掛けで俺のバーストを待っていたが、阿見津先輩の性格ならたぶんまともに強い数字で勝負をかけてくるだろう。…となれば、バースト覚悟でやるしかないか。まさかの6枚目を…!
「俺は…6枚目を引きます!」
「…!?」
さすがにこの宣告は阿見津先輩をはじめ、ショー部の部員を驚かすのには十分だった。…まあ、普通6枚目に行く前にバーストするからなあ
「…勝負だね、あっつん」
「あぁ、見とけ風。…これが追い込まれた凡人の意地だ!」
風に言葉を返し、俺は…6枚目を引いた!…どうだ…!?
一言で表そう
撃沈、だ…。数字は7。合計22.…バースト…
『…私の勝ちだね』
阿見津先輩は笑っていた。…ふつうこういう時は主人公のよくわからない力で勝てるんじゃないのかよ…?
「勝負は甘くはないようですわね…残念ですわね、淳」
「…いい勝負だったよ、あっつん?」
…慰めの言葉が痛いぜ…
そして俺が落ち込むなか、阿見津先輩が俺の傍に来る。…なんだよ…
「楽しかったよ」
「…!?」