勝負!⑦…学校祭後夜祭、ミスコンテスト!!美しくあれ!!
「…皆さん、大変お待たせいたしました。これより希望高校後夜祭メインイベント、部活対抗ミスコンテストを開催いたします」
今日は学校祭二日目、後夜祭。三笠先輩の落ち着いた声が響き、ミスコンの火蓋がきって落とされた。俺は今、ミスコンに出場する選手たちの控えテントに居る
「…あっつん?あっつ~ん?」
「…なんだよ風」
「むー、まだ怒ってるの?」
「…別に」
そう、実は俺は今、機嫌が悪い。…なんでかって?それはほんの少し前なんだが、俺と風がミスコンの手続きのため、本部テントに向かったんだが…
「あら、貴方が出るの?…ショー部も人手不足ね」
と、三笠先輩に真顔で言われたのだ。…確かにつりあわねぇけどさぁ…
「大丈夫だよ、あっつんは格好いいよ?」
「…いや、別にそこはどうでもいい」
「え?なら三笠さんに嫌われたのが嫌なの?」
「…そういう訳でもない」
周りを見渡すと、俺以外にはまともに男子の姿を見ないのだ。…どうやら俺はあの三笠にはめられたらしい
「…でも桜先輩がこの情報を知らないわけがないんだよなぁ…」
「あっつん??」
「…気にすんな、一人言だ」
…はぁ…本当に見せしめじゃねぇかよ…
「え~、選手の皆さん。それでは…」
とうとう係員の生徒が俺たちを呼び集める。…切り替えるしかないか…
「…あっつん」
「ん?」
ミスコンは進行している。半分くらいの人はもう出たかなってくらいか。ちなみに俺らは一番最後だ。とりあえず椅子に腰掛け自分達の順番を待っていると、隣から風がやって来た。…白いドレス!?
「…!?」
「え、えへへ…可愛い、かな…?」
風は顔を赤らめながら俺に聞いてくる…答えにくい…!!
「…う、ぁ…」
俺は答えることが出来ず、うつむいてしまう。それが気に障ったのだろうか、風は頬を膨らましてしまった
「む~…やっぱり桜先輩の私物だから合わなかったのかなぁ…」
「…さ、桜先輩の私物!?」
「うん、そだよ?私がこんな高そうなドレス持ってるわけないじゃないか♪」
「…ま、まぁ確かにそうだが…」
だが、仮衣装にしてはサイズがぴったりな気がする。桜先輩の方が風より3センチは大きい筈だし、胸囲とかも…
「あっつん?また失礼なこと考えてない?」
「んあ!?ま、まさかぁ、ハハハ…」
とりあえず笑ってごまかそう
「…でさ、まぁ…可愛いんじゃ無いか?普段とギャップも出来て、良いと思うぞ?」
俺は取り合えず話を終わらせるため、一応本音を並べてみる。すると風は驚いた顔をして固まった。…なんで?
「ど、どした風?嘘はついてないんだが…」
「…ちょっと意外だった…かな?私てっきり…」
風はそれだけ言うと口をつぐみ、また笑顔に戻る
「さ、あっつん♪そうこうしてるうちに出番だよ♪」
「あ、あぁ…」
俺と風は取り合えずステージ袖に移動し、出番に備えることにした…
「…てっきり…あっつんはもう桜先輩が好きなんだと思ってた…」
風の呟きは、淳の耳には届いてなかった…
「え~、では、ミスコン最後の組になります。ショー部の河内淳君、それに朝野風さんです」
「「…」」
俺と風の名前が上がり、緊張しながら壇上に昇る。ステージはスポットで照らされ、沢山の生徒達の視線を感じる。…あ、そういや俺の格好、読者には分からないな、俺は普通に黒のスーツだ。なんだかんだこれが一番じゃないかと思って…え?おもしろくない?
「黒のスーツに白のドレスですか…中々いい感じですね♪まるで結婚式みたいです♪」
「…!?」
「ええええ!?」
俺と風が驚きを隠せないが、客席の反応は思ったより良かった。…風がいいのは理解できるわな
「では、以上です♪集計結果は閉会式に発表しますので、皆様お待ちくださいませ!」
そして学校祭の全イベントが終了し…
「…ふぅ…」
「お疲れですわね、淳、風?」
「…あれ?憐香ちゃんと弓佳さんだけ?」
『カオル先輩と瞳先輩は今クラスに戻ってるよ?』
ショー部のテントに戻って見ると、そこには憐香と阿見津先輩…
「私も居ますが」
「っ!?…奏夢さん?」
奏夢さんも居た。どうやら三人でここで見物してたらしい。…阿見津先輩は理由が気になるが、憐香は多分児島が居るからクラスに戻りたくなかったんだろう
「ねぇねぇ~♪」
その輪に風が入っていく。…とにかく、閉会式まではまったり出来そうだな…
『学校祭、もうすぐ終わるよ~♪』