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事前準備

「…あ、今日は誰も居ないのか…


学校祭3日前、俺は久しぶりに一人で部室に来てみた(最近はクラスの出し物準備の手伝いで部活に出てなかった)が、やはり誰も居なかった。風、憐香はクラスの準備の手伝い、多分他の人もそうなのだろう。…ただ、何でか分からないけど、とりあえずここで少し時間を潰そう


「…あ、これ…」


暇潰しに部室のロッカーを開けてみると、そこには沢山の汚れた筆やパレットがあった。…桜先輩たち、何をつくってんだろ


「…どうせなら、もっと部活に出ればよかったな…」


希望高校に入りはじめての学校祭。部活に入ってる以上見て回るのは難しそうだが、俺も男の子。好きな女子と巡り歩いて見たいものなのだ


「…何を考えてるんだ俺は」


ダメだ、暇だとなんか変なことを考えてしまう。なんかないか…


「あ、これは前の合宿の時の…」


知らぬ間に部室の壁に大きなコルクボードがかけられていて、そこに合宿で取った集合写真が貼ってあった。そこにいた皆はとっても笑顔で移っていた。その輪の中には、俺も居る…


「…なんだ、君だけか」


「!?」


不意に後ろから声をかけられ、振り向くとそこには生徒会長、三笠がドアに寄りかかっていた。…いつからいた!?


「…お前、どうしてここに…」


「まぁそう怖い顔をするな、君」


三笠は笑っている。だが、俺は笑えない。…ショー部を潰す気の人間の前で、笑えるか


「…何しに来たんだよ、生徒会長さんがよ?」


俺は苛立ちを込めた返しをする。俺の中では生徒会長はすでに敵だった


「ふっ、邪魔しに来たように見えるかい?」


「あぁ」


「嫌われたもんだね…」


三笠は額に手をあて、悩んでいた。…あれ?あの時と様子が違うな…


「ひとつ撤回をしよう。…ショー部を潰す気なんかないよ、その写真を見たらね」


三笠はコルクボードにあった写真を指差していた


「写真に写ってる全員が満面の笑みで撮られてる。こんな部を潰したら、私も笑えなくなりそうだ」


「…じゃあなんで、あの場であんな事を言ったんすか」


「…桜に、発破をかけたかっただけさ。私はあの時のように言葉が悪いから、伝わりにくいだけ」


「…いや、発破って…」


あれは暴言だろ…とは、この空気では言えないな


「…ショー部の部活動、みせてもらうぞ?」


そしてその言葉を残し、三笠は歩いて行った。…なんだったんだ?


「…あっちゅん?」


そして入れ替わりに桜先輩がやって来る。…今の話聞いてたのか?


「…先輩、なんか作ってたんすか?」


「あ、う、うん♪え~と…か、看板をねぇ…」


桜先輩の歯切れが悪い。…聞いてたな


「…手伝いましょうか?」


「え!?あ、え~とぉ…」


明らかにキョドってるな…桜先輩らしくないな…


「分かりました、桜先輩に拒否権は無しっす。俺は今から桜先輩の準備を手伝うんで、よろしくお願いします!」


「ふにゅ!?わ、分かったよ~?」


とりあえず三笠さんの話からそれて貰おう。…今は、そんな事を気にされても困るからな


「んじゃ、俺は何をしたらいいです?」


「んじゃあねぇ…ちょっと荷物沢山あるからぁ、お願いするぅ♪」


そして俺は桜先輩についていく。今日の部活は学校祭の準備、それと誤解を解く事だった


「…じゃあ、会長。こんな感じでいいでしょうか?」


「ふむ…いいんじゃないか?」


「分かりました。…会長、あの話は…」


「だから言ってるだろう?私にそんな気はさらさらない。…帰れ」


「…分かりました」


「…ふう」


生徒会室。資料を片手に、一人悩むのは三笠。今日もまた男性にコクられた


「…今はそんな暇はない。面倒すぎる」


その部屋にまたもノックされる。…また男か?


「どうぞ」


「…」


「…!?誰だッ…」


「悪いな三笠葵。…少し、おとなしくしてもらう」


「…!??」



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