閉会
「え~…こほんこほん。これより、希望高校閉会式を取り行います」
生徒会長である三笠先輩の声が場の騒然を静める。学校祭が、とうとう終わろうとしていた
「まずは、校長先生より対してありがたくもない話を戴きます」
「ぶっ!?」
…今、飲み物ふいちまったじゃねぇか。堂々とありがたくないって言ったよな?な!?
「…会長さん、あれでも大分頑張ってるよ?♪ほら、顔真っ赤♪」
隣から風が声をかけてくる。確かに風が言う通り、顔が赤い。…三笠先輩め、柄にもないことを…
「でも、静かに進みそうだよね~♪」
「…あぁ、全くだ」
そして少し笑ながら登壇した校長はいつもの様なマシンガンありがたい話をせず、簡単に切り上げる(だからって『望高サイコー!!』で締めるのもどうよ?)。そして今度は企画物の表彰に入り出した
「…では、次は企画の中で一番目玉の、ミスコンテストの表彰に入ります」
「あ、あっつん!私たちが出たやつだよ!」
「…わぁってるよ」
正直、表彰なんかされたくない。されるなら風だけされたらいい。…まぁ、団体戦だから巻き沿い食う可能性はあるが…まぁ、俺が普通の格好だし、大丈夫だろう
「ではまず、準優勝は…『るーびっくきゅー部』の片瀬さん、葛森君です」
…部の名前なんとかしとけよ…ひたすらカチャカチャやってそうで怖いわ…
「あっつん、もしかしたら…♪」
風はめをキラキラさせてる。だが、そんなに人生は甘くない、簡単に選ばれるはずが…
「優勝は…『ショー部』の朝野さん、河内君です!」
「「うぉぉぉぉぉおっ!!」」
「…!?」
…優勝シチャイマシター
「やったぁっ!優勝だよっ、あっつん!♪」
風が喜んで俺に飛び付いてくる。…
「…風…」
「ん?」
よーし、状況を説明してやろう
「…生徒の視線、注がれてんぞ」
そうなのだ、風が騒ぎ出した間に生徒に取り囲まれ、あっつい視線を注がれているのだ
「あの河内があんな子をか!?さすがムッツリ…!」
「朝野ちゃん大胆~!!超あげぽよ~!♪」
…やばい、誤解されかねん。こういう場の誤解は中々解けない。だとするとやべぇ!
「ふ、風!?早く壇上に行くぞ!」
「う、うん!?」
そして俺と風は三笠先輩が待つステージ上に。役員がトロフィーなどの準備の間、三笠先輩は小声で俺に話しかけてくる
「ショー部が勝つとは正直思ってなかったよ」
「…それは俺のセリフっす。どういう事っすか、これは」
「私が知ったことか。これは先生方の相違だからね」
「…はぁ」
「でも、まぁ…確かに朝野さんは本当に可愛かったよ。君も…まぁよかったんじゃないか、お似合いだよ」
「三笠先輩、俺らはそんな関係じゃないっす」
とかなんとか言ってる間に準備は整い、トロフィーやら賞状やらが渡される。そして最後に…
「これが毎年、優勝者のしきたりだ。…この場でキスだ」
「…は?」
…なんの話だ!?
「「キース!!キース!!キース!!」」
生徒からはキスの大合唱。…うぅ…
「あ、あっつん…」
何やら風はもう目を閉じて、準備万端かよっ!!?
「…えぇいっ!!ままよっ!!」
そして俺は風の…唇に自分唇を重ねた…
「「うぉぉぉぉおぉっ!!」」
生徒の絶叫のような歓声、そして舞い上がる花火。…こうして希望高校の学校祭は幕を閉じた…
「…あっちゅんが…ふーちゃんに…」
「朝野…!!」
『…妬いちゃうな』
ショー部の先輩三人がこの時、心に火を点ける事になったのを河内はまだ知らなかった…
「全く…淳様はなんて罪深き男なのでしょうね?あ…読者の皆様、学校祭編、終わりです」