時雨 瞳
「…へぇ…阿見津先輩、漢字が得意なんですね?」
『携帯で文章を打ってると、自然と頭に入っちゃうんですよね。でもあまり速記は得意じゃありません』
「やっぱり携帯でうち慣れてるから?」
『そうですね、だから時々紙芝居的に文章を紙に書いて見せる時もあるんですよ?でもそれやるとやっぱり時間がかかって、迷惑かなと思って止めちゃうんです』
「でもその努力は立派ですよ!私、尊敬しちゃうなぁ♪」
「…!!」
風と阿見津先輩はトークをしていた。…まぁ、読者よ。聞いてたら分かるとか言うな。だって考えてみてくれ…二人共、慣れるの早すぎだろ!?
そうしていると、またドアが開いた。そしてまたしても女子生徒が現れた。今度は赤み掛かった短髪に、大きいがキツい目をした女性だ
「こんにちわ~って、何だ?また知らない面子がいるね?」
「あ、すいません…」
しまった、つい謝ってしまった。この言葉を聞いた女子は、少しイラっとした顔で俺を見てくる
「なんだいなんだい!?初対面の人に謝られるなんて、アンタ悪いことしたの!?」
「いや、そ~いう訳じゃないんですけど、なんか条件反射で…」
「ま、ど~せまたカオルが無理して入れた部員なんだろ?カオルもカオルだから、まぁ気にしちゃダメさ?」
その女子はさっきの苛立ちから一転、ため息をついて笑顔を見せた。…喜怒哀楽がはっきりしてる人だな
「自己紹介を済ませようか、新入生?」
「え?何で新入生って…」
「簡単さ、弓佳が笑顔で会話してるんだ。在校生ではない。だとすると新入生ってなるのさ」
「…はぁ…」
ますます阿見津先輩が謎に包まれていくな…でも今はこの女性に自己紹介だな
「俺は1-Bの河内敦です。阿見津先輩と話してるのが朝野風。同じクラスで、幼馴染みです」
「そっか。じゃあ次は私か!私の名前は時雨 瞳!カオルと同じく3-Aだ!同じ部に居る者同士、仲良くしような!」
「は、はいっ!よろしくお願いします…」
今度は時雨先輩と知り合った。でも不思議に包まれた阿見津先輩と違って、何でこの部に…?
「時雨先輩?何故先輩はこの部に入ったんですか?」
俺の素直な問いに、時雨先輩は苦笑いを浮かべながら答える
「まぁ、簡単に言えば腐れ縁だよ。私とカオルも幼馴染みでね。二人共一人っ子だから姉妹みたいに、いつも一緒だった。これもその延長線かな?」
「そうですか…お互い、大変ですね?」
俺がこの言葉を言った矢先、桜先輩が笑顔で入ってきた
「皆、来てくれたんだねぇ♪桜、嬉しいよぉ♪」
そういいながら何かスキップしだした。…はしゃいでるなぁ…
「桜先輩っ!♪今日はなにするんですかっ!?」
それについていく風。…疲れる奴め
そしてそれを見て時雨先輩が一言
「アンタのいう通り、お互い苦労してるんだね」
…ホント、ごもっともッス
今日のショー部も、謎だらけ…