阿見津 弓佳
「…なぁ、本当に行くのか?」
「あったり前じゃん!!今さら何を言い出すんだね、あっつん?」
「…はいはい、さいですかって…」
次の日、俺と風は放課後、部室に向かう事になった。あの日にブラックジャック対決でショー部の部長、桜カオル先輩を倒してしまったせいで入部することになってしまったのだ。…正直な話、行くのが面倒くさい。だって
「もしかしたら他の部員が居るかも知れないけど…気にしないでねぇ?♪」
って桜先輩が言ってたんだが…普通気まずいし、第一来るか来ないか自由なら行く必要は無いだろ…
「ほら、もう部室ついたよ!」
「…着いちゃったか。仕方ない、腹をくくるか…」
「部活にそんな覚悟要らないでしょ」
「その気合いも要らないと思うぞ」
そして俺と風は扉を開け、部室に入る。どうやらまだ誰も来ていない様だ
「あれ、まだ誰も来てないみたいだね?」
「そりゃ、仕方ないだろ。今HR終わったばっかりだし、第一新入生の俺らとは違って上級生は忙しいんじゃねえか?」
「むー、桜先輩と遊びたかったのになぁ~」
むくれ出す風。…どうしようもないな…
そして待つこと10分。おもむろに部室のドアが開くと、一人の女子生徒が入ってきた。その女子生徒は肩まである少し青っぽいストレートの髪に、おとなしげな瞳、桜先輩とは違った、大人しげな女子だった
「…?…、…!!」
なんか、無言だけど俺たちが居ることにめっちゃ驚いてる!?ここはとりあえず、俺たちが部員であることを伝えなきゃな…
「あ、あの…ここの…部員ですかね?俺たちは新入生で、ここの部に昨日入部しました、1-Bの河内敦です。そんでコイツが俺と同じクラスの…」
「朝野風です!♪」
「…。…」
無言ながらにうなずいてきた女子生徒。…筆者、表現に困るだろうなw
するとその女子生徒はポケットから携帯を取りだし、何やら打ち込み出した。…ちなみに、打ち込む速度が半端ない。だって、打ち込む指が見えないんだぜ?
「…」
そして女子生徒は俺達に携帯の画面を見せてきた。それを俺と風は覗き込む
「え~と…『私は2-A、阿見津 弓佳。趣味は読書。訳あってこの部活に居ます。これから私たちと学園生活を楽しもう』…」
それを俺が読むと、すぐに携帯を自分の傍に戻し、また打ち込み出す。次の画面は…
『私は訳あってお友だちが少ないの。だから、私と、貴方達が友達になれたら私、嬉しいな』
今度は少し阿見津先輩は微笑みながら見せてきた。…声を出せない事に、もしかしたら何かあるのかも知れないと思ったんだけど、ここでの追求はやめよう
「そうですか、よろしくお願いしますね、阿見津先輩」
「よろしくです!阿見津先輩!」
「…」
阿見津先輩は口元に手をやり、何やら恥ずかしがっていた。…本当に友達が少ないのかな…