波乱の香り、見つけた
とある日の朝。今日はとうとう希望高校の学校祭の当日だ。俺は登校時間通りに学校に着き、すぐに部室に向かった。今日はHRもなく、制服である必要もないのである。ただ俺は服を選ぶのが面倒だったからいつも通りの制服だ
「…あれ?」
なぜか部室に鍵がかかっている。時間は登校時間の30分前。昨日桜先輩から来たメールには30分前に集合ってなってたんだが…
「…あっつん、開いてないの?」
「あぁ…まだ誰も来てないのか?」
隣には風。風は祭りだけあって薄い青っぽい色の浴衣だ
「でも変だよね…桜先輩くらいの人なら早そうなのに…」
「全くだな。あんだけ祭り好きな人なのに…」
「…ん~…」
「お、河内に朝野…?」
そこに時雨先輩も現れる。…時雨先輩はデニムにタンクトップと随分ラフだ
「アンタたち、どうして部室前に?」
「部室が開いてないんすよ。時雨先輩、鍵持ってませんか?」
「鍵?…あぁ、持ってるが、カオルは?」
「それがカオル先輩はまだ来てないんですよ」
「ふ~ん…アイツにしては珍しいな…」
時雨先輩も思案顔だ。…どうしたんだろうな…
「まぁ、とりあえず早く準備をしてしまおう。荷物があるからな」
「…了解っす」
とりあえずこの後すぐに来た阿見津先輩、憐香を加え外のグラウンドにあるショー部のテントに荷物を運び出していく、ただここにも桜先輩は姿を見せず、開会式を迎えた…
「…え~、では、生徒会長がまだ姿を見せてませんが、これより開会式を始めます…」
開会式の壇上に立っていたのは三笠じゃなかった。…本来なら気にするもんじゃないんだが…
「…桜先輩と繋がりが深い三笠も居ない…?」
正直、俺はここで疑問が深くなった。…二人共居ないって、どういう事だ?まさか前日に会ってもめたとか?…まさか。三笠の本心を俺は聞いてる。だとするとこの線は薄い気がするんだ。それにこの会話を桜先輩は偶然にも聞いてるはずなんだ
『河内君?』
「…あ、阿見津先輩。ちょっと考え事っす」
『カオル先輩の事?』
開会式が終わり、俺がテント内でこんな事を考えていると阿見津先輩が隣に来て携帯の画面を見せてくる。阿見津先輩はいつも通り制服だが、今日は眼鏡をかけてなかった
「…その通りっす。まぁ、部活の企画時間は少し遅めなんでいいんすけど…あの人ならそんなに遅くなるはずがないんす」
『河内君もすっかりショー部の一員だね♪』
「まぁ…そうっすね」
…阿見津先輩は笑顔だが、目は違う。この人も同じことを考えてる…気がする
「…桜先輩と三笠の関係、知ってます?」
『三笠…?生徒会長の三笠葵さん?うん…昔からの知り合いなんだよね?』
「その三笠はまるでショー部を潰すような事を桜先輩に言ってたんすけど、三笠の本人にはその気は無かったみたいで…」
『ちょっと待って。…三笠さんはそんな事を言ってたの?』
急に阿見津先輩の顔に焦りが見えた。…ん?
「はい。まぁ、誤解は解けてるとは思いますが…」
『当人では解決してても、多分カオル先輩のお父さんは納得しないよ。カオル先輩のお父さんは娘を溺愛してるって話なの。もしその話がお父さんの耳にはいったら…マズイよ』
阿見津先輩の推測が正しいなら…確かにまずい。三笠が…危ない?そして桜先輩は三笠も友達だから…探して回ってる?だから今は居ない…?
「…阿見津先輩、俺、桜先輩を探します。さすがに…まずいっすよ」
『私も行く。…その話を聞いたら、多分先輩が行く場所は分かるから』
そして阿見津先輩も来てくれる事になった。テントに待機してた憐香と風にその場を任せようと声をかけると、二人も俺たちが行く理由をすぐ察知してくれて
「頼みましたわ」
「瞳先輩には説明しておくね?」
と、俺たちを送り出してくれた。…さすが仲間だ
そして俺と阿見津先輩は学校内へ…波乱の学祭が始まる…
‐学校祭1日目、開幕‐
そのころ、ショー部テントでは…
「…あれ、弓佳と河内は?」
「二人は桜先輩を探しに行きました。何やら心当たりがあるみたいで…」
「あの二人が?…まぁ、葵も居ないところを見れば、まぁ分からなくは無いが…」
「葵と言いますとここの生徒会長ですわね」
「…ったく、私にこの場を任せるって事か…しゃーねー!朝野!大道寺!私たちだけでも準備だ!あいつらがすぐにこっちで部活ができるようにするぞ!」
「分かりましたわ」
「はい!!」